第10話「旅立ちの支度と、風の兆し」
―霧の谷へ、希望の探索―
朝の光がエコー・ラボの広場を照らす頃、ユウとリナは静かに装置の前に立っていた。 装置の表示は、前回の会議以降変化していない。
進化率:25%(固定)
記憶の芽は、街の再編に呼応して一度進化したが、今は沈黙を保っている。 ユウはその光を見つめながら、オゾンに問いかけた。
「記憶の水があれば…この装置はさらに進化するはずだよね?」
オゾンは頷く。「ああ。記憶の水は、過去の英知を呼び覚ます鍵だ。だが、今は手元にない。可能性があるとすれば――第三支部だ」
霧の谷への準備
第三支部の座標は、装置の解析によって北西の霧の谷にあると判明した。 かつて教団が研究施設を構えていた場所。魔獣の気配も濃く、探索には慎重さが求められる。
リナは工房屋のセラから防寒装備と魔力灯を受け取り、ミナからは空間転移装置の小型版を受け取った。
「緊急時に使って。座標はエコー・ラボに固定してあるから、戻ってこれるはずよ」ミナが言う。
ライガは地形図と魔獣の出没記録を渡しながら警告する。「霧の谷は視界が悪い。魔獣も潜んでる。油断するなよ」
そして、トモエが手渡したのは――食料だった。
「これ、保存食と水。もし人が捕らわれていたら、すぐに渡せるように多めに用意したの。子供にも食べやすいものを選んだよ」
ユウは感謝の言葉を口にしながら、荷物をアイテムBOXに仕舞う。
それぞれの想い
出発前、リーダーたちが見送りに集まった。
グレン:「無理はするな。だが、仲間を見つけたら…連れて帰ってきてくれ」
ドロス:「帰ってきたら、君たちのための家を建てておくよ。ちゃんと暖かいやつをな」
セラ:「記憶の水が見つかったら、装置の進化だけじゃない。街の技術も、きっと蘇る」
リナは微笑みながら答えた。「うん、絶対に帰ってくる。みんなで一緒に生きるために」
出発の時
ユウとリナは、装置に記された座標を確認し、霧の谷への道を歩き始める。 その背中には、街の希望と、まだ見ぬ仲間たちへの祈りが宿っていた。
風が吹いた。 それは、過去の残響を運ぶ風。そして、未来への扉を開く風だった。
記憶の芽は静かに光を灯しながら、進化率25%のまま、次の“水”を待っていた――。




