第8・7節 小田原城開城
天正18年7月5日、私は、秀吉に黄金の茶室で茶を供していた。
武将:「報告いたします。小田原城より北条氏直が降伏を申し出ております。」
秀吉:「やっと落ちたか。よし、官兵衛を呼べ。」
しばらくして、二人の武将が現れた。
どちらかが黒田官兵衛ということか。
黒田:「黒田官兵衛、滝川雄利、参りました。」
秀吉:「雄利も一緒か。」
雄利:「はっ。」
秀吉:「宗易、北条の扱い、どうすれば良いと思う。」
私:「えっ?」
秀吉:「えっ、ではない。殺すか殺さぬか、お前が決めよ!」
人の命を左右する、重要な役割を押し付けられてしまった。
さて、何と答えよう。
私:「私は坊主、むやみに殺生されることを良しとはしません。どうか、寛大なご処置をお願いいたします。」
秀吉:「なるほど。官兵衛はどう思う。」
黒田:「利休殿の申されることは、最もだと思います。まずは、北条の言い分を聞いてみるのが良いかと。」
秀吉:「そうじゃの。では官兵衛と雄利に命ずる。北条氏直の話を聞いて参れ。」
黒田:「かしこまりました。」
秀吉:「宗易、もう一杯、茶を所望する。」
私:「かしこまりました。」
しばらくして、黒田官兵衛と滝川雄利が戻ってきた。
秀吉:「して、何と言ってきた。」
黒田:「北条氏直は、自身の切腹を持って、将兵の助命を申し出てきました。」
秀吉:「まあ、そうじゃろうな。宗易、誰を殺す。」
私:「えっ?」
秀吉:「えっ、ではない。誰を殺すか、お前が決めよ。」
またまた、人の命を左右する、重要な役割を押し付けられてしまった。
さて、何と答えよう。
私:「すでにお心は決まっているかもしれませんが、私は坊主、むやみに殺生されることを良しとはしません。どうか、寛大なご処置をお願いいたします。」
秀吉:「なるほど、官兵衛はどう思う。」
黒田:「利休殿の申されるように、助命されても良いかもしれません。これにより、関白様の寛大さを天下に示すことができます。」
秀吉:「では追放処分にでもするか。宗易もそれなら文句あるまい。」
私:「ありがとうございます。」
秀吉:「官兵衛、北条氏直にそのように伝え、全軍に徹底せよ。」
黒田:「はっ。」
秀吉:「それから、他に残っている城はどこだ。そこに総大将を捕まえたことを伝える。」
黒田:「忍城の北条氏政と北条氏照が、未だ籠城しております。」
秀吉:「忍城へ使者を送り、小田原城が落ちたことと北条氏直を追放処分にすることを伝えよ。」
黒田:「はっ。」
秀吉:「では宗易、もう一杯、茶を所望する。」
私:「かしこまりました。」
7月8日、使者の説得に応じず、忍城は籠城を続けている旨が伝えられた。
秀吉:「さて宗易。今度は殺すぞ。」
私:「私から何もいう事はありません。ですが、私は坊主、むやみに殺生されることを良しとはしません。どうか、寛大なご処置をお願いいたします。」
秀吉:「官兵衛、宗易はこう言っているが、誰を殺す。」
黒田:「利休殿の申されるように、あまり殺しても仕方がないと思われます。おそらくは主戦派がいるはずです。その者に責任を取らせれば良いかと。」
秀吉:「そうじゃの。ではそうしよう。家康殿はどうなっている。」
黒田:「数日以内に小田原城へ入城できます。」
秀吉:「では家康殿には小田原城へ入っていただこう。」
黒田:「かしこまりました。」
秀吉:「宗易、茶を所望する。」
私:「かしこまりました。」
数日後、最後まで抵抗していた忍城が降伏した。
秀吉:「宗易、ねぎらいの言葉はどうした。」
私:「お疲れ様でございます、関白様。これで天下統一がなったわけですね。私からは茶を差し上げる事しかできませんが、よろしければどうぞ。」
秀吉:「官兵衛、そなたも一杯どうだ。」
黒田:「では、いただきます。」
秀吉:「宗易、官兵衛の分も茶を点てよ。」
私:「かしこまりました。」
この作品は「YouTube(
https://www.youtube.com/watch?v=Hzi1BpV8peM&list=PLH33wsaeFCZVs3pm2qrdF_X2PLHNqSU-v&index=18
)」にも掲載しています。




