第23話「塀の向こう、記憶管理局との接触」
ギルドの掲示板に、新たな依頼が貼り出されていた。 「記憶管理局への報告書の運搬補助」――依頼主は、工業圏の外縁にある小規模工房。報酬は銀貨6枚。目的地は、記憶域の南側にある“管理局出張所”。
「これって、記憶管理局の人と直接話せるチャンスじゃない?」リナが目を輝かせる。
「塔のこと、聞けるかもしれないな」ライが頷く。
4人は依頼を受け、工房へ向かう。工房の職人は、記憶管理局に提出する“魔力安定装置の試作報告”を託す。
「管理局の人間は、塔のことも知ってるはずだ。うまく話を引き出せれば、何か掴めるかもな」レイナが言う。
道中、工業圏の外縁は騒がしく、煙と蒸気が立ち込めていた。ユウは、塔の静けさとの対比に不思議な感覚を覚える。
「ここは“記憶”より“生産”の場所だな…」と呟く。
出張所に到着すると、管理局の職員が応対に出る。若い男性で、名をカイと名乗る。
「報告書、確かに受け取った。君たちはギルドの新人か?」
ユウが頷くと、カイは少し驚いたように言う。「Fランクでここまで来るとは、なかなかの根性だ」
リナが思い切って尋ねる。「塔に入るには、やっぱり銀貨10枚のお布施が必要なんですか?」
カイは少し沈黙した後、答える。「それは“表向き”のルールだ。だが、実際には“記憶管理局”が塔の運営を監視している。教会は儀式の場に過ぎない」
「じゃあ、塔の試練って…本当に記憶に関係してるんですか?」ユウが問う。
カイは目を細める。「それは、君たち自身が確かめるしかない。だが、塔の最上階には“記憶の核”があると言われている。そこに触れた者は、過去と未来を垣間見るらしい」
帰路、4人はそれぞれの思いを胸に歩く。 「記憶の核…それが俺の探してるものかもしれない」ユウが呟く。
「でも、チャレンジは一人一回。失敗したら、もう二度と挑戦できない」レイナが言う。
「なら、準備を整えてから挑むしかない。情報も、仲間との絆も」ライが静かに言う。
その夜、宿の屋上で4人は星空を見上げる。塔の尖塔が、遠くに光っていた。
「次の任務は、生活圏に関係するものを探そう。塔に近づくには、あらゆる角度から攻めるしかない」リナが提案する。
「うん。少しずつ、塀の向こうに手を伸ばしていこう」ユウが答える。
第24話「鉱山の罠、塔への突破口」




