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利休になった日  作者: shoundo
第8節 戦場
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第8・8節 古田と熱海で特訓

7月中旬、古田が小田原城にやってきた。

古田:「お久しぶりです、利休殿。お元気でしたか?」

私:「手紙には書かなかったのですが、風邪を引いてました。」

古田:「薬が効きにくかったでしょう。風邪を引くと治りにくいですからね。そうだ、熱海の温泉にでも行きましょう。宿の風呂と違い、体が温まり良いですよ。病み上がりにはうってつけです。いろいろ話もしたいですしね。」

私:「温泉ですか!良いですね。」

古田:「では利休殿、関白様に御許可をいただいて、温泉旅行へ行きましょう。」


私は早速、秀吉に温泉旅行の件を相談した。

秀吉:「そうじゃな、わしは戦後処理で忙しい。適当に人選して温泉に行ってまいれ。しっかり養生(ようじょう)するように。それと、もう茶は良いので、そのまま京へ戻っても良いぞ。」

私:「はい。ありがとうございます。」


熱海に着いた途端、古田は特訓を開始した。

古田:「利休殿には8月より『利休百会記(りきゅうひゃくかいき)』を書いていただきます。数日に一回は茶会を開き、その茶会記(ちゃかいき)後世(こうせい)に残すのです。関白様以外にも、様々な人にお茶を供します。納得のいく点前を見せるため、今日から特訓を開始します。良いですね。」

私:「温泉には、休息を取りに来たわけではないのですね。」

古田:「京都と違い、周りの目を気にせず稽古ができますからね。一週間程、特訓し、最初の茶会に臨みましょう。」

私:「最初の茶会は、誰を呼ぶのですか?」

古田:「そうですね、『松屋会記(まつやかいき)』の松屋久好(まつやひさよし)殿あたりでしょうね。今日から毎日、茶事を三回はしたいですね。それに利休殿は宿題だった竹花入や茶杓を作っていませんね。熱海にいる間に作りますよ。」

私:「うわ~。勘弁してください。」

古田:「駄目です。始めますよ。時間がもったいない。」


その日の夕方、特訓で疲れた状態で、綺麗な夕日に映える砂浜を眺めていると、古田が話しかけてきた。

古田:「この砂浜を見て、何か感じますか。」

私:「いえ、何も。とにかく疲れました。」

古田:「歴史では、ここの砂浜を見て、利休殿は風炉の灰型(はいがた)遠山(とおやま)を思いつかれます。では、この後ですが、蝋燭(ろうそく)を灯しながら茶事をします。夜咄(よばなし)茶事(ちゃじ)と言います。」

私:「はぁ、まだ続くのですね。」

古田:「まあ、夜咄の茶事が終わったら、温泉にでも入りましょう。」


その日から毎日、古田と二人で茶の湯の練習に明け暮れた。

また、竹花入を二つ作り、古田にその一つを「園城寺(おんじゅおじ)」と名付けられた。

茶杓は時間の許す限り、何本も削った。

そして、一週間が過ぎた。

古田:「明日には、京都へ出発した方が良いでしょう。8月17日から『利休百会記(りきゅうひゃくかいき)』を書き始めてください。ただ、その前に、茶事を何回か練習しておいてください。松屋久好(まつやひさよし)殿は8月17日の前に呼んで、『利休百会記(りきゅうひゃくかいき)』には書かない方が良いでしょうね。」

私:「わかりました。いろいろありがとうございます。ところで古田殿は、一緒に京都には戻らないのですか?」

古田:「私は関白様と共に、会津(あいづ)の方へ行って、戦後処理をします。天下統一後、関白様は太閤秀吉(たいこうひでよし)を名乗られるので、今後は太閤様と呼ぶことになるかもしれませんね。」

私:「本当に、私は歴史の中心にいるのですね。」

古田:「そうですね。さて、最後の練習をします。心の準備は良いですか?」

私:「準備は良くないですが、よろしくお願いいたします。」


翌8月1日、私と古田は逆方向に進路を取った。

数人の御伴と共に、京都に向かい、二日ほどで京都に到着した。

私:「只今、戻りました。」

宗恩:「おかえりなさいませ、利休様。よくご無事で。それと、息子の少庵(しょうあん)が来ております。」

私:「会いましょう。」

宗恩:「少庵、利休様が帰宅されました。こちらへ来てください。」

少庵:「おかえりなさいませ、父上。ご無事で何よりです。」


少庵は足を引きずりながら、ゆっくりと玄関へ歩いてきた。

足には触れず、茶会の話題を切り出した。

私:「数日以内に茶会をしたいと思っています。松屋久好(まつやひさよし)殿を呼びたいのですが、宗恩、連絡してもらえますか。都合を聞いてきてください。」

宗恩:「かしこまりました。」

少庵:「父上、私も参加してよろしいですか?久しぶりに父上の茶を見たいと思います。」

私:「良いですよ。宗恩、松屋久好(まつやひさよし)殿にその旨も伝えてください。」

宗恩:「はい。」

私:「とにかく疲れました。風呂に入りたいのですが、良いですか?」

宗恩:「もちろんです。すぐに風呂を焚きますので。」


翌日、松屋久好(まつやひさよし)から8月9日ではどうか、という返事が来た。

8月9日に朝茶事をする事で決定し、少庵と茶事の練習を始めた。

練習では、ほぼ問題なく茶事を進行できた。古田との練習の成果だろう。

今後、8月17日から連日茶事を催し、『利休百会記(りきゅうひゃくかいき)』という茶会記を書いて行くことになる。

練習の茶会はこれが最後であろう。


この作品は「YouTube(

https://www.youtube.com/watch?v=7f0m6ZipJWw&list=PLH33wsaeFCZVs3pm2qrdF_X2PLHNqSU-v&index=19

)」にも掲載しています。

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