第7・6節 書道の基本と練習 ~真・行・草について~
食事の後、古田家での特訓が再開された。
古田家の書院に通された私は、待っていた細川に挨拶した。
私:「よろしくお願いいたします。」
細川:「乗馬は大変でしたでしょう。どこか痛くありませんか?」
私:「今のところは大丈夫ですが、明日は筋肉痛かもしれません。」
細川:「この時代、シップなどはないので、痛くなりそうな部位を、ご自分で軽く揉んでおいた方が良いですね。」
私:「わかりました。」
二人でそれぞれの文台の前に座った。文台には紙や硯など、必要なものが揃っていた。そして、細川が書の説明を始めた。
細川:「では、書道を始めましょう。以前、紙と硯の話をしましたね。今日は書体について話しましょう。まず、真・行・草という言葉はご存知ですね。」
私:「はい。茶道の用語ですね。」
細川:「元は、書道の用語から来ています。真・行・草という三つの文字は、書道における書体の類型を示すものです。書聖・王羲之によって、古代の篆書・隷書に対して、真書・行書・草書の三体が確立します。 真書は、楷書のことです。」
私:「書聖・王羲之?」
細川:「王羲之は、今から1300年程前、西暦で言うと303年~361年頃の中国の人です。
7歳の時から衛夫人のもとで書を学び、 12歳の時に父の枕中の秘書を盗み見、その技量が進んだようです。この時代にあっては、まだ新しい書体であった行書・草書を、たった一人で、一挙に完成の域にまで高めます。」
私:「つまり、行書と草書を作った人ということですか?」
細川:「それと楷書ですね。ただ、行書・草書は日常の書体で、漢代からの風習として、正式書体としての隷書の地位が残っていたため、王羲之一族の墓誌にその書は採用されていません。王羲之の書の名声を高めたのは、唐の太宗の強い支持と、宋の太宗により編纂された『淳化閣帖』の影響です。では利休殿には、行書と草書の練習をしていただきます。」
私:「わかりました。よろしくお願いいたします。」
細川は紙に大きく利休と書いた。
細川:「行書と草書で自分の名前から書いてみましょう。これは行書ですね。同じように真似て書いてください。」
自分の名前に始まり、簡単な文章を行書と草書で書けるようになった。
細川:「良い感じですね。書道の練習はこの位にして、続けて、茶杓の作り方を覚えていきましょう。」
私:「本当に詰め込みますね。」
細川:「古田殿に良い竹を選んでもらっています。何もしないのは悪いと思いませんか?」
私:「悪いと思います。」
書道の道具を片付け、茶杓作りの準備を細川としていると、古田がやってきた。
古田:「書道は終わったようですね。利休殿、三人で茶杓を削りましょう。」
私:「よろしくお願いいたします。」
この作品は「YouTube(
https://www.youtube.com/watch?v=7cB9SkkDu_s&list=PLH33wsaeFCZVs3pm2qrdF_X2PLHNqSU-v&index=6
)」にも掲載しています。




