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第15話 それって「覚醒した出来損ないたち」ってことだよね?

 あっという間に2ヶ月が経ち、いよいよ新人戦前日である。


 「行くわよ!メテオライト・フォール!」

空滅剣ナンバースリー!」

「ファイヤールーム!」


 リンテが放ちノイルが落とした隕石を、ガイスが火属性の防御魔法で防ぎきった。


 ファイヤールームはガイスが考え出したオリジナルの魔法で、彼女を中心に直径2m程の炎の球体が出現する。

その球体が全方位に対応する盾となり、敵が近づけないのはもちろん、水を除く全属性の攻撃魔法を焼き尽くすのだ。


 さらにこのファイヤールーム、ガイス以外のパーティーメンバーを囲むように発動することも出来る上に中心にいる者の動きに合わせて移動するのである。

全員が炎に包まれながら攻撃してくるパーティーなど、相手にとっては恐怖でしかないだろう。


 さらにさらに、地属性バージョンの「ロックルーム」、闇属性バージョンの「ダークルーム」もあるというのだから驚きだ。

元々、魔力4000超えという異常枠だったガイスが、この2ヶ月間の間にその異常さに磨きがかかったという感じだ。


 もちろん、成長したのはガイスだけではない。


 治癒士ヒーラーとして本格的に覚醒したのがロスタだ。

本来、複数の属性を持つ者でもその属性を同時に発動させることは出来ない。

水属性の魔法を使ってその後に光属性というのは出来ても、水と光を同時にというのは出来ないのだ。


 しかし、ロスタはそれが出来てしまった。

しかも水6割の光4割や水3割の光7割というように、それぞれ魔力の量を調整出来たのである。

これにより、自由自在な治癒が可能となった。

ロスタが懸命に治癒魔法を学び、何度も実践を繰り返したその努力の成果だ。


 元々強力な魔法が使えたリンテも、隕石のサイズがアップしたり質量が増したりと「メテオライト・フォール」の精度を高めた。


 そして、この3人を上回る成長を見せたのがフィアだ。

ある日、ノイルはフィアを見て自らの真眼を疑った。

魔力4000超えのガイスをさらに超える魔力が、フィアから溢れ出していたのだ。

レミルスに頼んで直ちに魔力数値検査を行ったところ、フィアは魔力数値5417というもう何と言っていいか分からない結果をたたき出した。


 当然、魔力が増えれば魔法の威力や精度も高くなる。

おまけにフィアは全能オールなのだ。

全属性の魔法が尋常でない精度で使える。

もはや、ラスボス感のあるステータスである。


 ここまでフィアを覚醒させたのは、ひとえに「お兄様大好き!」という気持ちだ。

ノイルがフィアを迎えに行くと言って異常な修行をしたように、フィアもお兄様の力になりたいと日々異常な訓練をした。

つまりこの兄妹は、互いへの異常な愛情ゆえに圧倒的な力を手にしたのだ。


 正直に言って、ノイルたちのパーティーは全員が即勇者隊に入隊できるレベルになっている。

それでも、新人戦の優勝候補には上がっていない。

この2ヶ月間、手の内を知られない方が良いというフィアの意見で模擬戦を一切行わなかったというのも理由の1つだ。


 しかし、1番の理由は別にあった。

ノイルたちはやはり、「出来損ない」や「落ちこぼれ」として軽蔑されているのである。

実際に入学以降、「エリート」とされる貴族の子供たちから何度か陰湿な嫌がらせを受けた。

それでも、ノイルたちがやり返すことは決して無かった。


-散々「出来損ない」と馬鹿にした奴に負けた時の方が、貴族たちのショックは大きいだろう。


 こう考えたのである。

今まで耐えてきた分、ノイルたちの明日の新人戦への思いは強いものがあった。


 「そろそろ、終わりにしましょうか。」


 フィアの声で、ノイルたちが訓練を止めた。


 「クリーニング。」


 ロスタが、全員の汚れを落とした。

みんなの服や装備が、まるで何事も無かったかのように綺麗になる。


 「いつもありがとね、ロスタ。」

「いえいえ。僕、もっと頑張るよ!」


 リンテに褒められて、ロスタが照れくさそうに答えた。


 「それでは、最後にお兄様から明日の意気込みをお願いします!」


 みんなの視線がノイルに集まる。


 「それではみんな。いよいよ明日が本番だ。貴族たちの行動に、各自いろいろ思うところがあるかもしれない。しかし、それも今日までだ。俺たちは、努力の末に圧倒的に強くなった。それを見せてやろう。奴らが出来損ないと最強の区別がつかなくなる程に、暴れ回ってやろうではないか。」


 全員が力強い目をして頷いた。

みんなが、その拳を強く握りしめている。


 「では、解散としよう。各自、ゆっくり休んでくれ。」


 リンテ、ロスタ、ガイスがそれぞれの寮へ歩き出す。

ノイルとフィアも、自らの寮へ向かった。


 「お兄様。」

「どうした?」

「明日は、とても楽しい日になりそうですね。」


 フィアがノイルを見上げて笑う。


 「ああ、明日の主役は俺たちだな。」


 ラブラブ兄妹が、顔を見合わせて笑った。


 そして、ノイルたちが「最強」への伝説を踏み出す記念すべき日。

新人戦当日を迎える。

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