第4・2節 寄付・腰掛待合・向付(正客)~円座と火鉢について~
私と細川は寄付に進み、吸出を飲んだ後、私を先頭に腰掛待合へ進んだ。
細川:「円座の重ねてない方が正客の席です。正客が円座を並べます。並べる際、裏表を確認してください。このように裏側は編み込みの藁が飛び出ている部分がありますが、表は座りやすいように平たく編んでいます。両手で丁寧に置いてください。円座には、藁の他に、菅茅・藺草・竹の皮などが使われますが、この円座は藁で出来ていますね。」
私は、三人分の席を用意し、細川に促されてから正客の席に座った。
細川:「編みの裏表がない讃岐円座というものもあったのですが、この時代、讃岐円座の円座師が途絶えかけていて、江戸時代に復活するまで、讃岐でごくわずかに生産されるだけとなっています。今は高級品で、なかなか手に入りません。」
古田が腰掛待合に来ると、私と細川は立ち上がり、無言で礼をした。
古田:「今日は寒いので、円座の脇にある丸火鉢で、少し温まってから茶室へ行きましょう。」
三人一緒に火鉢で温まっていると、細川がいつものように語りだした。
細川:「火鉢は奈良時代から使われています。当初は火桶と呼んでいたようです。煙が出ないため、屋内でも使えます。木炭の流通が良くなる信長様の頃から、堺や京などの都市部を中心に庶民にも使われ始めています。火鉢には、炭入、火箸、五徳、火おこしなどが必要です。江戸時代になると十能と呼ばれるスコップ状の火おこしが登場しますが、それ以前は鍋をつかっています。あと、スコップというのは蘭語です。京や堺で普通に通じます。」
私:「炭の移動は、大変そうですね。」
古田:「火おこしは昔から使われているので、あまり気にしなかったのですが、よく考えるとそうですね。」
細川:「平安時代の随筆『枕草子』に
火など急ぎおこして
炭持てわたるも
いとつきづきし
とあるように、平安時代から火をおこして、部屋の火桶まで持っていくのが常です。平安時代には既に鉄器かありますので、当時から似たような道具を使っていたのでしょうね。さて、そろそろ蹲踞へ移動しましょう。」
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