バルドとシオン
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シオンとバルドは朝食の下ごしらえ担当で、トレイブさんが指導。
エリアスとルカは夜食で使った食器や後片付け担当でオルクとリオットが指導。
トレイブさんは、気を取り直したように指示を出す。
「お前、名前は!」
「バルド。」
なんか名乗りの時が堂々として威圧的。
トレイブさん、一歩下がっちゃってる。
でも、踏みとどまって
「お前、材料・・鍋、野菜、薪を運べ。」
倉庫を指さした。
さすが騎士団息子。
了承するとすぐ動き出した。
さっき、水くみを見せた甲斐があってか、普通に運んだ。
いや、思った以上に大量に運べてトレイブさんは腰抜かしそうになってた。
バルドが力持ちすぎる。
軽い足取りで往復するバルド。
鍛錬でもしているみたいだ。
「な・・なかなかやるな。」
トレイブさん。
挙動不審になっているけど、頑張っている。
「お!お前!名前は!」
「・・・・シオン。」
にらみ付けるように答える。
またトレイブさん一歩下がった。
思ってたんだけど、こいつ視線がきついんだよな。
「し・・シオン。お前は野菜を洗え!バルドも運び終わったら洗うんだ。その後、野菜を切る。」
具体的な指示だ。
なんかトレイブさん、一生懸命伝えようと頑張ってる。
ちょっといい人なのかもしれない。
対して、俺の部下シオンは。
無言。
全然態度変えない。
そうだよな。
いつだって、合わせてもらう側だったもんな。
でも、もう自分の立場受け入れてくれないかな。
「返事。返事して。」
生活態度を指導しないといけないってどうなの?俺。
「・・・・・はぃ。」
ちっちゃ。返事ちっっちゃ。
で、結果。
「うわぁぁぁぁ!!!」
水浸し再び。
俺は咄嗟に作業台の下に隠れた。
音でなんか察せられる。
ビシャー、ビシャー水音。
ザシュ、ザシュ、切れる音。
恐る恐る覗いたら、思った通りの光景。
綺麗になった野菜が積まれ・・いや空に浮いている。
それが、瞬時に切られ、雨の様に下に落ちていく。
風魔法の応用・・か?
みじん切りが過ぎる。
いや、問題はそこじゃない。
「ストップストップ。」
俺が声をかけると、契約のお陰か止まってくれた。
じっと、こっちを見て。
「・・・何か?」
何か?じゃねぇよ。
「横見ろ!」
「・・・・。」
首だけ動かして真横を見る。
違う、俺と見つめ合うな!
「下!」
自分の足下を見た。
「・・・なにか?」
わざとか?
「斜めだ!・・斜め下だ!もう、俺の指先見ろ!ココ!ココだ!!」
可哀相にトレイブさん。
刻まれた野菜塗れになっている。
なのに、
「・・・何してるんですか?」
心底不思議そうに言うな!
犯人はお前なんだよ!
「野菜は、切ったら鍋に入れるんだ。」
「指示がありませんでした。」
指示待ち人間、嫌い。見て、察して動いて!
発狂したい気持ちを堪えて、子供に言い聞かせるように伝える。
「こんなみじん切り、回収して、洗って鍋に入れるなんて無理だろ。」
けど、無理だと思った事に限ってこなすんだよ。
有能!
有能の無駄遣いがすぎる!




