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『小銭稼ぎをこよなく愛する貧乏貴族、四人のエリートに人生を狂わされる』 ~楽して生きるはずが、なんでこんなことに~  作者: 佐藤なつ
任務開始

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11/19

辺境支部

辺境支部・・正式名称は前線中継基地。

昼夜を問わず討伐命令が下される戦場。

ここは、常に厳戒態勢だ。


深夜に到着したお陰で警戒された。

馬車が立派すぎるのもいけなかったらしい。


複写の辞令書を見せたが、

「は?」

と、微妙な反応。

しばらく、足止めされる。


どうしたもんかと困っていると、ザッザッと重い足音が。


「そいつらの件は連絡が来ている!」

低く響く声と共に、大柄な男が現れた。


ガルド大隊長。

取り囲んだ奴らが一斉に敬礼する。


10年前は小隊長で、俺の研修班を担当してくれてた。


当時よりも、一層、貫禄が出ている。

この辺境で10年。

戦い続け、昇進までした男。

ただものではない。



「こんな遅くに良くついたな・・と言いたい所だが、遅すぎる。迷惑だ。」

早速、説教されてしまう。

10年前の悪夢再びだ。


せめて、俺の事、忘れてますように。

との願いは、秒で消えた。


「お前、バニス!」

指を指される。

あぁ、ガッツリ覚えられていた。

「お、覚えていてくれて・・。」

「忘れられる訳ないだろ!口だけバニー。」

「やめて!部下の前で。」

黒歴史を暴露されるのは辛い。

「部下?逆だろ!お前がお付きの者じゃねぇのか?。」

大笑いでバンバン背中を叩かれる。

バカ力痛い。

後ろからの四人の視線も痛い。

俺の背中もメンタルもボロボロだ。


「まぁ、ともかく、ここではお前らみたいなひょろガキと口ばっかのヤツはいらんのだ。」

到着したばかりなのに、戦力外通告。


今日は遅いから、明日改めて話すと言われて、下っ端用の宿舎に案内された。

10年前も泊まったことがある研修宿舎。


外観を見ただけで四人は、

「馬車で寝泊まりするので結構です。」

と、言い出した。


え、それアリ?

って、思ったら、ガルドは苦笑し黙認。


そもそも、この馬車は騎士団長の私物で、奥様に内緒のコレクションらしい。

中継地に保管(隠して)あったのを、引っ張り出してきたのだとか。


親からの最後の餞別っていうけど、スケールがデカくない?

どうやら、他のご子息の実家も、なんか支援してるっぽい。


ガルド大隊長は遠回しな匂わせをしてきた。


それって賄賂って言うんじゃない?

この辺境まで腐敗が染みているとは。


呆然としている内に、四人は挨拶もなく馬車へ。

俺だけ残された。

とぼとぼと一人、宿舎の中へ。


ほこりっぽくて、ガラクタだらけ。

新人への嫌がらせだ。

10年前と同じ。

いや、年だけとって身体はガタガタだ。


物を避けて、なんとか寝台を確保して横になった。

ギシギシ鳴った。

壊れそうで心配だが、贅沢言っていられない。

眠れる時に眠っておかないと、明日に備えられない。


目を閉じれば、すぐに眠りが訪れた。


ただ、どこかで何か、人が囁く声が・・・。

そう、クツクツ笑うような気配が聞こえたような気がする。


ここからが本当の地獄の始まりだった。

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