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92.悪魔はかつて隣にいた良さそうな人だったりする

 英介のクラスでは、竜介主導のスカイツアーの企画書の作成が大詰めを迎えていた。


 登校日には男子も女子もノリノリで話し合いに参加していたし、時にメール等でも活発にアイデアや意見を交換し、もはやただの思いつきなどではなく、これを地域限定イベントとして本当に開催する企画として真剣に討論していたため、小学生が作るにしてはかなりしっかりとした内容の企画書が出来上がりつつあった。

 しかし、英介は空飛ぶカァちゃんの入院・隔離騒ぎのため、この夏の間は登校日や学校行事に参加できずにいた。

 今朝、竜介が自宅から隣のクラスの良太と一緒にビデオ通話アプリで連絡してきた時に、佐倉の父がどうせならパソコンを開いてオンライン会議ツールで話したらいいじゃないかと言って、パソコンを貸してくれた。

 竜介が『せっかくだからスカイツアーの進み具合を見てくれよ』と言って企画書を読み上げようとした時に、良太が『画面共有しながらやろう』と言ってきたので、英介は現段階の企画書を見ることが出来たのだがツアーの金額や飛行時間等の項目で意見が分かれているらしく、その部分に赤字が書き込まれていた。


 料金が高すぎるだの、飛行時間がどうのこうのと、騒がしくもあり楽しげでもあり、和気あいあいとした様子に、栄太郎は微笑みながらも斜めにずれたところから、羨ましそうにこっそり眺めていた。

 その様子を見て、静と佐倉の母はこっそり頷き合って、なにやら台所でコソコソ話をしながらおやつとお茶の準備を始めた。


 先日この家に来た時に出してくれたカップ――英介によると「高級っぽい」カップに紅茶を入れた佐倉の母が、静と一緒ににっこりしながら「すごく楽しそう!私達も外部委員として参加したくなるわね。おお茶をどうぞ」などと言い、ちゃっかり画面の近くに寄って来た。


 竜介と良太が『おおおおおっ!』と大声を出し、竜介は『佐倉さんのお母さん、英介のお姉さんこんにちは、こいつは良太です』と言って嬉しそうに紹介してきたので、チャンスとばかりに静は英介が顔を顰めるほどの外面(そとづら)の良さを発揮して優し気に微笑み、「竜介君こんにちは、いつもありがとう。はじめまして良太君、英介のこといつもありがとう。隣のクラスなんだって?仲が良くていい学校だね」などと言ってニコニコと手を振った。

 竜介と良太がまんまと年上女子の笑顔に騙されて『はい!うちの学年マジいい奴しかいないっす!』などと言ってきたので、佐倉の母も少しだけ手を振ってから栄太郎に声をかけた。

 「栄太郎君、この間ビデオツールで会話した竜介君が映ってるわよ。もう一人、新しいお友達もね、挨拶しにいらっしゃい。なんか面白そうな話をしてるみたいよ」


 栄太郎はこう言われても、部外者が邪魔をするのは悪いと思っているらしく、少しだけ画面に近づいて会釈してにっこりと笑うだけだった。


 英介はこういう時てんで役に立たないが、竜介と良太は空気が読める少年だった。

 まず竜介が馴れ馴れしく呼びかける。

 「おう栄太郎!この前はチェダー話でついつい遅くまで盛り上がっちまったな。今俺たちのスカイツアー企画の大詰めなんだよ。お前もなんかアイデア出せよ」


 栄太郎はつい本音が出た。

 「え、いいの?部外者が話聞いても」


 竜介は「あたりまえじゃねえか」と言い「早く英介の隣に座れ!」と命令口調で指示する。

 それに静が微笑みかけると得意気になった竜介が、さっと後ろに下がった静に満面の笑みを返す。


 そして、良太という少年は竜介ほどではないにしてもよく気が付く少年だった。

 画面の端に映っていた栄太郎の様子から何かを感じ取ったのだろう――「チェダー好きなの?うちの学校で俺がみんなにすすめたんだ。そっちの学校でも流行ってるの?」とまずは話を振った。


