第18話 それって「秘密兵器解放」ってことだよね?
「空離剣!」
「ダークルーム!」
ノイルは空間を斬り離してライトニング・スピアを回避。
ガイスも、残りのメンバー全員にダークルームを発動して攻撃を相殺した。
「まさか、メテオライト・フォールが予想されているとはな。」
地面に降り立ったノイルが言う。
「言いましたでしょう?分析したと。それに、こちらもライトニング・スピアが防がれるとは思っていませんでしたわ。そちらの防御職の方は、火属性だけかと思っていましたから。」
-やはり、今の一撃で蹴りをつけようとしていたか。
今までの相手とは一味違うな。
さすが、優勝候補筆頭というだけのことはある。
「それにしても、闇属性の防御魔法が私のライトニング・スピアを相殺するとは…。彼は、なかなか高い魔力をお持ちですわね。」
通常、相互に相性の良い光属性の魔法と闇属性の魔法がぶつかった場合は、魔力の高い方が勝つ。
相殺したということは、互いの魔力が拮抗していたということだ。
-魔力数値4600のガイスと張り合えるということは、やはりナタリアも魔力4000超え。
油断ならないな。
剣を改めて構え直すと、ノイルは言った。
「あまり話しすぎていては、また観客席がうるさいだろう。勝負をつけようじゃないか。」
「望むところですわ!」
ナタリア側がパーティーの隊列を整える。
各自の魔力がやや膨張した。
-本気で来るな。
「フィア。」
「何でしょう?お兄様。」
「予定変更だ。おそらく、ここが事実上の決勝戦になる。秘密兵器を解放するぞ。で暴れてくれ。」
ノイルの言葉に、フィアが顔を輝かせた。
「お任せください!お兄様!」
後の3人にも、ノイルが指示を送る。
「リンテは、出来る限りメテオライト・フォールを使い続けろ。ロスタはリンテを魔力回復で支援してくれ。ガイスは、2人の防御を頼む。」
運動を続ければ体力が無くなるのと同じように、魔法を使い続ければ魔力が少なくなる。
普通は時間経過と共に回復するのだが、ロスタの治癒魔法を使えば一瞬で回復させることが出来るのだ。
「任せなさい!」
「ノイル君、フィアさん。攻撃は任せたよ!」
「頑張るぞっ!」
ノイルは3人に向けて力強く頷くと、フィアに言った。
「行くぞ、フィア。初めての共同作業だ。」
「はい!共同作業ですね!」
ノイルの言う「共同作業」と、フィアの言う「共同作業」に違いがあるのは明らかだった。
フィアがうっとりするような目でノイルを見る。
しかし、気を引き締め直して言った。
「行きますよ!」
フィアが、相手に向かって勢いよく駆け出す。
ナタリア側も、迎え撃つべく全属性の防御魔法シールドを発動させる。
リンテが、メテオライト・フォールで隕石を出現させる。
ロスタが、治癒魔法でリンテを援護する。
ガイスが、ダークルームでリンテとロスタを守る。
連続した強力な魔法の発動に、観客席の盛り上がりはピークを迎えた。
-俺もいくか!
ノイルが剣を構えながら駆け出す。
視線の先には、ナタリアだ。
ナタリアも、光の剣「ライトニング・ソード」を手にして駆け出した。
「ノイルとは私が戦いますわ!あなたたちは、彼女を!」
ナタリアがはしりながら、フィアを指さす。
フィアはちょうど、1つ目の防御魔法シールドであるウォーターシールドに接近しているところだった。
「グラウンド・ボール!」
フィアが地属性の弾丸を放つ。
魔力5000のフィアが放った攻撃魔法だ。
当然、ウォーターシールドを破壊した。
「なっ!?」
ナタリアが驚き、フィアに攻撃魔法を放とうとする。
しかし、ノイルがそれをさせなかった。
「ナタリア、お前の相手は俺だ。」
ナタリアの前に立ちはだかる。
ナタリアも、フィアへの攻撃を諦めてライトニング・ソードを構えた。
「はっ!」
掛け声と共に、ナタリアがノイルに斬りかかる。
ノイルも、それを自らの剣で受け止めた。
「見たところ、普通の剣のようですわね。」
ノイルが家を追放された時に持ち出し、それ以来ずっと使っている剣だ。
何も、特別な剣ではない。
「しかし、その剣術は別格。警戒は怠れませんわ!」
そう言いながら、ナタリアが連続攻撃を仕掛けた。
ノイルは、その全てを何の技も使わずに受け流す。
剣と剣がぶつかるたびに、激しい火花が散った。
「お、おい!あの2人やべぇぞ!」
「いや、それよりも隕石だろ!」
「あ、あいつ今度はファイヤーシールドも突破したやがったぞ!地属性の一能じゃなかったのかよ!」
ノイルとナタリアが一騎打ちで戦い、フィアが4対1の戦いを優勢に進め、空中には相変わらず隕石が浮かんでいる。
観客席の生徒たちは、もうどこに目を向けていいか分からなくなっていた。
「これは、近年稀に見る戦いじゃの。」
観客席の最上部で、白ひげの年老いた男が言う。
隣に立つ若い背の高い男が言った。
「ナタリア・ウェスレルのパーティーと戦っているのが、例の落ちこぼれパーティーです。」
「ほぉ、あれがそうじゃったか。」
白ひげの老人が、目を細めて言った。
「なかなか、学院を乱してくれるじゃないか。ここで勝たれてしまっては、貴族の面子が立たんのぉ。」
そして、にやりと笑う。
「まぁ良いか。ここは勝ちを譲ってもいいじゃろう。しかし、貴族に歯向かったらどうなるかは、教えてやらんとのぉ。」
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