↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/41

第25話 それって「図書館と暗闇」ってことだよね?

 「あれはどういうことなの?」


 新たな学院長と軽く言葉を交わし、そのまま昼休みは終了した。

そして放課後、ノイルたちは図書館にやってきている。

周りには他の生徒もいて、ときおりノイルたちに視線が送られていた。


 「ノイル君が言った通りに、新しい学院長は来たけど…。学院長が斬られたのに、何事も無かったように新しい人が来るなんておかしいよね?」


 ロスタの言葉に、ノイルを除くメンバーも同意する。


 「お兄様、どういうことか教えていただけますか?」


 ノイルは4人に顔を近づけるように言い、小さな声で話し始めた。


 「大きな声では言えないことだがな。あの年老いたフレストは、ゴールドドラゴンがカンクにいることも知っていた。本人は否定したが、奴がゴールドドラゴンをカンクに仕向けた可能性もある。」


 「可能性」とは言ったものの、ほぼ100%黒幕はフレストで間違いないだろうとノイルは確信していた。


 「学院長が魔物を?確かに、意地の悪い奴ではあったけどそんなことが出来るの?」

「普通の人間には無理だな。」


 そう言った後、ノイルはより声を潜めてささやいた。


 「だが、フレストは人間ではない可能性がある。」


 ノイルの言葉に、4人とも眉をひそめた。

ノイルは、ささやき声のまま続ける。


 「奴からは、人間とは思えない禍々しい魔力を感じた。どちらかというと、魔物に近い魔力だな。感情が揺らいだ時の魔力の乱れ方も、魔物が怒った時のそれとよく似ていた。詳しいことはまだ調べなければ分からないが、奴が人間ではない可能性はかなり高い。」


 ふと、ガイスが疑問を呈した。


 「でも、ノイル君が学院長を斬った時には断罪剣ナンバーシックスを使ってたぞっ?それで体が消滅したなら、やっぱり人間だったんじゃないかと思えるんだぞっ?」


 ノイルは、「いい目の付け所だ」と笑った。


 「器はな、人間だった。だが、中身は違う。言ってみれば、魔物が人間の体を乗っ取っていたという感じだな。だからこそ、今日新たな器で現れた。」

「新たな器…?」

「何だ、気付いていなかったのか。あの若い男の中身は、昨日までの老人フレストと同じだぞ。」

「「「「…え?」」」」


 4人の声が重なった。

全員、ぽかんとした顔をしている。

他の生徒がいなくなったことを確認し、ノイルが近づけていた顔を離して言った。


 「魔力の波長が完全に一致した。間違いない。若返ってはいるが、中身はフレストだ。」

「でもお兄様、彼は昨日のフレストとは態度がまるで別人でしたよ?」

「誤魔化せていると思っているのか、あるいは遊んでいるのだろう。お前たちがフレストだと分かっていないことに気付いて、からかっていたつもりなのかもな。」


 「奴の心情はともかく」と、ノイルは話を進めた。


 「俺たちは、もっと調査する必要がある。奴の正体を探るためにもな。という訳で、これから1週間はこの図書館の本を色々調べるぞ。」

「具体的には何を調べるの?」

「そうだな。まずは、勇者学院の歴史を調べたい。それから、500年前のことも一応調べておくべきだな。」


 魔物を操れるとすれば、魔王かそれに匹敵する魔力を持つ者だけだ。

魔王の生きていた、そして勇者に倒された500年前のことを調べれば何か掴める。

ノイルは、そう思ったのである。


 「新人戦からのクエストと、続けて大きなイベントがあったことを理由に1週間の休みを貰った。レミルスから許可は出ている。だから、明日は朝からここに来て調査を始めるぞ。」

「休みって私たちの分も?」


 ノイルは、何を今更という表情で答えた。


 「当たり前だろう。いくら俺でも、1週間でこの量の本は調べられないからな。」


 図書館には、約50000を超える書物がある。

ノイルの調べたい歴史関連の書物だけでも、ざっと8000冊はあるだろう。


 「明日からは、活字で脳が破裂しそうね。」


 リンテの言葉に、みんなが笑った。


---------------------------

 暗闇の中。

ここは、誰も知らず誰も寄り付かない封印の場所。

その漆黒の中で、2つの影が会話していた。


 「とうとう、現れたのね。」

「はい、アルルス様。この目で見ましたから間違いありません。」


 アルルスと呼ばれた影が、ロウソクに火を灯す。

その火に照らされて、2人の女の横顔が浮かび上がった。

2人とも綺麗な金髪を持ち、見た目20代くらいの若々しさだ。


 「アイーラ、その男の名前は?」


 アイーラというその女は、よく見ればノイルがカンクでその気配を感じた女である。

ノイルが拾った金髪は、彼女のものだ。


 「ノイル、というようです。その剣術はまさしくあの“女”そっくりでした。もしやすると、彼女が指導したのかもしれません。彼が、彼女の言っていた“最後の勇者”なのかも。」

「そうか。」


 アルルスは天を仰ぎ、懐かしむように言った。


 「懐かしいな。あの“女”の剣術は今でも鮮明に覚えている。あれから500年。そりゃ、私らも歳を取るか。」


 アルルスの言葉は、まるで彼女とアイーラが500年前から生き続けているかのようだ。

「そうですね」とアイーラが頷く。

ただ、すぐに緊張した顔になって言った。


 「しかし“最後の勇者”が現れたということは、それだけ目覚めが近いということです。ゴールドドラゴンがカンクに現れたこともその証拠。そして何より、今私たちがこうしていることがその証拠です。」


 アルルスも、神妙な面持ちになって言った。


 「もって2,3年というところか。それ以上過ぎれば、“魔王”が目覚めてしまう。」


 アルルスは確かに、「魔王」と言った。

500年前に最強の男である勇者が倒した魔王が、目覚めると言ったのだ。


 「そうなれば、あの“女”の手を借りなければならなくなりますね。」


 アイーラの言葉に、アルルスは首を横に振った。


 「それでは解決にならない。何としても、そのノイルという男が成長しなくては。今回は、あの“女”では駄目なのだ。あの剣士、“女勇者レヴィアース”ではな。」

読んでいただいてありがとうございます!!


広告の下にスクロールしていただいて「★★★★★の評価」と「ブックマークへの登録」をよろしくお願いします!


特に「☆☆☆☆☆」が「★★★★★」になるとすごく嬉しいです!!


どうかどうかよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。