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第17話 それって「優勝候補筆頭」ってことだよね?

 続く2,3回戦でも「火だるま作戦」を使い相手を瞬殺したノイルたちは、とうとう準々決勝に進出した。

準々決勝からは、第1〜第4まである模擬戦場で試合が行われる。

ノイルたちの準々決勝は第1模擬戦。

ノイルが入学試験の模擬戦を行ったところだ。


 「ナタリア様〜!」

「頑張ってください!」


 ノイルたちの対戦相手へ、観客席から声援が飛ぶ。

この試合からは、敗退したパーティーが観客席で観戦するのだ。

もちろん、ノイルたちを応援する声は無い。

むしろ、自らが敗退しているのにも関わらず尚もノイルたちを見下す声が飛んでいた。


 「落ちこぼれどもめ!汚い手を使ったんだろ!」

「ナタリア様の前に跪きなさい!」


 「ナタリア」というのが準々決勝の対戦相手のリーダーだ。

彼女のパーティーは、新人戦の優勝候補筆頭と言われている。


全能オールか。

 魔力数値はおそらく4300くらいだな。

 確かに、このレベルの一年生はほぼいない。

 それで、「様」付けか。


 真眼を使い、ノイルは冷静に分析した。

他のパーティーメンバーも、見る限り全能オールのようだ。


-全員が全能オールのパーティーなら、そろそろアレを使ってもいいだろう。


 「さて、準々決勝の作戦だが。」


 ノイルは分析を終え、4人に言った。


 「相手はどうやら、全員が全能オールのようだ。魔力もそれなりに高い。さすがに、『火だるま作戦』で瞬殺できるレベルではないだろう。」

「と、いうことは…」


 リンテがワクワクした声で言った。


 「メテオライト・フォールの出番ね。」

「その通りだ。」


ノイルがにやりと笑って言った。


 「お兄様、私の出番はないんですか…?」


 フィアが不安そうに言う、

ノイルは優しく答えた。


 「もちろん、フィアにも出番はあるぞ。万が一、隕石がかわされでもしたらその時は思いっきり暴れてくれ。それに、決勝ではフィアに全力でいってもらいたいからな。フィアは、俺たちの秘密兵器として取っておきたい。」


-まさか、落ちこぼれのパーティーに魔力5000超えの全能オールがいるとは思わないだろう。


 ノイルはそう考えたのだ。


 「分かりました。」


 フィアはごねることなく、引き下がった。


 「今も言ったが、低いにしろ隕石がかわされる可能性もある。その時は、ロスタとガイスも援護を頼むぞ。」

「了解だよ。ノイル君。」

「任せておけ、だぞっ!」


 「リンテは、とにかく落ち着いてメテオライト・フォールを使え。必ず、俺が落とす。」

「分かってるわ。あんたも、頼んだわよ。」


 みんなに声をかけてから、ノイルはリーダー同士の挨拶へ向かった。


 「ナタリア・ウェスレルですわ。どうぞよろしく。」

「ノイルだ。よろしく頼む。」


 ナタリアは、金髪ロングに碧い目をした美形の女子生徒だった。


 「随分と、ギャラリーがうるさいですわね。」

「だな。俺は、あまり気にならんが。」


 観客席からは、未だにナタリア側への応援とノイル側への罵声が上がっている。


 「全く、みっともない。」


 ナタリアが呟いた。

そして続けて言う。


 「あんな罵声を浴びせるなんて、負け犬のすることですわ。ノイルさんたちは、実力で勝ち上がってきているというのに。」

「意外だな。お前は、俺たちのことを認めるのか?」

「もちろん。この学校の基本理念は実力主義。そこに、貴族も平民も関係ありませんわ。」


 こういう貴族もいるのだと、ノイルは少し見直した。


 「そんなことを言うのは、お前が初めてだ。」

「当然のことを言ったまでですわ。ただ、勝つのは私たちですが。」


 ナタリアの声には確信がこもっていた。


 「実は、あなたたちに敬意を払いしっかり分析させていただきましたの。あなたたちの手の内は、もう全て把握済み。しっかりと、勝たせていただきますわ。」

「そうか。なら、俺たちもちゃんと敬意を払って全力でいこう。」


 ノイルは、しっかりとナタリアの碧い目を見て言った。


 「では、改めてよろしくお願いしますわね。」


 ナタリアが右手を差し出す。

ノイルは一瞬戸惑ったが、その手を取った。


「ああ、よろしくな。」


 ナタリアと握手を交わしたノイルに、より一層の罵声が飛んだ。


 パーティーに戻ったノイルが、メンバーに言う。


 「なかなか、性格の良い奴だった。俺たちの実力を認め、きちんと敬意を払っている。こちらも、全力でいかねばな。」

「ノイル君がそう言うなら間違いないね。貴族にも、良い人はいるんだ。」


 ロスタが笑顔を浮かべる。

そして、顔の前で拳を握って言った。


 「よし、僕もサポートするよ!頑張ろう!」


 ノイルには、その仕草がかわいい女子の仕草に見えてしまった。


-いや、男の娘は男だ。男だ。


 思考を正常に戻し、拳を突き上げる。


 「行くぞ。」


 4人も、「おー!」と応じた。

ノイルが監督者に合図を送る。

監督者が、声を張り上げた。


 「準々決勝開始!」


 観客席の声援がより大きくなる。

ノイルは、向こう側に立つナタリアをしっかりと見据えてから言った。


 「リンテ!」

「行くわよ!メテオライト・フォール…ッ!」


 突如として現れた隕石に、観客席がどよめく。

しかし、ナタリアの表情が変わることは無い。


-妙だな。


 不思議に思いながら、ノイルは空滅剣ナンバースリーで隕石との距離を縮めた。


 「魔増剣ナンバーツー!」


 隕石が5個に増える。

会場のどよめきが、より大きくなった。

しかし、それでもナタリアの表情は変わらない。


-驚いていないのか…?

 分析したのなら、「火だるま作戦」で来ると思っているはず。

 それなのに、隕石を見ても変化が無いとは…?


 ノイルが空中から、真眼でナタリアたちのパーティーを見た。

魔力の乱れが一切無い。


-まさか…!?


 「空滅剣ナンバースリー!」


 ノイルが、全ての隕石を落とす。

そこでようやく、ナタリアが動いた。


「ファイヤーシールド!」


 ナタリア側パーティーメンバー全員の頭上に、火属性の盾が出現する。

ノイルたちの強力な矛である隕石が、全て焼き尽くされた。

驚くノイルに、ナタリアが顔を上げて言う。


 「言ったはずですわ。しっかり分析したと。」


 そして、ナタリアたちが攻勢に転じた。


 「行きますわよ!みなさん!」

「はい!ナタリア様!」

「ライトニング・スピア!」


 ナタリアが光属性の攻撃魔法を発動する。

金色に輝く高速の槍が、ノイルたちを目がけて放たれた。

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