なんでこうなった?
出発するとは言ったけど、肝心のお客様。
いや、俺の部下達の様子はどうなのだろう。
馬車の中を覗くと、ぐっすりご就寝中。
「どうしたもんかな。」
呟きが漏れた。
「中は無振動で、快適空間ですから気にしなくて良いでしょう。」
「はぁ・・そう。じゃ、準備手伝って。」
溜息が出る。
カイは黙々と火の始末や馬車の準備を手伝ってくれた。
かと思えば唐突に独り言を呟く。
よくよく聞くと、装備の説明だった。
知らないことばかりで、勉強になった。
出発前に、行程を確認、馬の事を考えて休憩ポイントも把握する。
一応、ご子息様達に声をかけたが、
返事がないか、生返事だ。
中には、
「寝ている時に、声をかけるなんて無作法だ。」
なんて言うヤツもいた。
イラつく。
遠慮無く馬車を出発させた。
馬の蹄の音が響く。
空は灰色から白。そしてゆっくりと赤に染まっていく。
馬の様子を見ながら、無理ない範囲で速度をあげていく。
やがて日が昇り、地平から光が溢れた。
朝の冷気に突っ込むように加速。
景色が流れていく。
凄い。
やっぱり、早い。
でも、昨日より辛くない。
風よけ最高。
操作性も抜群。
一部はオートにすらできる。
全部、カイが教えてくれた。
本部長は、何も教えてくれなかった。
本当に酷い。
そもそも、『一緒に行く』って言ってたのに。
「王都までは、一緒に来たでしょ?」
って言われたんだよな。
思い返すと腹が立つ。
怒りを燃料に、操縦に集中した。
馬車内のお貴族様は、読書、ボードゲーム、昼寝、ティータイムと優雅な時間を過ごす。
俺は、肉を囓って飢えを凌ぎ、川の水を飲で渇きを癒やした。
生水を飲むなんて衛生観念が・・なんて呆れた眼で見られても耐える。
絶え間なく怒りの燃料を注入されたお陰で、当日到着を成し遂げた。
正直な所無理だと思ってたのに。
出来るなんて。
俺、頑張った。
本当に頑張った。
深夜になったけど。
達成感で胸いっぱいの俺を出迎えてくれたのは警備の人間。
警笛を鳴らされ、後から後から、わらわら人が出てきて・・・・。
槍や剣を向けられた。
何で、こうなった?