 栄太郎は「ううん、うちの学校じゃあ多分読んでるのは僕だけだと思う。もしかしたら、探せばいるかもしれないけど――実は僕、結構浮いちゃっててね、恥ずかしいんだけどあんまり友達が、」と正直に答えた。

 表面的には父親・権藤とは全く似ておらず、どちらかというと大人しい性格の栄太郎だが、正直で率直なところはよく似ていた。

 栄太郎はすぐに「でも今回のことでこちらに来れたおかげで、英介と竜介と、しずちゃんもね、友達になってくれて、今すごく楽しくやってるんだ。ぜひよろしくね」と言い、小さく手を振って見せた。


 「そうなのか、学校とか学年とかで大分違ってくるもんな。俺の兄ちゃんなんて中学は不登校でほとんど学校行けなかったんだよ。ものすごく頭良かったのに――ま、嫌な奴だらけの学年だったこともあってさ。兄ちゃんは高校は通信制の高校に入ったんだけど、やっと元気になったんだよ」


 「そうなの、でもきっと自分に合う学校だったんだね。お兄さん、元気になってよかったよね」

 栄太郎が控えめにこう言うと、良太がまたにこやかに答える。

 「おう!ほんとそうなんだよ。俺さ、兄ちゃんを応援してるんだ。だって仕方がないと思うんだ、運が悪い時は友達だってできないだろうしさ、別にわざわざイヤな奴と仲良くする必要なんてないだろ?だからそれでいいと思う。栄太郎も無理することないぜ?中学行けばまた違うかもしれないしさ。ところでチェダーはどんなとこが気に入ったの?」


 「うん、偶然みつけたんだ。本当になんとなく読み始めたんだけど、すぐにハマっちゃったんだよ。なんと最初の時には一日で30話くらい読んじゃったんだ!チェダーって最初暗くって、うじうじしてて、劣等感のかたまりみたいだったでしょ?お父さんとかお兄さんと自分を比べて――僕も、ちょっと暗いっていうか、学校じゃ根暗のネクラーって呼ばれたりしてるんだよ。ネクラーとチェダーってとこがまたなんていうか……でもチェダーはいい奴だし、友達思いで優しいでしょ?だからチェダーが覚醒した時すごく嬉しかったんだ。まあそんな感じ。もう更新が楽しみでたまらないんだ、ここで英介と話せてほんと嬉しかったんだ」


 「マジか!うちの兄ちゃんに聞かせてやりたいよ!ほら、兄ちゃんもチェダー好きだから」


 「そうなの、お兄さんもチェダー好きなんだ。それならいつも話せて羨ましいな」

 栄太郎がこう言ったところで竜介が「よし、チェダー話はそこまでだ。金額と飛行時間を決めて、今後見込めるサービスの可能性のところを決めたら出来上がるんだよ。7割を飛行するお母さんに、残りの3割を地域の小中学校のために積み立てて、壊れた施設とか図書室の本とかそういうのに役立てるっていう意見と、日曜とか休日に飛んだ時はお母さんに8割にしてとか、もうバラバラと好き勝手な意見が出てきてわけがわかんなくなった!あとは一回どのくらいの時間飛ぶかってこと。俺は10分がいいと思うんだけど。みんな短いって言うんだよ」


 栄太郎はかなりしっかりと作り込んでいることに驚いた。

 「すごい!すごくしっかり考えてるんだね。確かに料金の割合をどうするかは難しいよね。でも時間のことは病院で聞けばよかったね、お母さん次第って部分も大きいんじゃない?近いうちに聞いてみようよ」


 「確かにな!勝手に決めたりしたら、俺らって大分ずうずうしいよな?5分が限界って言われるかもしれないじゃねえか!英介、早めに行って聞いてこい」

 

 「わかった。すぐわかると思うよ、かあちゃんの呼吸のマスクが外れなくても佐倉さんに聞いてもらえばいいから知らせるよ。あとはなんだっけ?今後のサービス?俺、前から思ってたんだけど、結婚式で花びらを上から撒いてもらうのは?あと誰かの歓迎の時の花びら撒きは?上の方から撒けばすごく綺麗だと思うんだけど」

