第2・18節 中立と銅鑼(次客)~度量衡について~
三人が食べ終わると、細川が扇子を持って立ち上がり、自分の動作を見るよう言った。
細川:「利休殿、この茶室では、最後、床と炉中の火移りを見てから退席します。まずは掛軸を拝見します。」
古田:「細川殿の足運びと所作をよく見ていてください。本来なら、初座で掛軸の説明を聞いていますので、亭主の心意気を感じながら、掛軸を拝見します。」
細川:「次に、茶道口前に移動し、炉の方へ進みます。ここでは炉中の火移り、釜とその煮えの音を感じます。」
古田:「今回、まだ初炭手前をしていませんので、炉に火はついていません。このあと初炭手前をしますので、炉中の変化を楽しんでください。」
細川:「では利休殿、古田殿と一緒に足運びと拝見をしてみてください。私は、先程の待合でお待ちしておりますので。」
細川が茶室から出ていった。私は古田に注意されながら床と炉の拝見を行い、茶室から出ると、古田が縁高を持ちながら話しかけてきた。
古田:「利休殿は待合へ進み、少しゆっくりしていてください。私は茶室の用意をして、半刻ほどしたら銅鑼を鳴らします。」
私:「銅鑼?そういえばイギリスの白黒映画で、人より大きな銅鑼を鳴らすシーンがありましたね。どこの映画会社だったでしょうか?」
古田:「ランクオーガニゼイション社です。ただ、この時代でこの話は禁句ですよ。それと、銅鑼の大きさは一尺ほどで、想像されているものとは違います。」
私:「すみません。尺貫法がよくわからないのですが。」
古田:「長さの基準としては、永正年間に京都の指物師又四郎の作った又四郎尺が、今は一般的でしょうね。細川殿に許可を得てから、銅鑼をお見せします。丁度、一尺ほどなので、感覚的に覚えてください。」
私と古田は、待合の細川に銅鑼の話をした。
古田:「細川殿、利休殿に銅鑼をお見せしたいのですが、よろしいですか?」
私:「長さの感覚をつかめると伺いまして。」
細川:「ぜひ見せてあげてください。それと長さや重さなどの度量衡は、まだ統一されていません。」
私:「度量衡?尺貫法ではないのですか?」
細川:「尺貫法は明治24年に初めて使われた単語で、この時代は度量衡と言います。度量衡は、中国の秦の始皇帝時代に作られた単語です。度が長さ、量が体積、衡が質量の事です。この度・量・衡というのは中国の春秋戦国時代の国名で、始皇帝が統一したという説から来ています。戦国の七雄、秦・楚・斉・燕・趙・魏・韓が覇を競ったという説もありますが、春秋戦国時代は度・量・衡による三国鼎立だった可能性も否定できません。」
古田:「ごほん。細川殿。」
細川:「失礼、歴史の話になると、話が長くなってしまいますね。さて今から4年後、関白様が太閤検地を行うまで地域により単位はバラバラです。まずは、堺や京都で使われる単位を覚えましょう。いろいろお教えしますね。」
私:「お手柔らかにお願いいたします。」
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