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おれはお前なんかになりたくなかった  作者: 倉入ミキサ
第十三章:風太と美晴と菊水安樹
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風太vs安樹


 「殺す……!? おれが、お前をっ!?」

 「キミに殺されるなら本望ほんもうさ」

 

 安樹はふさがった。

 風太という親友の前に。

 

 「おれがどうして、お前を殺さなくちゃいけないんだよ……! ぜ、全然、まったく、さっぱり、意味がっ……!」

 「もう一度言うね。もし、キミがこの教室を出て美晴のところへ行きたいと思うなら、ボクを殺してから行かなきゃダメなんだ。理解できたかい?」

 「できるかよ、バカっ……!!」

 「うーん、それは困ったなぁ。とにかく、キミがここを通るつもりならボクは死ぬってことだけ分かってよ」

 「それが分からないって言ってるだろ! 『死ぬ』とか『殺す』って、なんなんだよ! 冗談でもそんなくだらないこと言うなっ!」

 「くだらない……? ボクのいのちける覚悟かくごが、かい? フフッ、ナメられたものだね。これは全く冗談じゃないのに」

 「何を言ってるんだよ……。お前、本当にどうしちゃったんだ……!?」

 「できればキミに殺されたいけど、殺してくれないなら勝手に死ぬよ。それでもいいかい?」

 「ふざけるな……! どうして……おれの邪魔をするんだよ、安樹っ!!」


 どうしようもなく、風太はこぶしを強く握ることしかできなかった。

 安樹はそんな風太を見て、あざけるように笑い、静かにキャスケット帽を被り直した。

 

 「どうして……か。それは、ボクのセリフだなァ」

 「なんだと……!?」

 「ねぇ、教えてよ。どうしてキミは、美晴のところに行くんだ?」

 「えっ……?」

 「行ってどうするんだ? 美晴って女は、自分勝手で、わがままで、根暗ねくらで、嫌なやつで、幽霊みたいに不気味で、マヌケで、クズで……。キミはそう言ってたのに……」

 「安樹……?」

 「そんなやつに、どうしてまだかまうんだよっ!! そんなに嫌いなら、ほっとけばいいじゃないかっ!! 何が『美晴のことはもう忘れる』『美晴とはもう決別した』だよ!! 風太のウソつきっ!!」

 「そっ、それは……!」

 「行かなくていい……! 『刑』が無事に終わるまで、キミはここにいればいいんだ……! それで、もう、本当に美晴との関係を終わりにできるから……!」

 「『刑』……!? ってことは、お前……」


 風太の問いかけに、安樹はうなずいた。


 「うん……。もう全部知ってるんだ。過去の『刑』のこともね」

 「動画を見たのか?」

 「そうさ。ボクが見たのは……凄惨せいさんなイジメの動画だ。6年2組の子たちに、一人の女の子がいじめられてた。とても残酷ざんこくで、目を覆いたくなるような、『刑』という名のイジメ。標的になってる女の子が誰なのかは、すぐに分かったよ……」

 「……!」

 「そして……その女の子が、本当は風太だってことも……! 両手を縛られ、水をかけられ、みんなの前で失禁しっきんまでさせられた動画の中の少女は、全部キミなんだろう……!? あの『美晴』の中には、風太がいたんだろう……!?」

 「……」

 

 風太は、口を一文字いちもんじむすんだまま、瞳を固く閉ざしていた。

 過去に受けた全てのいたみや屈辱くつじょくは、一時ひとときも忘れていない。


 「ボク、知らなかった……! キミが、あんなひどい目にあっていたなんて……!」

 「……」

 「おデコの傷のことも、美晴が風太に成り済まそうとした理由も、こうなれば合点がてんが行く……。美晴はキミをイジメの身代わりにしたんだ! 何の罪もない二瀬風太の人生を奪って!」

 「いや、違う……」

 「何が……!? 違わないさ! 美晴にとって、キミはただの生贄いけにえだった! キミはもう少しで、美晴に全てを奪われるところだったはずだ! あの子の代わりにいじめられるのは辛かっただろう!? ひとりぼっちで誰も助けてくれない日々は苦しかっただろう!?」

 「それは、そうだけど……」

 「もういいんだ……。もういいんだよ、風太。何を考えてるのかは知らないけど、キミはもうどこにも行かなくていいし、ボクが行かせない。悪夢は終わるんだ」

 「でも、美晴は今っ……!」

 「美晴と6年2組のことは、ボクとキミには関係ないだろ。担任の先生じゃあるまいし。だいたい、そんなことに首を突っ込んでるヒマが、今のキミにあるのかい?」

 

