表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/33

第8話「エコー・ラボの再編ーⅠ」

《エコーラボ》の再編が始まって数日。町人たちはそれぞれの役割を担い、荒れ果てた土地に少しずつ命を吹き込んでいた。


ユウは、ラボの奥にある装置の前で“記憶の芽”を見つめていた。淡く光るその種は、装置の中央に浮かび、静かに脈動している。


装置の上部には、ひとつの表示が浮かび上がっていた。


進化率:20%


「まだ…芽の段階なんだね」ユウが呟く。


リナが隣で首を傾げる。「でも、これって…100%になったら、違う形になる可能性もあるってこと?」


「うん。今は“種”だけど、もしかしたら“芽”じゃなく、“記憶の核”とか…別の存在になるかもしれない。だから、今は保管しておこう」


ユウはそう言って、装置に種を戻した。装置は静かに反応し、種を包み込むように光を収束させた。


「街の再生が進んでから、もう一度呼びかけよう。今は…土台を整える時だ」


町人たちの役割と新たな仲間

オゾンの指示のもと、町人たちは六つの班に分かれて動き始めていた。それぞれの班には、頼れるリーダーが立っていた。


伐採屋班:グレン(男・筋骨隆々・木属性魔法) 斧を振るうだけでなく、木々の魔力を読み取り、無理なく伐採する技術を持つ。森の開墾を担当。


運送屋班:ミナ(女・小柄・空間転移術) 空間をねじ曲げて、重い荷物も軽々と運ぶ。伐採された木材の運搬を担う。


建築屋班:ドロス(男・中年・土属性魔法) 木材の加工と建築を担う。かつて王都の建築師だったが、今はこの地で再起を図る。


工房屋班:セラ(女・長身・火属性魔法+鍛冶技術) 鉱石から鉄鋼を生み出す工房の主。繊細な火加減と魔力制御で、武具も工具も作り出す。


農業屋班:トモエ(女・ふくよか・植物との対話能力) 畑の管理と農作業全般を担当。植物と会話できるため、作物の育成に長けている。


冒険屋班:ライガ(男・俊敏・探索と狩猟の達人) 鉱石や薬草の採取、狩りなどを担当。野生の勘と魔獣への知識が豊富。


それぞれの班が連携し、エコーラボの再建は少しずつ形になっていった。


ある日、工房屋のセラがラボを訪ねてきた。彼女の隣には、相談役のオゾンが静かに立っていた。


「ユウ、少し話があるの」とセラが切り出す。


ユウが顔を上げると、オゾンが補足するように言った。「工房の設備についてだ。セラの鍛冶技術を活かすには、今の環境では限界がある」


セラが頷く。「鉄を加工するには…溶鉱炉が必要なの。魔力制御だけじゃ、もう追いつかないわ」


ユウは少し考えたあと、装置に向かって呼びかけた。「この地に必要な設備を…溶鉱炉の設計図を出してくれ」


装置が静かに反応し、光の粒が集まって一枚の設計図が浮かび上がる。


「これは…初歩的な溶鉱炉の設計図だ。今はこれしかないけど、準備して進めてほしい」ユウはセラに手渡す。


セラは図面を見て、目を細めた。「十分よ。これがあれば、鉄をもっと活かせる。ありがとう、ユウ」


オゾンも満足げに頷いた。「これで工房班の動きが加速する。街の再生も一歩進むな」


その夜、ユウとリナはラボの屋上に立ち、町の様子を見下ろしていた。焚き火の光が点々と灯り、町人たちの笑い声が風に乗って届く。


「少しずつ、街が息を吹き返してるね」リナが微笑む。


「うん。記憶の芽を植える日は、まだ先だけど…進化率が100%になった時、何が現れるのか楽しみだ」ユウは空を見上げる。


そして、ふたりは装置の奥に眠る種を思いながら、再び歩き出す。記憶の水が導いた出会いと、芽吹きの時を信じて――。


第9話 新たな問題が・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