12話 新しい家庭
リニューアルしてから使い方にかなり苦労しています。
前回もそうだけど、投稿しても『これで大丈夫かな?』と不安です。
「「「ただいま~~~」」」
3人の声が勇気の自宅玄関の中で響く。
「お帰りなさい。」
家の奥から女性の声が響く。
勇気とほむらが目を合わせた。
「あの声がほむらの母さんか?実は俺の記憶にはあまり残っていないんだよな。ちょっと不安だよ。」
「うん・・・、私の記憶では間違いないけど、この記憶ってあのイザナギに植え付けられた記憶だからね。実際の母さんはどうなのか、私も少し心配しているのよ。」
2人が緊張しているが、なぜか理沙もジッと黙って立っていた。
「理沙、どうしたのよ?何かあったの?」
「まさかと思うけど、この声は・・・」
理沙の額から汗が流れる。
廊下の奥にるリビングから1人の女性がエプロン姿で出てきた。
ほむらに似たかなり美人の女性だ。
どう見てもほむらの母さんというより姉さんと呼んでも違和感がない。
いや!姉妹と言った方が間違いは無いのではないか?
(親父!大丈夫か?母さんと比べものにならないくらいに美人だぞ。そんな人と結婚した?ある意味、イザナギに感謝だな。)
その女性が驚いてる勇気とほむらの前に立つ。
「勇気君にほむらちゃんね。イザナギ様から聞いてるわ。私があなたの母さんになるから、これからよろしく。うふふ・・・」
パチンと可愛らしくウインクをする。
「「はぁ!」」
(何でイザナギの名前が出てくる?)
いきなりイザナギの名前が出てくるものだから、さすがの勇気も状況を上手く呑み込めない。
隣にいるほむらに視線を移したが、勇気と同じように目が点になって女性を見ていた。
「イリス!ちょっと事情を説明して!」
ダラダラと冷や汗を流していた理沙がいきなり大声で叫んだ。
その女性は理沙へ向き直ると深々と頭を下げた。
「クラリス様、お元気そうで良かったです。これからはあなた様もお世話をさせていただきますのでよろしくお願いしますね。」
「「理沙!」」
フリーズ状態だった勇気とほむらが再起動し、2人同時に理沙の肩を掴む。
「どういう事だ?」
「理沙!あなた!知っていたの?」
「し!知らないわ!私も何が何だか・・・」
2人に詰め寄られガタガタと震える理沙であった。
「こ、こ、怖いよぉぉぉ~~~、ダメ・・・」
ガクガクとしながら気絶してしまった。
・・・
「理沙、まだトラウマが残っているのにゴメン・・・」
リビングのソファーで4人が座っているが、ほむらが理沙へペコペコと頭を下げている。
ほむらの隣に座っている勇気も申し訳なさそうに頭をポリポリと掻いていた。
「まさかイリスが勇気さんとほむらさんの母親になるなんて・・・」
理沙がイリスと呼んだ女性をジロジロと見ている。
「お互いに知っているんだよな?お前が女神だった頃からか?」
勇気が理沙へジト~っとした目で見ている。
「そうよ。」
理沙の代わりにイリスが返事をする。
「クラリス様、ここは私に任せて下さい。」
イリスが理沙へ頭を下げる。
「勇気君とほむらちゃんとは初めて会うわね。私はかつてクラリス様の補佐の1人であったイリスと言うわ。でもね、今の私はあなた達の母親『静流』なのね。私も勇気君の戦いを見ていたわ。あのクラリス様が手も足も出ない程に圧倒的だったのをね。」
その言葉に勇気とほむらがチラッと理沙へ視線を移すと・・・
冷や汗ダラダラで俯いている理沙がいた。
何だろう?とっても焦っている感じに見えると、勇気もほむらも感じた。
「正直、私はクラリス様をボロボロにしてくれてとてもスッキリしましたよ。ざまぁ!ですよ!」
あっけらかんとした表情でイリスが嬉しそうに勇気へ微笑んだ。
「だって、クラリス様って勇気君もほむらちゃんも知っていると思うけど、性格は最悪だしね。とっても傲慢だから言葉は汚いわ、圧はハンパないし、自分優秀だから仕事が出来るからって、部下の私達まで上司であるクラリス様と同じレベルを求めてくるのよ。あまりの理不尽な職場環境に、クラリス様の元にいた同僚の天使達はどれだけ心を病んで再起不能になったか・・・、私もかなりヤバいところまでになっていたの。」
まさかのブラック職場の暴露!
