11. 顔の約束 LES PROMESSES D’UN VISAGE
私は愛する、なんと蒼白な美人よ、貴女の垂れた眉、
そこから闇が流れ出て見える。
貴女の瞳、とても黒いけれど、私に思いを抱かせる、
それは決して暗いものではなく。
J’aime, ô pâle beauté, tes sourcils surbaissés,
D’où semblent couler des ténèbres;
Tes yeux, quoique très-noirs, m’inspirent des pensers
Qui ne sont pas du tout funèbres.
貴女の瞳はぴったり一致、貴女の黒いその髪に、
ピンと立つたてがみにも、
貴女の瞳は気怠げに、私に曰く「望みのままに、
塑像のミューズの恋人よ、
Tes yeux, qui sont d’accord avec tes noirs cheveux,
Avec ta crinière élastique,
Tes yeux, languissamment, me disent: «Si tu veux,
Amant de la muse plastique,
私たちが貴方の中に呼び起こした希望に従い、
そして貴方が公言するあらゆる嗜好に従って、
貴方にも知れましょう私たちの誠実
へそから尻にかけて。
Suivre l’espoir qu’en toi nous avons excité,
Et tous les goûts que tu professes,
Tu pourras constater notre véracité
Depuis le nombril jusqu’aux fesses;
二つの美しく重みのある乳房の先には、
二つの大きな銅のメダルが、
繻子のように柔らかな滑らかな腹の下には、
僧侶の肌のような煤茶色が、
Tu trouveras au bout de deux beaux seins bien lourds,
Deux larges médailles de bronze,
Et sous un ventre uni, doux comme du velours,
Bistré comme la peau d’un bonze,
豊かな羊毛は、まさに姉妹
この並外れた髪と、
しなやかで巻毛、厚みは貴方ほどに、
星のない『夜』、閉ざされた『夜』よ!」
Une riche toison qui, vraiment, est la sœur
De cette énorme chevelure,
Souple et frisée, et qui t’égale en épaisseur,
Nuit sans étoiles, Nuit obscure!»
訳注
crinière: ここは正直、よく判らない。crinière は一般に、馬やライオンの鬣を指し、人の「髪」を言う事もあるけれど。前行の「髪」とは明確に区別される、剛毛?あるいは、アルゴー号?
la muse plastique: plastique については可塑性を意味するところから、フランス語の art plastique は塑造芸術を、ドイツ語 bildende Kunst の bildende は模造の意であることから具象芸術を意味するが、今日ではともに造形芸術と訳されることが多く、単に造形、芸術、美術と記されることもある。
muse はギリシャ神話に於ける芸術の女神(複数)で、語り手により数からして3柱だったり4柱だったり7柱だったりと一定せず、ヘーシオドスにより9柱とされた。
カリオペー Calliope
クレイオー Clio
エウテルペー Euterpe
タレイア Thalia
メルポメネー Melpomene
テルプシコラーTerpsichore
エラトー Erato
ポリュムニアーPoly(hy)mnia
ウーラニアー Urania
しかし何れも歌や踊りなどの神であって造型芸術の神ではなく、ここでは単数形だから、特定の誰かを指したものと見られる。それが誰かは解らない。
nombril jusqu’aux fesses: そのような慣用句があるのかと思ったが、単に詩人の変態な趣味がまたしても露出しただけのようだ
toison: 「羊毛」「毛皮」に加えて神話の「金羊毛」、比喩的に「ふさふさした髪」を指すことも




