第2・1節 新しい味方は古田織部
細川三斎と一緒に細川邸から出ると、門前に古田織部が立っていた。
古田:「おはようございます、利休殿。よく眠れましたか?」
私:「はい、よく眠れました。」
細川:「まず、古田殿の家に行きましょう。」
先導する細川三斎についてしばらく歩くと、昨日見た古田織部の屋敷についた。
茶室に通され、しばらくすると、古田織部が扇子を置いてお辞儀をした。
古田:「私は、平成時代の裏千家教授です。利休殿、茶道はできますか?」
私:「小さい頃、祖母に習った気もするのですが、忘れてしまいました。」
古田:「そうですか。千利休に関する知識は?」
私:「祖母と母がお茶の先生で、話を聞いたことはあります。ただ、十年以上離れて暮らしていたので、お点前を習ったことはありません。」
古田織部と細川三斎が顔を見合わせる。
私もなんとなく、悲しくなってきた。
千利休が茶道の素人なら大問題だろう。
古田:「安心してください。千利休として、はずかしくないくらいまで練習しましょう。」
細川:「織部殿は、既に何人かの未来人に茶道を教えています。」
私:「よろしくお願いいたします。」
細川三斎が懐から大きな和紙を出し、小さめの机の上で何かを書きだした。
細川:「まず、日程を組みましょう。細川家、古田家、千家の三か所で稽古をするとして、問題は千家ですね。」
古田:「千宗恩殿が大抵いますね。」
細川:「人払いもできない上、茶道の知識もかなりある。」
古田:「こうしましょう。利休殿が私に教えるフリをしてください。間違った場合は、膝を叩く仕草をします。」
私:「その場合、正しい動作は教えていただけないのでしょうか?」
古田:「難しいですね。間違ったということだけ、覚えておいてください。」
私:「わかりました。」
細川三斎が、小さな机で書いた紙を畳の上に置き、説明をはじめた。
簡単な地図と共に、漢数字が書かれていた。
細川:「一が細川家、二が千家、三が古田家です。一週間を『一、二、三、一、二、三、茶会』という括りにします。茶会を繰り返して、技能の上達を図って下さい。」
私:「茶会というと、懐石や点前、全部するということですか?」
古田:「よくご存じですね。ですが、安心してください。はじめ利休殿には次客をしてもらいます。焦らず確実に力を付けていきましょう。」
細川:「では、私からこの時代で生きるために必要なことを説明します。」
お金の使い方、着付けの仕方などの説明を受けた。
相変わらず話が長く、眠くなる。
細川:「さらに、カタカナ用語は使ってはいけません。利休殿、聞いていますか?」
私:「あっ、はい。カタカナ用語ですね。」
細川:「最後に、兄の山田一郎に、我々が未来人だと知られた場合、殺される可能性が高いです。特に注意してください。それでは、明日から一週間を一括り(くくり)として日程をこなして行きましょう。」
古田:「覚えることが多く大変でしょうが、がんばりましょう、利休殿。」
私:「よろしくお願いいたします。」
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