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『小銭稼ぎをこよなく愛する貧乏貴族、四人のエリートに人生を狂わされる』 ~楽して生きるはずが、なんでこんなことに~  作者: 佐藤なつ
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上司の姿とは

都を出ると何も指示を出していないのにスピードが上がった。

早い。

御者台はむき出しだから風が直撃する。

顔が痛い。


スピードを緩めたいのに、後ろには馬で追走する平民君。


行きも思ったけど、この速度についてこれるって何者だよ。

逃がさない圧がすごい。


諦めて前を向いて操縦に専念する。


午後に出発したから直ぐに日が傾いてきた。

野営するしかない。


問題は、俺一人で四人分準備できるか、だ。


馬車を止め、「野営の準備をする」と伝えると四人が降りてきた。

仕草がいちいち上品で鼻につく。


彼らは興味深げに外を眺め、

「美しい夕焼けだ。」

と、宣った。


観光じゃねぇんだよ!


言葉を飲み込み、せっせと野営の準備をする。

薪を集めようと森に入ると、平民君が現れた。

「なんで一人で準備してるんですか。」

「えっ?」

「部下がいるでしょう?」

「と、言っても・・・。」

「高位貴族ですよ!火も水も魔術で出せます!」

・・・・そうなの?


半信半疑で戻る。

4人とも、何故か椅子に座っていた。

椅子?

高位貴族って、火も、水も、椅子も出せるの?

出せないもの無いの?

疑問をぶつけたら、何かご家族がこっそりマジックバック持たせてくれたらしい。


勘当の意味とは?

めっちゃ手厚いサポート受けてんじゃん。

これだから高位貴族ってヤツは!

気を取り直して指示を出す。

「じゃ、シオン・・・さんは・・・。」

そこで後ろから視線を感じた。

馬車の後ろから平民君が見てる。

すっごい冷たい視線。

咳払いをして仕切り直す。


「シオンが火を!ルカが水を!エリアスが馬の世話を!バルドは馬車点検!!」


言い切って後ろを見る。

平民君が頷いて消えた。

あぁ、しんどい。


でも、そっからがマジでしんどかった。

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