 それでも、まだ風太には退き下がる気はなかった。


 「……じゃあ、見過みすごすって言うのかよ。安樹は」

 「見過ごす?」

 「何が起こってるかを知ってるのに、ここでじっとしていられるのかって聞いてるんだ」


 真剣な問いかけ。

 しかし安樹は、少し考え込んだ後……。


 「ぷふっ」


 吹き出してしまった。


 「なっ……!? 笑いごとじゃないぞっ!」

 「フフッ、あははっ! 風太らしいねぇ! あはははっ!」

 「この野郎っ、真面目に聞けよっ……!」

 「いやあ、笑わせてもらった。フフッ、キミは自分にいすぎなんだよ。カッコつけすぎ。ヒーローにでもなったつもりかい?」

 「だ、黙れっ……!」


 相変わらず、風太は「カッコつけ」という言葉に、ひるんでしまう。


 「地球の平和なんか守らなくていい。いじめっ子なんかやっつけなくていい。加害者にさえならなきゃ、いくらでも見過みすごしていいんだよ。キミはヒーローじゃなくて、ただの人間なんだから」

 「そんなこと分かってるさ。おれは美晴と同じ体験をしてるから……何が辛いかを知ってるのはおれだけだから、放っておけないだけだ」

 「分かってないんだよ。分かってないから、そうやって届かない場所にまで、手を伸ばそうとするんだろ。キミは」

 「届かないかどうか、やってみないと分からないだろうが」

 「だから、そういう……少しは頭を使って考えてよ。いいかい風太? キミが首を突っ込もうとしてる問題は、遠くて、重くて、複雑で、時間がかかるんだよ。少なくとも、美晴自身が自分の力で変わろうとしないと、この先もずっと美晴へのイジメは続くだろうしね。美晴の『敵』は、蘇夜花って子だけじゃないんだよ」

 「それで? 何が言いたいんだ。お前」

 「今、キミがやるべきことはなんだ? 限られた時間の中で、何をすることが一番大事だ? よく考えてみてよ」

 「何が、一番……?」


 言われた通り、風太は今の自分にとって何が一番大事かを、頭の中で整理しようとした。

 入れ替わりや100ノートのこと。健也たちとサッカーをすること。家で母さんの料理を食べること。厄介な宿題のこと。見たいテレビ番組のこと。カードゲームのこと。そして……雪乃ユキノのことと、安樹アンジュのこと。


 (今のおれにとって、一番大事なのは……)


 だいからしょうまで、たくさんの項目こうもく渦巻うずまく。

 その中心で、ポンッと突然現れたのは……小さなホワイトボードだった。


 (えっ? なんだ、これ?)


 不思議に思って見ていると、そのホワイトボードの周りの描写びょうしゃが、みるみるうちに鮮明になっていった。ボードを持つ手ができ、身体ができ、顔ができ、それは少女の姿になった。


 (こっちを見てる……。少し嬉しそうな顔で……)


 少女は優しく微笑んでいた。


 (初めて見た……。こいつが『こいつ』の姿で、笑顔になったところ……)

 

 怒らせたり、悲しませたり。風太が今まで見てきたのは、そんな顔ばかりだった気がする。「笑うとかわいいね」なんて誰かが言ってたが、風太は一度も、そのかわいい顔を見たことがない。入れ替わっていたから。


 (わたしの……あこがれ……、って……)


 最後に、ホワイトボードに書かれていた文字を、風太は静かに読んだ。


 「ふっ、ふ、はっ!!!」

 

 唐突に、風太は安樹の前で変な笑い声を上げた。


 「なんだい? キミのその笑い方は」

 「そうか……。そうだったのか……!」

 「どうしたの? 何か分かったの?」

 「大事なもの、大切なもの……! 安樹の言う通り、冷静になって考えてみたんだ」

 「フフッ、そうか。ようやく理解したか。見えてきただろう? 一番大切なことが」

 「ああ。ここでうしなうわけにはいかないんだ。美晴とのつながりは……!」


 もう迷いはない。


 「なっ、なんだって……!?」

 「考えて、考えて、やっと分かった。美晴は最初からずっと、おれに助けてほしかったんじゃないか……! 助けを求めてたんだよ!」

 「ち、違うっ……! そうじゃないだろっ!!」

 「美晴に会ったら、まずは謝りたい。『ひどいことをたくさん言ってごめん』って……! きっと、すごく傷付いたはずだから」

 「お、おいっ! ボクの話を聞いていたのか!? キミはもう、美晴と関わるべきじゃないって……!」

 「確かにおれは、みんなを助けるヒーローじゃない。でも、独りぼっちで誰にも助けを求められない美晴にとって、おれは“憧れ”だったんだよ!! もう二度と否定しない……! おれはもう一度、美晴の“憧れ”になる……!! そのために行くんだっ……!!」