 

 英介の馬鹿らしい提案は無言で却下された。静だけはわざとらしくため息をついた。   

 

 「特別料金を取って浅草寺を起点に国技館の方とか、ぐるっと回るコースを作れば?スカイツリーの方も行ったりとか!上から見たらすごく楽しそうじゃん」

 と、良太の意見は浅草ならではだ。

 栄太郎も静もなるほどとうなずき、竜介は「それはいいな、特別料金ってのがいいじゃねえか」とメモを入れているようだ。


 静は英介を馬鹿にしたように睨んで「これだよ!こういう意見が聞きたいの。全く!英介の馬鹿らしさったらないよ。背中反らされてもしょうがいないよねあんた」などと言うので、また姉弟喧嘩が始まりそうになる。

 栄太郎が慌ててフォローに入る。ここ最近はずっとそうだ。

 「でも、卒業式に桜の花びらが舞ったらすごくいいと思うよ?英介の卒業式にお母さんが桜を撒いてくれたら良い思い出になりそう」と言うと全員の反応が違った。 


 「いい、いいね!これはツアーとは別に学校のイベントとしてお願いしたいな」と竜介。

 「だな。写真も上から撮ってもらえたらすごくいいんじゃね?お願いしたいよな」良太も嬉しそうだ。

 

 これを聞いて、静がいつまでも英介を馬鹿にするので、また栄太郎が話をそらした。

 「もし、世界遺産を上から眺められたらいいよね。僕はマチュピチュとか、あとはチベットのラサのポタラ宮とかグゲ遺跡とか飛んでぐるりとできたら最高だと思うなあ、無理だけど。でも日本でもなんだっけ、長崎の棚田とか外国の人が喜びそうだよね」


 「栄太郎、色んなところの世界遺産を知ってるんだね。よく旅行とか行くの?」

 静が訊ねると栄太郎はなんともいえないきまずそうな表情をした。


 「ううん、うちは共働きだったし家族旅行ってあんまり――というか行ったことないかも。だからね、世界遺産シリーズのDVDボックスを見るのが趣味というか。これだからネクラーとか言われるのかも」


 「マジか!でもそうだよな、とうちゃん忙しいと仕方ねえか。でもまあ世界遺産はここの地域とはあんまり関係なくなるからアレだ。一応英介のかあちゃんがここ出身ってことも頭に入れて考えなきゃだめなんだよ」  

 竜介が考えこむと、栄太郎がすかさず言う。

 「そういうことならやっぱりさっきのアイデアが一番だね。特別料金の『浅草寺―国技館―スカイツリーコース』っていうのが最高だと僕も思う。ところで、吊り下げ式も安全でいいと思うけど、完全に背(・)中(・)に(・)乗(・)っ(・)か(・)る(・)形(・)も楽しそうだと思うよ。実はお父さんが英介のお母さんの背中に乗って飛んだ時は背中に完全に乗っかったんだって。お父さんが何度も言ってたんだけど、まるで自分が飛ぶ人になった感じですごかったって。そういうのも特別料金取れるんじゃない?ものすごく高くしてもいいかも!」


 「ああ!下剤事件の時のか!たしか、あの時に権藤さんって飛んだんだよね。あの話すごく興奮した。兄ちゃんは権藤さんとWEB会議で話したことがあってさ、すごく励まされたんだよ。兄ちゃんがまだ中学生だった頃なんだけど。だから今回のこともすごく心配してたんだ。まさか権藤さんの子供に会えるなんて思わなかった。兄ちゃんがお礼言ってたって伝えてほしいよ。兄ちゃん、権藤さんと話してから少しやる気になったんだ、俺もちょっとだけ聞いてたんだけど、励ましてくれてさ。早くよくなるといいよな」

 

