第6・7節 中立と席入 ~三炭三露について~
銅鑼が鳴り終わり、茶室へ進むと、椿の花が生けてあった。
細川:「茶道では、茶筌を用いて茶花に露打ちをします。露打ちというのは、中立の際、亭主が花を生けた後、露に見せるよう花に水をかける所作です。草花にとって露は御馳走なため、朝露の様なさり気なさで打ちます。風炉の折、懐石膳食器や縁高に露を打つのは、清涼感を醸し出すためです。これらは水屋で露を打ちます。炉では、露打ちしません。」
私が椿の花を、ぼんやり見ていると、細川は露の話を続けた。
細川:「三炭三露を整えるという言葉があります。三炭とは炉中の下火・初炭・後炭、または、初炭・後炭・止炭を指します。三露には解釈がいくつかあります。一つは露地で、初水・中水・立水の打ち水のことを指します。一つは席中で、掛軸の風帯の露、花の露、茶杓の露を指します。一つは心の露で、心の露、雨露の露、露地の露を指します。」
私:「心の露?」
細川:「心の露は、心の潤いを指します。雨露は朝夕の露も指します。露地の露は、先ほどの打ち水のことです。初水は席入り前、中水は中立前、立水は退席前になります。炉の場合は、懐石の吸物・八寸の頃と薄茶が終わる頃に、多めに水を打ちます。風炉の場合は初炭がつがれる頃と薄茶が終わる頃に、多めに水を打ちます。」
細川は椿が生けてある花入を指差した。
細川:「この花入はうずくまると言います。人がうずくまったように見えることからこの名があります。江戸時代に入ってから定着する名ですが、この桃山時代でもうずくまると言いますね。」
私:「うずくまるですか。確かに丸いですね。」
細川:「口造りもただ丸いだけでなく、二重口と言う形になっています。もともと日用雑器の米を入れる壺を、利休殿が花入に見立てたものです。口造りに縄を掛け、米を入れて持ち歩きます。」
私:「持ちにくそうですね。」
私が素っ気なく答えていると、古田が水屋から顔を覗かせた。
古田:「利休殿、うずくまるは関白様もよく使われる花入です。最初に覚える花入にちょうど良いでしょう。いろいろと見どころを覚えていってください。さて、そろそろ後半戦に移りましょう。濃茶を始めます。」
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