 風太は教室の扉に向かって、ずんずんと歩みを進めた。

 もはや、目の前にいる安樹のことは見えていない。


 「ちょっ、く、来るな! 風太っ……!」

 「どいてくれ、安樹……! もう決めたんだ……! おれは、美晴の“憧れ”になりたいんだっ……!!」


 男子の風太に対して、女子の安樹が力でかなうハズがなかった。右手の腕力で軽くどかされ、安樹はあっさりと道をあけてしまった。


 「わあっ!? お、押さないでよっ……!」

 「悪いな。無理やりだけど、通らせてもらうぞ」

 「い、いやっ! ダメだっ! 絶対に行かせないっ! ここうなったら、最後の手段……!」

 「ん? 何する気だ?」

 「がぶっ!!」


 最後の手段。

 文字通り、安樹は風太にらいついた。


 「うわあぁっ!? 腕を噛むなっ!!!」

 「がぶ、あぶっ! ふぎぎぎ……!!」

 「痛いって! ちぎれるっ! 腕の肉がちぎれるっ!」

 「ち、ちぎって、でも……! 喰ひちぎってでも止めてやるんふぁ……! キミは行かふぇないっ……!」

 「やめろっ! どうしてそこまで止めるんだよっ!」

 「分からないのふぁっ……!? 美晴ミファルって女ふぁ、関わるべきふぁない厄介やっふぁい問題もんふぁいを、かかえすひぃてるんふぁよっ……!」

 「大丈夫だって……! 今のおれは男だから、すっごく強いんだぞ。この身体なら、どんなやつにも絶対に負けないっ!」

 「違う……! そうふぁない……。そういう、ことふぁ、ないんだよっ……」

 「いててて……! と、とにかく、噛むのをやめろっ! 安樹っ!」

 「ううぅっ……! ううぅっ……」

 「ん? あ、安樹? 泣いてるのか……?」


 風太の右腕に、今度は涙のしずくがこぼれ落ちてきた。


 「ぐすんっ、ううぅっ……。ダメなのにっ……。ダメだって、言ってるのにぃ……」

 「わわっ、泣くなよ! 落ち着けっ」

 「ちゃんと、ひぐっ、ボクの話、き、聞いてよぉっ……。風太ぁっ……」

 「聞くっ! 聞いてやるから、もう泣くな。噛むな」

 

 安樹はカパッと、風太の腕から口を離した。

 もちろん腕がちぎれたりはしていないが、歯型はがたがくっきりと残っている。


 「あのねっ? ぼ、ボクが、本当に、言いたいのは、ね?」

 「ほら、まずは呼吸を整えろ」

 「うんっ。すぅーはぁー、すぅーはぁー。えっと、なんだっけ?」

 「お前が本当に言いたいことはなんだ?」

 「そ、それはねっ! あの、その……風太には、ずっとボクのそばにいてほしいってこと……」

 「大丈夫。美晴のところに行っても、別にお前から離れるわけじゃない。おれたちは、これからもずーっと友達さ」

 「そっ、それじゃあ……ダメなんだ……!!」

 「えっ?」

 「いや、あのっ、友達が嬉しくないわけじゃない……! キミが友達になってくれたから、ボクは初めて、この学校にくるのが楽しいと思えたんだ……。キミがいつも、会いに来てくれたから……」

 「安樹……」


 安樹の涙は、いつしか止まっていた。 


 「キミはね、いつも優しい言葉をかけてくれるんだ……。だからつい、ボクもキミの優しさに甘えちゃったりして」

 「そうか? お前はしっかりしてると思うけどな。しゃべり方とか考え方とかが、みんなより大人っぽいし」

 「ほら、また……。でも、キミは優しいから、なんでも背負い込もうとするんだ。そのせいで、ボクだけじゃなく、すでに雪乃の人生まで狂わせてしまってる」

 「えっ? おれが、雪乃の人生を……?」

 「そして今、美晴のことも背負せおおうとしてる。分かるかい? 風太の背中にいる人間が今は2人、次第しだいに3人になってしまうんだ。美晴や雪乃は、すっごく重い女の子だから……きっとキミはつぶれてしまう」

 「……」

 「そして、思い出してほしい。ボクはこの教室に入ってきた時、キミになんて言った?」

 「『美晴のところへ行くなら、ボクを殺せ』って……」

 「その通り。昔、ボクは不登校になって、一度は生きる希望を完全に失ったんだ。でも死ねなくて、ここまでダラダラと生き伸びてしまった。そんな死にかけのボクに優しくして、誰かと一緒にいることの喜びを植え付けたのはキミだぞ。その責任はとってもらう」

 「でも、おれは……!」

 「キミの目の前にあるその扉をもし開けたら、ボクは死ぬ。卑怯ひきょうかもしれないが、美晴のことをれるまで、風太にはここにいてもらうつもりだ。さあ、どうする……?」

 「……!」


 もう時間がない。手遅れになる前に、美晴のところへ行きたいが、安樹の覚悟も揺るぎそうにない。


 (美晴……。安樹……)