神の世界も人間の世界もそう変わっていなかったと、しみじみ思う勇気だった。
「理沙ぁぁぁ・・・」
ほむらがとっても冷たい目で理沙を睨む。
「イザナギの言った事はやり過ぎだと思ったけど、あんた・・・、それだけやり過ぎていたんだから因果応報だった訳ね。」
「う、う、う・・・・・・・・・・・・・」
真っ赤と真っ青の顔色が交互に変化している理沙だった。
「悪かったわ・・・」
ボソッと理沙が呟いた。
「あの頃の私はそれまで挫折なんて無かったし、その上、ライバルのアンジェラより先に世界を管理する女神に抜擢されたから舞い上がっていたのでしょうね。イリス達に酷い思いをさせた事は申し訳ないと思うわ。」
「ふふふ・・・」
イリス(静流)がニコニコと笑っている。
「イリスゥゥゥ!何か言いたいの?」
まだ少し照れたような赤い顔で静流を睨んでいるが、元が美少女なものだから可愛らしく見えるだけで、怖い感じが全くしない。
「いえいえ、クラリス様も変わりましたと思っただけです。あなた様は絶対に謝る事が無かったお方でしたからね。今、こうして謝罪の言葉を聞いたのも幻聴かと思うほどに意外でしたね。」
「理沙・・・」
何か憐れみの視線で勇気が理沙を見ている。
「お前、本当に人望も全く無いクソ女神だったんだな・・・」
しみじみとした勇気の言葉で理沙がプルプルと細かく震え俯いてしまった。
「もう言わないでよぉぉぉ~~~~~~」
「あらら・・・、泣いちゃったね・・・」
ホムラが少し同情の視線を理沙へ送るが、静流が首をゆっくりと振った。
「少しはいい薬ですよ。それにね、私がこれからクラリス様、いえ理沙さんのここいる間の母親代わりの役目もありますしね。少しは私もそれらしい事をしないとね。」
パチンとほむらへウインクをする。
「もちろん、ほむらちゃんの母親はずっと続けますよ。私の人間としての寿命が尽きるまでね。」
「えっ!」
ほむらが驚きの表情で静流を見つめた。
しかしすぐに怪訝な表情に変わる。
「それってどういう意味か分かって言っているの?あなた、人間に偽装したんじゃなくて人間そのものになったって事?」
「そうよ。」
嬉しそうに静流が微笑む。
「私ねずっと人間に憧れていたの。天使として生まれてずっと生きて、たくさんの人間を見てきたわ。私達神域にすむ神族に無いものを人間は持っているのね。私も誰かを愛して家庭というものを持ちたかったの。神族としては失格だと思うけど、私は人間のように愛に憧れたの。普通はそんな事をしてしまえば神族の裏切り者として神格を消され下界へ落とされてしまうけど、今回はねイザナギ様が勇気君達の力になってもらいたいって事でね、私があなた達に協力する事になったのよ。」
「だけど、それと人間になるって事は違うわ。そんな事をしたら・・・」
「大丈夫、これは私の本望よ。それにね、勇気君のお父さんを一目見た時にピピッと来たのよ。これは運命だなんてね。うふふ・・・、だから後悔なんてしない、私は人間として生きていくって決めたの。それは多分、あなたのお母さんもじゃないかな?」
ザワッ!
