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第4章 戦うべき理由<後編>

「それは司が悪い!」


 机を叩き、香織の顔が目の前まで迫る。その気迫に押されて、思わず司は上半身を仰け反らせる。


 祥子と別れた司は、香織のいる文芸部部室を訪れた。もちろん、目的はカツカレー派を説得するためである。

 そこで司は祥子のことを口にしてみた。香織も祥子とは十年来の付き合いであるから、彼女の様子が変わった理由がわかると思ったのだ。


「もう! 信じられませんわ! 司のバカ! 記憶障害!」


 腕を組んで香織は頬をふくらませる。どうやら香織には祥子が態度を急変させた原因がわかっているらしい。


「どういうこったよ」

「知りません!」


 まだ状況が飲み込めない司に、香織はそっぽを向く。こちらも完全に機嫌を損ねたらしい。

 打つ手のない司は助け舟を求めるように部室を見回す。すると、部室の一角にうずたかく積まれていた本の山が揺れる。その原因がわかった司は、揺れの主に声をかける。


「玲川先輩。助けてください」

「……もう、仕方がないなキミたちは」


 本の山から手が生える。そして、山が左右に開かれ、天岩戸から天照が出るようにメガネの男子生徒が姿を見せる。


 桜稜高校三年生・玲川大輔。この文芸部の部長である。

 香織が所属している部活の部長であるから司も玲川とは何度か面識がある。伝説ぞろいの桜稜三年生の中では少し地味な存在だが、その平凡さが逆に付き合いやすい。

 メガネをかけ、平凡な顔立ちと平凡な髪型をした玲川は、ちょっと注意をそらせればたちまち見失ってしまうほど没個性的である。実際、司はこの男の顔を未だに覚えられない。


「痴話ケンカはほどほどにね。ここは本を読むか文章を書くところだから」

「すいません……」

「でも、部長!」


 どこから取り出したのか玲川は二人にマグカップを差し出す。中には温かな湯気のたちのぼるココアが入っていた。


「まあ、落ち着いて」


 二人がココアを受け取ると、玲川は椅子を引っ張ってきて司と香織の間に腰かける。背もたれを前に回して、そこに肘をのせ、彼は司たちを温顔で見上げた。


「つまり、梓川さんは彼女がなぜカツ丼を好きになったを聞いたことに腹を立てたわけだ」

「そうなりますね」


 今回の事件の中心には祥子のカツ丼好きと香織のカツカレー好きがある。その根本原因を聞いてみることの何がおかしいというのか。司は未だに理解できない。


「香織くんの意見は?」

「デリカシーというか、優しさというかイロイロ信じられません」


 そこまで言って、香織はあることに気づき、司のほうへ目をむいて詰め寄った。


「ま、まさか、司! 私がカツカレーを好きになった理由もわからないんじゃないでしょうね? ああ! わからないって顔してる! 信じられない! 乙女の純情を一度ならず二度までも踏みにじるなんてどういう神経なんですか! そもそも、司が態度をはっきりさせないから、サッチンも私も……」


