第2・2節 宗恩との食事
千家についた私は、玄関で千宗恩と出会った。
宗恩:「おかえりなさいませ、利休様。夕食ができておりますので、こちらへお越しください。」
私:「ありがとうございます。」
宗恩:「先日は、どちらかへお泊りになられたのですか?」
さて、何と答えよう。細川家と素直に言ってよいものかどうか。
とりあえず適当に答えてみる。
私:「はい、知人の家に泊めてもらいました。」
宗恩:「そうですか。では、お汁を温め直してきます。どうぞ、お先に食事を召し上がっていてください。」
私:「わかりました。いただきます。」
なぜか言葉が刺々しい。
どうも怒らせてしまったようだ。
その後、私と宗恩は、無言のまま食事を終わらせた。
宗恩:「何かございましたら、お声掛けください。では、おやすみなさいませ。」
私:「はい。おやすみなさい。」
宗恩は蝋燭の火を消して、部屋を後にした。
宗恩と利休の寝室は違うらしい。
今日は、二人の雰囲気が険悪だったので、正直助かったと思い、私は寝床についた。
私:「部屋が真っ暗だな。豆電球でもつけばいいのに。」
だんだん目が慣れてくると、床の間に花入が置いてあり、何も生けていないことに気付いた。
私:「花ぐらい生ければいいのに。」
とにかく、明日から命がけで戦国の世を千利休として生き延びなければいけない。
そのためには、茶道が必須科目となる。
私:「ああ、お茶の勉強しておけばよかった。愚痴が多いな。今日は寝よう。」
独り言をやめ、目を閉じると、すぐ眠りに落ちた。
翌朝、宗恩と無言で朝食を済ませた。
ただ、この状態が続くのは、さすがに息苦しい。
そこで思い切って宗恩に質問してみた。
私:「何か怒らせてしまいましたか。もし、そうなら謝ります。」
宗恩:「どこかへ泊られるときは、どなたかに言伝するか、出かける前に言ってくださいと以前お伝えしたはずです。おかげで食事が冷めてしまいました。」
私:「すみませんでした。」
宗恩:「いいえ、良いのです。それに、あまり束縛するのもよくありませんね。どうぞ、出かける際は、私に気兼ねせず行ってきてください。泊る連絡さえいただければ、安心できますので。」
私:「ありがとうございます。」
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