ほむらから大量の殺気が溢れ出す。
「母さんの事を言うな!」
「いいえ!言わせてもらうわ!」
ニコニコしていた静流の表情が真剣になった。
「私も噂程度では知っているわ。」
その言葉でほむらがピクっと動いた。
「あなたの境遇もイザナギ様から聞いたけど、あなたのお母さんはあなたの事を愛していたのでしょう?それと旦那様の事もね。とっても愛していたんじゃないのかな?裏切り者の烙印を押されても旦那様とほむらちゃんを必死に守ったからね。私も天使から人間になってしまったし、たった数十年しか生きられない体になってしまったわ。でもね私は後悔していないの。たった1人の人を愛する、そして家族を愛する。これは神域では叶わない夢だったわ。それが今、叶ったのよ!私はあなたの本当のお母さんじゃないけど、私はあなたを実の子供だと思って接するつもりよ。イザナギ様の思惑は関係無いの。私があなたのお母さんになりたいのよ。」
「いいの?」
「もちろんよ。私も念願の母親になれるのよ。ほむらちゃん、私を本当のお母さんと思って甘えてもいいのよ。」
スッ・・・
ほむらからの殺気が消える。
そしてほむらの目には涙が溜まっていた。
静流がゆっくりと両手を広げると、ほむらが静流に抱き着く。
「母さんと同じ香りがする・・・」
「ほむらちゃん・・・」
「母さん・・・」
「勇気さん・・・」
クイっと理沙が勇気の服の袖を摘まんで引っ張る。
「どうした?」
「あの2人の邪魔をしたら悪いかな?って思ったの。」
理沙が嬉しそうにほむらと静流の方を見つめている。
「そうだな。」
勇気も頷く。
「じゃぁ、勇気さんの部屋に行かない?私も少しあなたに話したい事があるの。」
「恨み言なら聞かないぞ。」
「違うわよ!そんなんじゃないけど・・・、あなたには本当の事を知ってもらいたいの。私がここにいる訳を・・・」
段々と理沙の言葉が小さくなっていく。
「分かった。」
勇気が小さく頷いた。
「それで、俺に話したい事は何だ?」
2人は勇気の部屋に移動し、勇気は椅子に座り理沙は勇気のベッドに腰掛けた。
「まずはあなたに謝らせて欲しいの。私があなたにどれだけ酷い事をしたのか、私自身がどれだけ醜い考え方をしていたのか、やっと理解出来たの。」
そう言ってベッドから降り両膝を床に着けようとする。
「ちょっと待て!」
「え!何で止めるの?」
心配そうに理沙が勇気を見ている。
「もしかして土下座くらいでは全然許してくれないの?そうね・・・、私のしたことはこれくらいで許してくれるようなものじゃないし・・・」
「だから違うって!そんな事はもうどうでもいいんだよ。」
「どういう事なの?どうでもいいって?」
理沙が心配そうに勇気を見つめる。
「俺はもう別に怒ってもいないし、色々と巻き込まれてしまったけど、これからの事はお前には関係ないからな。」
グッと勇気が拳を握る。
「俺はもう昔の俺じゃないしな。大概の事は自分で自分を守る事も出来るようになった。神々の思惑なんて俺は関係ない。手を出してくるなら全て返り討ちにするだけだよ。」
ジッと勇気が理沙を見つめる。
「それにお前は反省したんだろう?心からな。今のお前を見れば俺でもそれくらいは分かる。だったらこれでお終い!分かった?」
理沙の目からポロポロと涙が流れる。
「勇気さん・・・、こんな私に情けを・・・」
そんな理沙の様子を見て照れくさそうに顔を背けてしまう。
「イザナギもやりやがったな。理沙を美少女にしたのは絶対にワザとだろうし、俺がどんな反応をするか隠れて見ているんじゃないか?あいつならやりかねん。」
「あはっ!バレちゃったね。勇気君、勘が鋭いよ。さて、ほむら君が部屋に向かっているよ。2人っきりをどう良い訳するのかな?ほむら君は僕が思った以上に嫉妬深いみたいだしね。うふふ・・・」
学園の理事長室で理事長姿のイザナギがニヤリと笑った。
「私が美少女・・・、また言われた・・・」
真っ赤な顔で理沙が勇気の前で俯いている。
「ねぇ、勇気さん、私ってそんなに・・・」
顔を上げグッと勇気に迫る。
バタン!
「「「あっ!」」」
ほむらが勇気の部屋のドアを開けた。
開けた瞬間、ほむらの動きがピタッと止まる。
彼女の視線の先には・・・
真っ赤な顔をした理沙が勇気のすぐ目の前まで迫っている。
勇気と理沙の首がギギギ・・・と、ぎこちなくゆっくりとほむらへ向いた。
「あんた達・・・」
ほむらが再起動したが、その全身には炎が纏わりついている。
圧倒的な強者が放つオーラと遜色ない威圧感がほむらから発せられた。
「私に隠れて何をしていたのかな?」
ニコリと最上級の笑顔で微笑むほむらに睨まれた勇気と理沙は、ただひたすらガクガクと首を細かく振るしか出来なかった。
終わり方が同じパターンが多い気が・・・
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やる気倍増になります。




