表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
利休になった日  作者: shoundo
第5節 亭主
55/150

第5・10節 水次の扱い(割り稽古)~能弁・多弁・饒舌の違いについて~

古田は細川に目配(めくば)せし、細川が水屋(みずや)から、やかんの水次を持ってきた。

やかんの口に竹の蓋置(ふたおき)がついていた。

古田:「細川殿、ありがとうございます。では利休殿、釜に水を注ぐ場合の水次・腰黒薬缶(こしぐろやかん)の扱いをしましょう。これは後炭手前(ごずみでまえ)の中で行う所作です。」

私:「後炭手前ですか。確か、濃茶の後に続く薄茶のために、炭をつぎ足す作業でしたね。」

古田:「平たく言えば、そうなります。風炉と炉で水次の持ち方が逆になりますが、今日は風炉の場合を覚えていただきます。右手で把手(とって)を持ち、左手は水次の注ぎ口のやや下を持ちます。所作をよく見ていてください。」


古田は、茶巾を釜の蓋の上に載せ、口の蓋置を右手で取り、蓋置を左手で扱い、右手で釜の正面、膝前に置いた。

古田:「ここまでやってみてください。」


私が真似をすると、古田は続けて、茶巾で釜の蓋を取って蓋置の上に載せ、茶巾を左手に持ちかえて、茶巾の角を使って、薬缶の口を開けたので、私はその動作を真似した。

古田:「良いですね。では、続けますよ。」


古田は、薬缶の注ぎ口に茶巾を添え、釜に水を注ぐふりをし、薬缶を元の位置に戻して、茶巾で薬缶の蓋を閉め、釜の蓋の上に茶巾を置いてから、私の方を向いた。

私が真似ると、続けて蓋置を右手で取り、左掌で扱い、右手で薬缶の口に戻した。

古田:「流れるような良い手つきです。ゆっくりした動作を心がけてください。」


続けて、古田は、茶巾を右手で取り、釜を拭いて茶巾を薬缶の蓋の上に置き、薬缶を持った。

古田:「釜の拭き方は向こう側を『二』の字、手前側を『つ』の字に清めます。では、ここまでの動作を何度か練習してみましょう。」


私は水次の扱いを何度か行った。薬缶に水は入っていなかった。

私:「それにしても、綺麗な薬缶ですね。」

古田:「そうですね。この腰黒薬缶は、1587年の北野大茶会に際し、利休殿が初代淨益に作らせたもので、後年、利休形腰黒薬缶と呼ばれます。将来的には、御所薬缶、ヘゴ薬缶、四方薬缶、三味胴薬缶など金属製の薬缶がいろいろと出てきますが、蓋つきの薬缶は、すべて同じ所作だと思って良いです。他に、気になる点はありますか?」

私:「細川殿が珍しく無口なのが気になります。」

細川:「そうですか?私も不必要な時は無口を通します。それに私自身は、能弁(のうべん)ではあっても、多弁(たべん)だとは思っていないのですが。」

古田:「多弁ですか。むしろ饒舌(じょうぜつ)ではないですか?」

私:「能弁?多弁?饒舌?すみません、違いは何ですか?」

古田:「簡単に言うと、能弁<多弁<饒舌の順に口数が増えると思ってください。」

細川:「他に雄弁(ゆうべん)というのもありますね。私みたいに説得力のある話し方です。」

私:「口数の多さは否定しないのですね。」

細川:「はい、否定しません。特に今の利休殿には知識が必要です。饒舌な人物が近くにいた方がちょうど良いのです。」

私:「なるほど、ありがとうございます。古田殿、細川殿、今後ともよろしくご指導願います。」

古田:「そろそろ休憩しましょう。利休殿、細川殿に水次を渡してください。」

細川:「では、玉を呼んで懐石にしましょう。利休殿はそのまま次客の席へ移動してください。古田殿、正客をお願いたします。私が詰をしましょう。」

私・古田:「はい。」


この作品は「YouTube(

https://www.youtube.com/watch?v=NIwn9eekNM8&list=PLH33wsaeFCZWhaiIBx24yNxr-fPINhaRS&index=54

)」にも掲載しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