 良太はその時の兄の様子を思い出したのだろう、明るい言い方ではあったが頬が紅潮し、穏やかな瞳にはほんの少し怒りを滲ませていた。


 「人を徹底的に傷つけようとする奴らって、大人にも子供にもいるよな。英介のお母さんの担当の人に下剤入りの菓子を食べさせて、事務の女の人をあんな風に馬鹿にした奴らとか!今回だって英介のお母さんをあの破壊遺産野郎があんな言い方で追い詰めて最低じゃないか。あとスポーツトレーナーの奴のこともそうだよな――でも俺さ、海水浴の連中が一番大っ嫌いだ。今になって脅されてたから言えなかったとかって言ってる奴らが一番気持ち悪い!もしそいつらが正直に言ってくれてたら、英介もお母さんもこんな目にあわなかったじゃないか!うちの兄ちゃんだってそうだったんだ。何も悪くないのに、寄ってたかって罪をなすり付けたんだ。今になって謝ってきても時間は戻らないじゃないか!だから俺はああいう奴らが大嫌いだ」


 いつものんきなしゃべり方で明るくて、誰からも好かれる良太が、怒りを吐き出すように言った言葉に、小学生の男の子たちはすぐに声が出せなかった。

 佐倉の父も母も敢えて黙っていた。ここは静の出番だと思ったからだ。


 「うん、ありがとう。そう言ってくれる人がいるだけでやられた方は嬉しいんだ。あいつら、自分達も被害者だって思ってんだよ。アキラが怖かったとか、アキラのママが強いから言えなかっただけで、本当はママのこと助けてあげたかったとかって言って、今になって慌てて言い訳してんだから冗談じゃないよ!やってもいない罪を擦り付けられて、あっちこっちから非難されて嫌われたら死にたくなるよ。私もここぞとばかりに言われたんだ、お母さんのやったこと恥ずかしくないのかって。自分可愛さで助けに行かないような母親を持って可哀想って言われたよ。昔だったら殴ったけど、今殴ったら、またママが酷く言われると思って我慢したよ。良太君のお兄さんも――絶対にずっと辛かったよね。だってやられてる本人が一番こたえるんだから。悔しかったと思うよ絶対にさ。私だって海水浴の奴らは絶対に許さないよ、訴えてやるんだ!慶次さんのお父さんに相談するんだ私。上手くいきそうになって、やり方がわかったらさ、良太君のお兄さんのかたきを取る方法も考えるよ。徹底的にやることにしようよ。佐倉さんのお父さんとお母さんも徹底的にやるって言ってたからさ、私も色々相談して、それを良太君に伝えるよ。そんな風にやって、いつか奴らを叩き潰すんだ」


 竜介はやはり静の叫びをカッコイイと思っただろうが、今回はそこじゃない部分ばかり気になった。


 見かけは善良そうで、まわりに流されてしまう人達。

 ぎゃあぎゃあ文句を言うこともなく、おとなしく長い物には巻かれ、巻かれ損ねた罪のない者を指をさして笑い、虐げ、自分達の居る場所からこぼれ落ちていった情けない奴ねだと上から目線で見下す奴らがいる。

 どこぞの海水浴会場でも沢山のそういう奴らが生まれた。

 そして、海から帰って来てからは小学校でそういう奴らが進化した。悪い方へ。

 そのうち誰かが罪悪感に苛まれ、言い訳がましく真実を語り始めると、後れを取ってはまずいとばかりにそれに続く。

 手のひら返しで気まずくなると、今度は原因を作った者に指をさす。

 もし今更何を言っているのだと、どこかの誰かに非難されたら『じゃあ黙っていればよかったの?』などと言って開き直る。

 痛めつけられた者たちがやっとのことで顔を起こし、勇気を出して、前に進んで、また何かを始めようと思ったり、何かを掴んで花開いたら、謝る前に試してみようとばかりに気味の悪い笑顔を送って相手の反応を確かめるだけの奴ら。

