第2・6節 蹲踞・刀掛・躙り口の所作(次客)~さらしと手巾と刀について~
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蹲踞へ進み、古田がお手本を見せてくれた。
続いて細川が正客として手と口をすすぎ、古田が手巾を見せた。
古田:「正客が柄杓を戻したら、次客は、さらしか手巾を右袖口から出し、正客に手渡す場合があります。正客から、手巾を返してもらい、左袖口にしまいます。では、そこの柄杓で左手、右手、口、柄杓の順に清めてください。終わったら、躙り口へ進みますよ。」
私が着物の袖口を眺めていると、細川が説明をしてくれた。
細川:「右袖口には未使用の物、左袖口には使用したものをしまうのが普通です。手巾の他、茶碗や菓子などでよごれた懐紙なども左袖口にしまいます。ただ、未使用の懐紙は胸元に入れておくのが普通なので、右袖口にはあまり物は入っていません。」
古田:「胸元にさらしを入れておく場合もあります。胸元から大きいものを順に重ねて入れていきます。さらしは大きいので、一番奥です。その後、帛紗、懐紙と入れます。」
細川:「手が汚れた場合も、胸元の懐紙で拭いて、汚れた部分だけを左袖口にしまいます。」
私:「なるほど。」
茶室の前に進み、説明が続いた。
古田:「この四角い扉が躙り口で、茶室へはここから入ります。」
私:「小さいですね。」
古田:「ここは高さ二尺二寸、幅二尺一寸の一般的な躙り口です。利休殿が以前作った待庵は高さ二尺六寸一分、幅二尺三寸六分と、一回り大きいです。利休殿は背が高く、大柄ですからね。今のあなたと同じ感想を持って、待庵の躙り口を一回り大きくされたのかもしれないですね。躙り口の横にあるものが刀掛です。共に、利休殿、あなたが作ったものです。」
私:「私ですか?そうですよね、今は私が千利休でしたね。」
古田と細川が刀を腰からはずした。
古田:「刀の種類は、大刀が主で、脇に差すから脇差つまり控えになります。刀掛には、刃を上側にして、大刀を上段、脇差を下段に柄を向かって左に置きます。これには理由があります。柄が向かって左側なのは、差表、つまり腰に刀を差したときの、鞘の身体に接しない側だからです。また、この掛け方だと、抜き打つ為には左手で取り上げて、右手に持ち替える必要があるため、相手に対して敵意の無いことを表す礼儀にもなります。では、茶室へ進みましょう。」
古田が茶室に入り、続けて細川が躙り口から茶室に入った。
真似して私が入った時、古田が言った。
古田:「最後の客が躙り口から入ったら、躙り口の方を向き、扉を閉めます。閉め方は柱が右側にある場合、反対側から左手・右手・左手の順に閉めます。逆に、柱が左側にある場合は、右手・左手・右手で閉めます。躙戸の掛け金は、かけてください。」
細川:「躙戸を閉める際、軽く音を立てます。これは亭主に対する合図になります。」
古田:「亭主は、躙戸の閉まる音を聞いてから、先ほどの蹲踞に水を張りに行き、待合の円座を水屋に下げるといった作業をします。まあ、亭主の所作は、後日説明しましょう。」
細川:「躙戸の閉め方は、戸のやや下の方を逆手、この場合は右手で持ち、中央まで引き、左手で手の挟まる所まで引きます。本当に手を挟まないようにしてくださいね。最後に、左手で音を立てて閉めます。」
古田:「戸を開ける場合の所作は、茶人によっては違う場合があります。襖の中でも大きいものは全部開けきるのを嫌う方がいらっしゃるからです。後世も流派によっては、襖の四分の一ほど残して開けるなど、全開にしない場合もあります。ただ、私の教え方は裏千家流、戸は全開にしていただきます。一度、やってみましょう。」
その後、三人で茶道口まで進み、古田が襖を開け閉めし、私も続いて襖を開け閉めした。




