第4・1節 また特訓がはじまる
宗恩と食事を済ませると、宗恩が昼食のメニューを聞いてきた。
宗恩:「今日のお昼は何がよろしいですか?」
私:「すみません。今日は外で食べてきます。」
宗恩:「わかりました。ではお夕食は?」
私:「ごめんなさい。夕飯も必要ないです。」
宗恩:「わかりました。」
宗恩の機嫌を損ねているのはわかるが、どうすればよいのか。
私:「明日の朝、暖かいものを何かいただければ、うれしいのですが。」
宗恩:「わかりました。」
私:「ごちそうさまでした。とても美味しかったですよ。」
宗恩:「ありがとうございます。では片づけますね。」
この夫婦は、きっと冷め切っているな。
特に問題ないのだろうと思い、自室に戻って、少し書道の練習をしてから千家を後にした。古田織部の家へ向う途中、細川三斎に出会った。
細川:「文台に懐紙作戦、どうでしたか?」
私:「宗恩の機嫌も直り、会話も弾んだのですが、うっかり基本動作を細川殿に教えたことなってしまい、慌てました。宗恩の方から、確か、稽古とは、一より習い十を知り、十よりかへる元のその一、と言われ、その場は何とかなったので、すぐ会話を切って寝ました。」
細川:「利休百首ですね。最初の頃は、動作を覚えるのに精いっぱいで習っていますが、一通り理解してから、今一度、所作を見返すと、更に茶道の奥深さを知ることができると、日頃、利休殿が口にされていましたね。しかし、宗恩殿との会話に稽古の話が出る場合、話題を変えるか、うまくぼかす必要がありますね。毎回、私から利休殿に、桃山時代の話題などをいくつか提供しましょう。それで、切り抜けてください。」
私:「助かります。」
古田邸で古田織部に出迎えられ、茶道の特訓が始まった。
古田:「本日は、利休殿に正客をしていただきます。おそらく本番での利休殿の役回りは、亭主か正客のどちらかになります。他に、次客・詰・半東・水屋などもありますが、そう回数は多くないでしょうね。」
細川:「では、前回に引き続き今回も古田殿には亭主をお願いいたします。私は詰をいたしましょう。」
私:「ご指導、よろしくお願いいたします。」
例によって、古田が用意していた巻紙は、前回より項目が少し増えていた。
1、寄付
2、腰掛待合
3、迎付
4、蹲踞
5、初座・席入と挨拶
6、初炭手前(炉)
7、懐石
8、菓子(縁高)
9、中立
10、後座・席入
11、濃茶点前(炉)
12、後炭手前(炉)
13、薄茶点前(炉)
古田:「項目として、後炭手前と薄茶点前を増やしました。では、始めましょう。」
私:「スパルタ教育ですね。」
細川:「利休殿。」
私:「すみません。カタカナは禁句でしたね。」
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