第6・8節 濃茶点前(風炉)~利休の教育方針について~
古田が茶碗や茶入、建水などを持ち出し、点前座に座った。
古田:「利休殿、こちらに来て点前をよく覚えてください。来週からは利休殿にも点前をしていただきますので。」
私:「はい。」
私は炉の横に行き、古田の点前を見ることになった。
古田は、一手ごとに説明しながら点前をし、私はその都度、頷いた。
しばらく点前が進み、茶碗に茶入から抹茶を入れたころ、細川が言った。
細川:「利休殿、ここまでの手順、覚えられましたか?」
私:「正直、自信ありません。」
細川:「古田殿、少々、詰め込み過ぎな気がします。確かに日数は厳しいですが、多少、時間がかかっても、点前を確実に覚えられるようにした方が良いのではないでしょうか。」
古田:「具体的には?」
細川:「そうですね。どうすればよいでしょうね。」
古田:「細川殿の言にも一理あります。ただ、来月、小田原へ出立する以上、もはや詰め込むしかないでしょう。点前以外にも、亭主の会話や道具の出し入れ、馬や筆、生け花の稽古もあります。言葉遣いは平成時代のカタカナを多用し、武将の名前もわからない。一体どうすれば良いのですか?」
私と細川は顔を見合わせた。
私:「かなりまずい状況ですね。」
細川:「利休殿、まずいという言葉はこの時代使いません。」
古田:「細川殿。利休殿の教育方針に話を集中してください。」
細川:「はい。」
古田:「利休殿も一緒に考えてください。」
私:「はい。」
三人で話し合いをした結果、以下のような結論が出た。
点前は簡単なもののみ覚え、濃茶を点てる事だけ出来るようにすること。
炭手前は行わず、炭の置き方と火の熾し方のみ覚えること。
乗馬、水屋の準備、書道の練習、茶杓などの作り方、道具の出し入れ、茶花の生け方、料理の仕方などは、一気に稽古をして、体で覚えること。
武将の名前は、周りの会話をよく聞いて、臨機応変に対応すること。
目利きや亭主の会話などは、老齢を理由に可能な限り避けること。
これらの方針に基づき、2月末まで利休を教育する。
古田:「方針は決まりました。まずは濃茶を飲み、この後、炭の置き方と火の熾し方を覚えましょう。」
私:「よろしくお願いいたします。」
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