 憤りのあまり、小学校時代の祥子のあだ名を呼んでいる。香織の剣幕に圧倒される司だが、彼女の言うとおり香織がカツカレーを好きな理由もわからない。


「まあまあ、落ち着いて。香織くん、ココアがこぼれるから座りなさい」


 やんわりだが抵抗を許さない口調で、玲川は着席を促す。その言葉を聞いた香織は、冷水を浴びたように静かになって、近くの椅子にチョコンと座った。


「ほら、天道くんも」


 玲川の言葉に従い、椅子へ腰かける。手近の机にココアを置き、司は香織へ質問する。


「そんなに大事なことなのかよ。理由を知らないってことが」

「当然です」


 香織はそっぽを向きながら、即答する。司がため息をつき、玲川は苦笑した。


「わっけわからん」

「まあ、いじめられた側は覚えていても、いじめた側は忘れていることってあるからね。おっと、キミが梓川さんをいじめていたってわけじゃないよ。例だよ、例」


 玲川がいたずらっぽく笑う。印象が薄く平凡な男かと思っていたが、けっこう性格が悪いなと司は彼の情報を書き換える。


「さて、香織くん。そろそろ教えてあげてもいいと思うけど」

「う……」


 ニコニコ笑いながら玲川が香織に声をかける。すると、香織はふくれた頬をしぼませて、迷いをみせた。

 平凡だ地味だと言われるが、さすがに桜稜の部活で部長をやるだけの人物である。ヘソを曲げた香織は司でも手を焼くというのに、一言で状況を変えてしまった。


「もう一回聞きますよ。ホントーに覚えてないのですか?」

「ホントーに覚えてません。ごめんなさい」


 司は素直に頭を下げる。ここで妙な意地を張ると、またこじれるだけだというのは経験上骨身にしみている。

 司の目をしばらく見つめていた香織は、ハァッと大きく息をついて肩を落とす。


「もう仕方ないですね」


 香織はマグカップのココアを一口飲むと、祥子がカツ丼を好きになった理由を話し出した。



 一人の女の子がある少年に恋をした。


 幼い恋である。まだ幼稚園に行くか行かないかの年頃であった少女は、偶然見かけた少年の姿に惹かれた。


 出かける母親に付いて近所の家を訪れた時のことだ。世間話に花を咲かせる母は、少女何度手を引いてもその家の玄関から動こうとしなかった。


 退屈になった少女が振り返ると、紺色の剣道着を着た自分と同じ年ほどの少年が駆け抜けて行った。柔らかな黒髪と負けんの強そうな目つきは、近所でもよく見かけていた。

 好奇心が動いた少女は、少年の姿を目で追う。少年は向かいの家の子供らしく、その家の裏手へと走っていく。少女はそれを追って古めかしい向かいの家の入り口から入っていった。


 裏手には不思議な建物があった。あまり大きくはないが、立派な構えの離れは時代劇のお城のように厳しく見えるそれが道場というものだとわかるのは、もう少し後になってからだった。

 少年はズックを脱ぎ捨て、離れに上がる。次の瞬間、少年の頭に竹刀が振り下ろされ、少年は頭を抑えてうずくまった。


「道場に入るときは一礼! 靴をそろえてあがりなさい」

「は、はい!」


 少年に竹刀を振るったのは白髪の老人だった。たしか、少年と一緒に歩いているのを見たことがある。少年のおじいちゃんだと、母が教えてくれた。


「よし、司。素振り千本!」

「はい!」


 靴をそろえ、一礼を終えた少年が元気よく立ち上がる。老人のものより少し小ぶりな竹刀を握った彼は、小さな口を目いっぱい広げて気合とともに竹刀を振るった。


 カッコよかった。汗をにじませながら一心に竹刀を振るう少年の姿に、少女はしばし見とれていた。彼を見つめるあまり、少女は道場へ知らず知らずに近づき、入り口のところで彼の姿を観察していた。


「そこでは寒い。入りなさい」


 老人が優しい声で中に入れてくれた。先ほど少年がやったように靴をそろえ、チョコンと一礼をした少女は、老人の隣に正座して少年が竹刀を振るのを見つめていた。


「どうですか? うちの司は」

「……かっこいい」


 老人の問いに、少女は素直に答えた。素振りを終えた少年は肩で息をしている。でも、その姿を少女はかっこいいと思った。


「どうだね? お嬢さんもやってみませんか?」


 老人は丁寧な言葉で少女に応対する。普段、彼女が会う大人たちと違って、老人は彼女を対等に扱ってくれる。それもまた少女にはうれしかった。


「やってみ……ます」

「そうですか。司、竹刀の持ち方を教えてあげなさい」

「はい!」


 息を整えた少年は、立てかけてある竹刀を持って少女のほうへ駆け寄ってくる。少女はそれを受け取ろうと立ち上がるが、慣れない正座で足をしびれさせたのか、バランスを崩してしまう。


