本部長とお話し合い
前話と同日更新です。
章分けしたくてこうなってしまいました。
文字バランスがおかしくなってすみません。
気持ちが逸って、ついつい馬を走らせてしまった。
本部に着くと妙にザワついている。
いつもの長閑な雰囲気と違う。
正面玄関では、やけに立派な馬車。
『誰が乗るんだ?』と、眺めていると肩を叩かれた。
振り替えると、本部長。
「ロウ君、早かったねぇ!」
満面の笑顔。両手を広げて歓迎される。
そこで最初の違和感を感じた。
肩を組まれ、そのまま事務所へ連行される。
いつものザワザワした空気に紛れ違和感は薄れた。
「はい、辞令!」
事務員から本部長、そして俺にとバケツリレーで手元に来た辞令書。
また違和感が湧き上がる。
辞令書の内容は、ほぼ予想通り。
「王都からグレイフォード辺境領へ重要犯罪人4名、護送せよ。」
「4人一気にですか?」
「大丈夫。君一人だけじゃないよ。皆で行くから大丈夫。」
「皆?」
「そう、今から一緒に出るから。サインして。」
「今から??」
今すぐ?本部長も?あの馬車で?
違和感が積み重なっていく。
だけど、軍人は上の無茶ぶりに従うもの。
言われるままサインする。
した瞬間、書類が光った。
これは魔術書類だ。
「これって・・・!」
聞きたいが、急かされて正面玄関へ。
馬車は既に準備万端。
周囲には騎馬が4名配置されている。
物々しい空気だ。
さっきの書類に嫌な予感がするが、辞令は二枚複写を受け取らない限り強制力は無い。
大丈夫と自分に言い聞かせる。
気もそぞろだったからか、本部長が乗りこむ際に、あっさり手を引っ張られて強引に同乗させられる。
「あのぅ・・俺も馬で行きますよ。」
降りようとするも手を離してくれない。
まるで俺が護送犯みたいだ。
「うん。ちょっとロウ君とお話したくってね」
本部長が合図を出して馬車が動き始めてしまった。
全然振動が来ない。
乗り心地が良すぎる。
これは特別製だ。
恐らく魔術機構が組み込まれている。
俺が乗って良い馬車じゃない。
「さて、今から本題といこうか。」
本部長の手の拘束が解かれた。
代わりに、もう片方の手に握られっぱなしだったさっきの書類が再び目の前に。
本部長は俺の目の前で書類に手を翳し、呪文を唱えた。
文字が追加で浮き上がってくる。
「現地で4名部下とし、共に魔獣討伐に従事せよ。」
「いやいやいやいや無理無理!無理!!何これ!?詐欺じゃん!!」
語彙も礼儀も消失した。
上司は咎めることなく、むしろ穏やかな笑顔で
「無理じゃ無いよ。やる前から諦めてはいけない。」
ポンポン肩を叩いて諭してくる。
「いや、犯罪人を部下っておかしいでしょ?それに俺、討伐なんて研修以来やってな・・・。」
「大丈夫!!」
力強い一言で遮られる。
「彼らは超!有能!だから大・丈・夫!だよ。王立学園のエリート!いや、雲の上の人!やれちゃう予感しか無いでしょう!!・・・・実戦経験ゼロだけど。」
「根拠ゼロじゃねぇか。」
奮われた熱弁に本音が漏れ出た。
「えぇ?なんか言った?年のせいか耳が遠くてねぇ。」
耳に手を当てるわざとらしい仕草。
食えない狸だ。
「いやぁ、本来なら一生関われない殿上人を部下にできるなんて君はツイてるね!」
「いやいや、無理でしょ!身分が違いすぎて命令聞かないでしょ!
それに辺境なんてたたき上げの猛者だらけ!
中央の坊ちゃんなんて虐めの標的!!
俺も巻き込まれる!」
坊ちゃん達は可哀相だけど、自分が一番可愛い。
巻き込み事故、ダメ、絶対。
「いやいや、ロウ君。君なら上手くやれるよ。大丈夫!私が保証する。」
「口だけの保証されても!」
「口だけの君に言われたくないなぁ。」
はっはっはっ。
笑いながらトドメをさされてしまう。
「バニス君!最後まで見て!」
上司が指さす所に、もう一行追加されている。
『ロウ・バニスを小隊長に任命す。』
「昇給あるよ。」
「え!昇給?!」
途端に書類が輝いて見える。
「そうだよ。成果を上げたら、がっぽりだよ。がっぽり!」
ふらふら~と手が書類へと伸びた。