 眉間みけんにシワを寄せ、ひたいにじっとりと汗をかき、考え、考え、ひたすら考えた。

 ここで何を手に入れ、ここで何を捨てるべきか、決断の時。


 「安樹……!」

 「なぁに? 風太」

 「お前が言った、『キミがどういう選択をしても、ボクはキミの味方だよ』って言葉、信じてるからな」

 「た、確かに言ったけど……! 今、それを持ち出さないでよ……。ズルいよっ……」

 「分かってる。その言葉だけで、なんとかなるとは思ってない。おれだって、全部背負うために……今、必要のないものは捨てる」

 「は……? 何を言ってるの……?」

 「大切なものが多すぎて……一番いらないものは、これしかないんだ」


 何かを確信し、風太は首元のペンダントをぎゅっと握りしめた。そして、ヒモが切れそうなくらいに、グイッと強く引っ張った。


 「お、おいっ! まさかっ……!?」

 「約束通り、扉は開けない。二瀬ふたせ風太フウタは、ここに置いていく。だからもう、お前は死ぬなんて言うな」

 「やめてっ……! そんなことしたらっ……!」

 「カッコつけでいいさ。おれは男だからっ! 最後までカッコつけてやるっ!」

 「ふ、風太っ! 待って……!! そんなことしたら、あの子の代わりに、キミが消えてしまうっ」

 「おれはもう一度、『あいつ』になるっ!!」


 ブチッ……!


 ────


 *


 「はぁっ……はぁっ……」

 「どこに行くつもり? 美晴ちゃん」

 「そ……そこを……どいて……。便器に……向かわせてっ……」


 プールの女子トイレ。

 ブラウスとスカートを脱がされ、ミントグリーンの下着姿になった美晴は、太ももをもじもじとすり合わせながら、迫り来る尿意にょういに耐えていた。ヒモで両手を縛られてるのでパンツを脱げないうえに、あと3歩あるけばそこに便器があるのに、蘇夜花ソヨカ五十鈴イスズたちが邪魔をしており、たどり着けない。


 「せっかく脱がせたけど、ちょっと期待ハズレだったねー。ブラジャーとショーツがあるだけ、かぁ」

 「そ、そこを……どいてっ……」

 「男子の体操服を盗んで着てるってウワサ、さすがにウソだったのかなー?」

 「し……知らないっ……。わたし……そんなの……知らない……もんっ……」

 「まあ、いいや。『自分は男子だとウソをついて、人をだまそうとした罪』で、刑を執行するね。そこでお漏らしするといいよ」

 「はぁ、はぁっ……。やめてぇっ……」


 美晴は泣きそうになりながら、ひたすら必死にガマンしていた。

 しかし、もう限界が近づきつつある。


 「た、助けてぇっ……! 誰かっ……!!」

 「あはは、誰も助けには来ないよ。声を出せるようになっても、その声は誰にも届かない。あなたはこれからもずっと、独りぼっちなんだから」

 「助けてっ……!! 風太くぅんっ……!!」


 錯乱さくらん状態じょうたいになり、美晴はその名前を呼んでしまった。「もう二度とおれの名前を呼ぶな」と、本人からキツく言われていたのにも関わらず、大声で叫んでしまった。美晴の悲鳴混じりの声が、女子トイレ内に響く。


 「えっ、なに? 今、なんて言ったの?」

 「……!」

 「誰に助けてって?」

 「……」


 蘇夜花の質問に、美晴は答えなかった。というより、答える余裕がなかったのである。ただぎゅっと目をつぶって、目の前の現実から逃避することが、精一杯の自己防衛だった。次に目を開けた時、この悪夢が終わっていたらいいなと、甘い考えにひたって……。


 「……」

 

 しばらくの無言。


 「あれ? 美晴ちゃん?」

 「……」

 「気絶きぜつでもしたのー? 立ったまま? おーいってば」

 「……!」


 蘇夜花が顔をのぞき込みに来たところで、美晴はパチリと目を覚ました。そして、目を開けながら少しボーッとした後、そばにいた蘇夜花と視線を合わせると、フッと不敵な笑みを浮かべた。


 「助けに……来たぞ……。美晴……!」

 

 その少女はもう、『美晴』ではあっても美晴ではなかった。


 「うん? 何を言ってるの?」

 「久しぶり……だな……蘇夜花……! おれは……この……瞬間を……ずぅーーーーーーーっと……! 待ってたぜ……!!」

 「美晴ちゃん? いや、あなたは……だれ

 「べ……!!」


 拘束なんて、その男の前では無意味だった。ブチブチとヒモを引きちぎり、腕を自由にすると、まず一番最初にこぶしを作り上げた。その拳はもちろん、目の前にいるにくき女を、てまでぶっ飛ばすため。


 ドゴォッ!!!

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