 静も、英介も、良太の兄も、もしかしたらこれから栄太郎も、状況によっていはイヤな奴からこんなことをされるかもしれないのだと、竜介は気づいてしまった。

 身のまわりが平和な連中ばかりだと、そこの部分には気付きにくいのだ。

 竜介はたった今そのことに気付けたようだった。


 「良太の兄ちゃんはすごく優しかったよな。遊んでもらったことがあるから覚えてる。俺はそんなことになってるなんて知らなかった。もし一緒の学年だったらとか、逆に俺がその学年にいたらとかさ、それによって全く違くなるじゃねえか!そこんとこを、わかっててやってくのと、考えもしないでそのままいっちゃうのとで、この先違ってくるな。とにかく、それを忘れないようにするよ俺は」


 竜介は子供の頃に遊んでくれた良太の兄を思い出した。

 口には出せなかったが、運のようなもの――ただそれだけの偶然のようなものが、人生を変えてしまう。竜介は、そういう残酷なものが存在するのだということに気付いたようだった。

 

 子供たちの話すことを聞いていた佐倉の母は、ここにいる彼らが、まるで息子・烈の中学からの友人たちのように見えた。 

 それぞれに何かしらの辛く嫌な過去を抱えていても、偶然の出会いとか、運命を変えるきっかけとか、いつ頃それがやってくるのか、そんなことはわからないが、ここにいる彼らが柔らかくて温かい絵のように見えて、佐倉の母は「最高の子供たちが帰ってきたみたい」と言った。


     ◇◇◇◇◇


 さて、権藤のところの議員・吉川と言う男。

 この男は離党届を提出した。

 党の顔と呼ばれる『瀬川議員』は離党しなかったが、他に一人、女性議員が吉川と共に離党を決意し離党届を提出したが、特に慰留の話し合いをすることもなく、緊急で開かれた総務委員会でその日のうちに受理された。二人はあっけにとられた様子だったという。


 また、瀬川のところにいた女性秘書はこの日、瀬川から新しい私設秘書を紹介された。

 昔世話になった議員のしがらみで、どうしても雇わなければならなくなったそうだ。

 もちろんこのまま瀬川の部屋で秘書の仕事をしてもらうつもりだが、新しく入った仕(・)事(・)の(・)で(・)き(・)る(・)女性秘書の下で働いてもらいたいとのことで、瀬川は『申し訳ないがどうしても断れなくてね、副代表が君を欲しがっているからそちらで受け入れてくれるということだが、どうするかね?新しい秘書はかなりきつい女性みたいだから君が心配でね。いったん副代表のところに応援に行って、様子を見ると言うこともできるんだが』などと言ったらしい。

 その秘書はひとまず副代表の所に応援行くと言い、あっさり瀬川の部屋から出て行った。

 もちろん瀬川の所に籍を置いたままだったが、冷たい目で睨みつけてくる新しい秘書の下で働くことなど、この秘書に出来るはずもなく、また、大嫌いな副代表にこき使われるくらいなら吉川の所に拾ってもらいたいと思ったこの秘書は、その日のうちに吉川に頼み込んだ。

 まんざらでもなかった吉川はひとまず受け入れを決めたようだが、じきに困ることになるだろう。


 そして数日後。とうとう飯田から佐倉に連絡が入った。

 カメラマンの丸山から欲しかった供述が全て取れたということだった。

 権藤の妻のスキャンダルも、今回の空飛ぶカァちゃんと権藤のスキャンダルも、誰からの指示が背後にあったのかが明らかになったのだ。

 離党した吉川も、それについていった女性議員も、愚かな瀬川の元秘書も、もう戻る場所はないのだ。

 移籍予定先の党の代表代行・野川甚也の足元もゆらゆらと揺れていた。


 権藤は飯田から証拠書類を受け取った翌日の朝、佐倉に二つの頼みごとをした。

 まずは離党届を受理する方向で動くよう副代表への指示を伝えること。そして、飯田には心からの感謝の言葉の伝言を。


 さて、推し活中のサイコパスサイキッカーが次に飛ぶ場所は、どうやら英介と静の転校前の住まいのあたりとのことだ。




 

 

 


 

 

 

 お読みくださりありがとうございます。

 今週も最新話を読んでくださる方がいらっしゃりとても嬉しいです。

 またよろしくお願いいたします。

 

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