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尊き王(エル・アルス)
その王は父と母に似て、まさに頂きに相応しき者だった。
泉の番人をしっかりと務め、その一雫でも盗みに来た盗人は息子であろうとも容赦無く罰した。
雨を決まったときに降らせてほしいという願いも、いつまでも豊作が欲しいという願いも、永遠の生を得ようとする不遜な考えも、アルスの前では皆切り捨てられるのだった。
酷い飢えが続いたときでさえそうであったから、大層恨みも買った。
けれど、そういうときは同じだけの恵みが与えられ、しっかりと世の中の天秤を計っていたのだ。
アルスはあくまで番人であるから、その力を好きには振るえない。
未来も過去も見れないし、知る必要さえなかった。けれどアルスは知っていた。
彼らがいかに重要であるかを。
ノフスの巫子とシェラの巫子は未来を見聞きし、海と泉の言葉を語る。
それはアルスの信奉者にとって面白いことではない。そしてその予言が悪ければ尚のこと。
だから彼らを遠い場所へ追いやった。遠く遠い地に逃れられるように。
せめて彼らと父の約束だけは守れるように。半身を守り抜く為に。
天は未だ高く、そして遮られている。
私たちは忘れない。
アルスを忘れない。
自らの命と引き換えに民を守り抜いた王。




