第9話「エコー・ラボの再編ーⅡ」
―新たな問題と、希望の探索―
再編が始まって、エコー・ラボの中心では、初めてのリーダー会議が開かれていた。 町の再建を担う六つの班のリーダーたちが集まり、中央ホールには緊張と期待が入り混じった空気が漂っていた。
仕切り役は、相談役のオゾン。彼は静かに立ち上がり、全員を見渡す。
「皆、集まってくれて感謝する。今日は現状の報告と、今後の課題について話し合いたい」
現状報告と順調な点
まずは、各班のリーダーが順調な点を報告していく。
伐採屋班・グレン:「森の開拓は順調だ。木材の供給も安定してきた」
運送屋班・ミナ:「空間転移での運搬は効率的。資材の流れは滞っていない」
建築屋班・ドロス:「住居の骨組みは完成間近。基礎は整ってきた」
工房屋班・セラ:「溶鉱炉の設計図をもとに、鉄の加工が始まった。工具の質も向上している」
町は確かに動き始めていた。だが、次に語られたのは、順調さの裏に潜む“新たな問題”だった。
浮かび上がる課題
オゾンが静かに問いかける。「今、困っていることはあるか?」
冒険屋班・ライガ:「警護と狩りを兼任してるが、人手が足りない。魔獣の気配も増えてきてる」
農業屋班・トモエ:「畑の準備はできてるけど、作業員が足りなくて…まだ種まきに入れてないの」
セラ:「衣類の不足が深刻。寒暖差もあるし、布の加工班が必要だわ」
リナ:「子供の世話をする人がいない。親たちが作業に出られず、手が回らないの」
会議室に沈黙が落ちる。人材不足――それが、すべての問題の根底にあった。
ユウの提案
ユウは静かに立ち上がり、皆を見渡す。
「この街を支えるには、もっと人手が必要だ。そこで、ひとつ提案がある」
オゾンが目を細める。「聞こう」
「皆さんが教団に捕らわれていた時、研究支部が他にもあるような話を聞いていないか? もし、まだ捕らわれている人たちがいるなら――助け出すのはどうだろう」
その言葉に、空気が揺れた。
グレンが腕を組みながら言う。「確かに、俺たちがいた施設は“第七支部”と呼ばれていた。他にもある可能性は高い」
ミナが頷く。「移送の途中で“第三支部”の名前を聞いたことがある。場所は不明だけど…」
オゾンは静かに言った。「人材不足を補うには、外から人を迎えるしかない。だが、教団の施設に潜入するのは危険だ」
ユウは迷いなく答える。「だから、僕とリナで行く。記憶の芽が進化するには、街の命が育たなきゃいけない。今はその土壌を広げる時だ」
リナも立ち上がる。「私たちの旅は、まだ終わってない。むしろ、ここからが本当の始まり」
オゾンはしばらく黙った後、深く頷いた。「ならば、準備を整えよう。装置に支部の位置情報を探らせる。出発は…進化率がもう少し上がった頃がいい」
会議の終わりに
会議の最後、装置の表示が静かに変化した。
進化率:20% → 25%
記憶の芽は、街の動きに呼応するように、少しずつその姿を変え始めていた。
そして、ユウとリナは新たな地平へ向けて、再び歩き出す。 捕らわれた人々を救い、希望の街を築くために――。
第10話 新たな冒険の準備と出発!