「危ない」

「あ!」


 倒れかける少女を少年が抱きかかえる。少年の顔が急に近くに現れ、少女の顔は真っ赤になる。


「ご、ごめんなさい」

「気をつけろよ。どんくさいな」


 少女の感謝に少年は悪口で答えた。老人は無言で竹刀をとると、少年の頭をポンと叩く。


「女の子には優しくしろと何度も言っているだろう。謝りなさい」

「う、わりぃ……イデッ!」

「ごめんなさい」

「う……ごめんなさい」


 老人と少年のやり取りに少女は微笑んだ。そして、彼女は竹刀をとって少年のように構えてみる。


「ああ、ダメダメ。こっちの手は端っこをつかむんだよ。そう……それで、こっちは軽く。竹刀の先っぽはもっと低く。前に相手がいたらノドの辺りに……」


 急に少年がエラそうに少女の姿勢を矯正する。いつもは教わってばかりなので、人を教えることがうれしいのだ。それを老人はニコニコと笑って眺めていた。


「司、ワシは昼飯の支度をしてくる。それまでに素振りの仕方と足捌きを教えてあげなさい」

「はい!」


 元気よく少年が返事をする。老人は少年と少女の稽古風景をもう一度眺め、深々と一礼をして道場を出て行った。


 三十分ほどしただろうか。道場の入り口に少女の母親を連れて老人が姿を見せる。その頃には少女は一通りの竹刀の振り方を覚え、前後左右の足捌きができるまでになっていた。


「まあ、祥子。すごいわね」

「お母さん!」


 少女の母親が驚いて目を丸くする。母親が驚いた顔が面白く、少女は頬を上気させながら、得意げに竹刀を振ってみせる。


「いや、娘さんは筋がよろしい。よくやったぞ、司」

「はい!」


 少年もまた老人からほめられて得意げであった。少年がこちらをチラリと見たので、少女も視線を返す。この短い時間で二人は大の仲良しとなっていた。


「はい、お腹すいたでしょ。天道のお爺さんからのご馳走よ」

「わあ!」


 母親が持っていた盆には小ぶりの丼が二つのっていた。陶器のふたが被せられた丼から甘く食欲をそそる匂いがしてくる。

 気がつけば腹がペコペコに減っていた。昼食も食べてなかった彼女の腹がギュウッと音を発した。


「!」


 少女は竹刀を取り落として自分の腹をおさえる。少年に腹の虫を聞かれたことが恥ずかしかったのだ。消え入りたいような気持ちになりながら、少女は顔を伏せた。


「おい、竹刀落とすなよ。これは武士の魂なんだぞ」


 小さな手が竹刀を拾う。まったく気にしたそぶりのない少年に、少女はそっと顔をあげる。腹の虫を聞いたはずなのに少年は何も言わない。


「食おうぜ、カツ丼」

「カツ丼?」


 竹刀を片付けた少年は置かれた丼を取る。ふたを開くと湯気が立ち上り、半熟の卵にとじられたキツネ色のカツが現れた。


「うちのおじいのカツ丼はうまいんだぞ」

「カツ丼」


 少女はカツ丼なるものを食べたことがなかった。腰を下ろし、おそるおそる残った丼を手に取ってみる。ほんのりとした温かさが陶器から伝わってくる。


「カツ……丼?」


 フタをあけると少年の丼の中身と同じものが現れる。卵を完全に溶き混ぜないことで作られる白と黄色のマーブル模様の中にトンカツがドンと存在感を主張している。出汁を吸って茶色に染まったタマネギも食欲をそそる。


「ほら、食え食え。冷めてもうまいが、温かいのが一番うまいぞ」


 そう言いながら少年はカツ丼をかきこむように食べていく。少女は一度母のほうを見上げるが、母は静かに微笑んでうなずきを返してくれた。


 少女は塗り箸をとって、カツ丼へ刺し入れる。まだ子供なので、箸がうまく扱えない。そこで少女は思い切って丼に口を当て、少年のように元気にかきこみだした。


「!」


 かきこまれたトンカツと卵とタマネギ、ご飯が渾然一体となって口の中へ入ってきた。トンカツの衣のサクサクした触感と柔らかなタマネギが触感のコントラストを生み、肉の歯ごたえが存在感を示す。豊かにあふれる肉汁は卵の甘みによってまろやかになり、甘辛の出汁が染みこんだご飯も幸せな食べ応えがあった。


