貰えるものはなんでも貰う
すみません。
一度掲載したのを削除して、修正後また掲載しました。
この後、次の話も今日中に掲載します。一度読まれた方、申し訳ありません。
翌朝。
馬に鞍を締めているとダリオが顔を出した。
「・・・鼻歌なんて余裕だな。」
「あれ?そんな事してた?」
ダリオは肩を竦める。
やれやれって仕草だ。
「自覚なしかよ。超ご機嫌な感じしてたぞ。」
「えぇ?」
慌てて自分の顔を撫でる。
「こっちは、急な呼び出しに焦ってるだろうって思って、手伝いに来たっていうのに。」
「いやいや、ありがたい。ありがたいよ!」
手伝ってくれるって言うなら遠慮しない。
俺は貰えるものは有形有無に関わらず何でも頂く主義だ。
「丁度良かった。それ取ってくれ。」
「次は、これ。」
次々、手伝いを頼む。
ダリオは首を傾げた。
「・・・呼び出しがそんなに嬉しいか?」
「だってさ、これ!」
ポケットから新聞の切り抜きを取り出して広げた。
「『哀れ!女に狂わされた名家の跡取り達!!』」
見出しを読み上げながらダリオに渡すと、一瞬で表情が曇る。
「これ、あの女の件だろ?」
「あぁ。」
嫌そうに顔を顰めながら、ダリオは律儀に切り抜きを読んでいる。
「王子様を始め、全員、勘当の上、僻地行き決定か。」
新聞には、元王子を含む名家の跡取り達の実名が並んでいる。
悪霊に取り付かれた女に魅了をかけられ再起不能になったーーーなんて書かれてしまっている。
これだけ大々的に報じられれば、ほとぼりが冷めた頃に王都に戻るなんて事も出来ないだろう。
高位貴族としては終わりだ。
貴族って言うのは堕ちる時にはとことん堕ちる。
容赦ない。
その一方で、彼らの婚約者達は寛大に彼らを許したとか書かれている。
今回の処遇は、それぞれの家が自主的に決めたもので婚約者達は関与していない・・・と言うことらしい。
中でも、元王子の婚約者だった公爵令嬢は、一際、良い事を書かれている。
王子達に冷たく扱われながらも諦めることなく、女の本性を暴いたとか・・・。
一介の貴族令嬢が出来るのかというような活躍が書かれている。
見事な提灯記事だ。
恐らく、この記事も、公爵令嬢のご実家が書かせているんだろう。
これも貴族あるあるだ。
「怖いよな・・。悪霊を封じる為に公爵家は祠を建てる予定・・・。寄進を募っている・・。結局、金だな。」
怖いのは、もちろん悪霊付きではない。
金を集める発想だ。
こんな記事を出されては、王都の貴族は皆、寄進せずにいられないだろう。
これで公爵家は更に金持ちになり力を持つ。
ダリオの言葉に俺はブンブン頷いた。
「ま、庶民の俺たちには関係の無い話だろ。・・・で、これがどうしたんだ?」
ダリオは記事を丁寧に畳んで返してくれた。
「多分、今度は俺がこの内の誰かの護送につくんじゃないかって思うんだ。」
「ありえるな。それが嬉しいのか?」
理解不能という顔だ。
「だってさぁ、姪っ子の土産!王都で買えるじゃん。交通費が経費で落とせる!」
「スケールが一気に落ちたな。」
ダリオががっくりと肩を落とした。
「何、言ってんだよ。雲の上の方々の怪しい寄進話より、身の丈にあった未来の方が大事だろ。」
「そうだな。俺には、小銭に目が眩んで谷底に落ちる未来が見えるな。」
ダリオの予言は聞かなかったことにした。




