第3・1節 宗恩の機嫌
翌朝、宗恩が買い物に出かけた直後に、細川三斎が千家を訪ねて来た。
私:「たった今、宗恩が出かけたところです。」
細川:「それは助かります。昨日の復習がし易いですからね。」
足運びや拝見など、先日の茶会の流れを順に追いながら、特訓は昼まで続いた。
細川:「近くの蕎麦屋で昼食を食べましょう。支払い方法などをお教えします。」
私:「助かります。」
注文の仕方に始まり、食べ方、金銭の数え方、支払う時の心得など、事細かに説明してもらった。
食事の後、再び千家に戻ると宗恩が出迎えた。
宗恩:「ようこそお越しくださいました細川様。」
細川:「利休殿に近くの蕎麦屋で昼食をと誘いに伺いました。」
宗恩:「そうでしたか。では利休様は、お食事を終えておいでですね。」
私:「申し訳ありません。夕飯はよろしくお願いいたします。」
宗恩:「かしこまりました。」
その後、千宗恩は家にいたが、私はあまり気にせずにいた。
細川:「宗恩殿は不機嫌でしたな。さぞ昼食に御馳走を用意されていたのでしょうね。」
私:「実は先日、細川殿の家に泊まった日の夕食が冷めてしまったと、宗恩は不機嫌でした。必ず誰かに言伝してから出かけるよう言われてしまって。食事も何か息苦しかったです。」
細川:「おかしいですね。利休殿は時々、外泊されるので、そのつど料理が冷めたと言われることはないと思うのですが。まあ、利休殿はもうすぐ70歳。宗恩殿は、利休殿の体を気遣っているのでしょうね。」
私:「気遣いですか。それとこの利休の体は70歳なんですね。足腰が動かしにくく、疲れやすいと思っていました。昨日の茶会の練習も、かなり堪えました。」
細川:「古田殿は生徒には厳しいですからね。」
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