「おいしい!」


 丼から口を離して少女は少年に感想を告げる。少年はその言葉にニッコリ笑ってくれた。


「どうだ。うまいだろ。オレもカツ丼って大好きだ。敵に勝つからカツ丼なんだぜ」

「カツ丼ね」


 少年は丼へ意識を戻す。少女はそんな彼の無邪気な横顔をしばらく眺めた後、彼に負けない勢いでカツ丼をかきこみはじめた。


 この日、少女・梓川祥子は天道定とその孫・司のいる剣道場へ入門する。そして、この日からカツ丼は彼女の大のお気に入りとなった。



「……という話を祥子さんからお聞きしましたわ」

「そんなことが……」


 香織の話が終わると司は驚嘆したように息をつく。いつの間にか空になったマグカップを手近の机に置くと、彼はさらに大きく息をついた。


「人に歴史ありだねぇ」

「まったくですね」


 玲川のしみじみした感想に同意を示す。まさか祥子とカツ丼がこんな深い因縁で結ばれているとは思わなかった。


「思い出しました?」


 香織が眉をしかめて聞いてくる。司は取り繕うだけの情けない笑みを浮かべた。


「いや、全然覚えてねえわ」


 大きな嘆息が香織の口から吐き出される。肩を落として、うなだれる彼女の姿を見て、司はあることに気づいた。


「もしかして、香織がカツカレーを好きなのもオレに関係があったりするの?」


 司の言葉に香織は顔をあげ、これ以上ないというほどのしわを眉間に刻む。


「や、やっぱりあるんだ?」


 こちらもまったく身に覚えがない。どう慰めようか途方にくれる司へ、香織があっけらかんとした声をかける。


「ありませんわよ? 個人的に好きなだけです」

「ないんかい!」


 そこは何か感動的なエピソードがあるべきだろと司は内心で突っ込む。玲川のほうは背中を丸めて、小刻みに震えていた。笑っている。


「だって、司があんまりにも鈍感で無神経なんですもの。一応、祥子さんとは長い付き合いですから、代わりに一矢報いたのです」

「あーそーですか」


 ふてくされた司はそっぽを向く。だが、その程度はされても無理はないのかもしれないと彼は考えていた。


 祥子にとってカツ丼とは、初めて自分と出会った時に食べた思い出の食べ物だったのだ。忘れていたとは言え、後で謝っておこうと思う司であった。


「謝ってあげてくださいね。司」

「うん、謝っとくよ。しかしよ……」

「?」


 香織が首をかしげる。真ん丸い瞳をかわいらしく瞬かせ、彼女は司の言葉を待つ。


「お前ら、そういうことを話してんだな。けっこう、仲いいじゃん。なんでオレのいるとこだと、いっつもケンカしてんの?」

「鈍感!」


 香織がいきなり机の上にあった文芸部の小冊子を投げつけてくる。あわてて、首をそらしてかわすが、次々に投げつけられる冊子が司に当たる。


「なんだよ。いきなり怒るなよ」

「バッカじゃない! 司は一回死んだほうがいいですわ!」


 椅子に身を隠した司に、怒りの収まらない香織が迫る。見かねた玲川は、立ち上がって司と彼女を引き離す。


「止めないで! 武士の情けですわ!」

「武士じゃないでしょ、キミは。香織くんのクールダウンにちょっと時間がかかりそうだから、天道くんは席を外してくれる?」

「あ、はい、すいません。お任せします」


 玲川の緊張感のない口調に手早く返事をした司は、バッグをつかんで部室のドアを開ける。香織は手を伸ばして、その背中を追おうとするが、どこをどう押さえているのか玲川のために体が動かない。


「あ、待って、司! おのぉぉぉれぇぇぇ!」


 完全に歌舞伎のノリで香織が叫ぶ。司はほうほうの態で文芸部部室を逃げ出した。



「さて……と。落ち着こうか香織ちゃん」

「……すいません」


 司の足音が聞こえなくなってから、玲川は香織を椅子に座らせる。玲川が手を離すと、途端に体の自由が戻るが、気勢を殺がれたために司を追う気にならなかった。


「ココア作るね。うんと甘くしてあげよう」

「ありがとうございます」


 両手をひざの間に置いて、香織は落ち込んでいる。司の察しの悪さも原因だが、尊敬する玲川の前で醜態をさらしたのも大きな原因である。


「……香織ちゃんは優しいよね」

「は?」


 ココアと砂糖を練り上げている玲川がポツリとつぶやく。意外な言葉に香織は顔をあげて、文芸部部長の背中を見つめた。


「カツカレーで思い出がないって言ってたけど、あれはウソでしょ?」

「え?」


 練り上げたココアに熱湯を注ぐ。カカオのほろ苦い香気がたちのぼる。


「だって、あれだけカツカレーが好きなんだもん。絶対に何かあるよね」


 湯気の立つマグカップを持って、笑顔の玲川が振り返る。その顔を見つめ、香織は戸惑った表情を浮かべていた。


「でも、それは天道くんには言えないわけだ。理由は想像がつくけど……」

「何でもお見通しなんですね」


 降参したように香織が両手を挙げる。玲川がマグカップを差し出すと、香織はむすっとした顔でそれを受け取った。


「天道くんは優しいからな。香織ちゃんのカツカレー好きの原因も自分だなんて分かったら、絶対に香織ちゃんへ優しくしてくれる」


 祥子との仲がギクシャクしている時に、司との思い出を話せば、司は自分へ気持ちを向けるかもしれない。そう考えたこともあったが、香織はあえてそれを選ばなかった。


「でも、それってサッチン……祥子さんに対して卑怯でしょ?」

「優しいよね」


 椅子に座って、玲川はマグカップを傾ける。猫舌である香織は両手でココアのぬくもりを感じながら、不機嫌そうな顔を余裕の笑みに変える。


「高原家の女は、他人の弱みにつけこむようなことはしないのです。正々堂々殴り合って、勝利をつかむ。お母様もお祖母様もそうして、お父様やお祖父様を射止めました」


 高原香織というのはこういう女性であった。曲がったことは大嫌いだし、卑怯なことも好きではない。それは勝った時の気分を台無しにするものだと嫌悪さえしている。


「まあ、見ていてください。祥子さんがグウの音もできないくらいに勝ってみせます」


 すでに勝ち誇っている香織の言葉に苦笑しつつ、玲川はふと思いついた意地悪な質問を口にしてみた。


「勝つってのは今回のトンカツ戦争のこと? それとも天道くんのこと?」


 玲川の言葉に香織の顔が赤くなる。小さな丸い耳まで赤くして、彼女はマグカップのココアを口にした。次の瞬間、元々赤かった彼女の顔がさらに赤くなる。


「あっちー!」


 どうやらまだ冷めていなかったらしい。舌を突き出して顔をしかめる香織を見ながら、玲川は温顔を崩さなかった。

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