第11話 それって「はぐれ者」ってことだよね?
翌朝ノイルが目を覚ますと、その体はがっちりとフィアに抱き締められ、身動きが取れなくなっていた。
-疲れていたからな…。
仮眠のつもりが、すっかり寝てしまったか。
時間的にも、支度をして教室へ向かう頃合いだ。
フィアを起こし、準備を始める。
支給された制服に着替え、フィアが市場で買っていたパンを朝食に食べた。
「忘れ物はないか?」
「はい!お兄様。」
部屋に鍵をかけ、寮を出る。
天気は快晴。雲一つない青空が広がっていた。
「フィア。」
「何ですか?」
「昨日、レミルス先生が言っていたパーティーメンバーの件だが。あと3人を集めなくてはならない。何か心当たりはないか?」
「私としては、お兄様と2人きりでもいいんですけどね。」
「そうもいかないだろう。」
ちなみに、ノイルは例の口調をまだ続けている。
フィアはもう何も言わなかった。
「それなら、昨日見たクラスの名簿の中にパーティーメンバーになってくれそうな人がちょうど3人いました。」
「そうか。ちょうど良いな。早速スカウトするぞ。」
「分かりました。」
ふと、ノイルを一抹の不安が襲った。
「俺たちのような貴族の家を出た奴と仲間になる者が、このエリートだらけの学院にいるだろうか?」
するとフィアは、「問題ありませんよ。」と笑った。
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学院の規定や設備、授業内容などの説明を午前中いっぱい受け、迎えた昼休み。
パーティーメンバーになってくれる3人と会わせると言って、ノイルはフィアに食堂へ連れてこられた。
「お兄様、あそこです。」
フィアが指さしたのは、食堂の1番奥のテーブル。
見ると、男女3人が座っている。
ノイルたちもそのテーブルに行き、3人の向かいに座った。
「3人ともお待たせしました。こちら、私のお兄様であるノイルです。」
紹介されたノイルが頭を下げる。
3人も頭を下げた。
「お兄様、こちらがパーティーメンバーになってくれる3人です。」
-黒髪ロングの女子に、淡い青髪の背の低い女子。それに、栗色の短髪の背の高い男子か。
「まずは、リンテ・ストレンさんです。」
「私はもう、ストレンじゃないわよ。」
フィアに紹介された黒髪の女子生徒が、不機嫌そうに言った。
「そうでしたね、すみません。続いて、ロスタ・アルビルさんです。」
青髪の女子が、ロスタというようだ。
「あの、僕ももうアルビルじゃないよ。」
-僕!?僕っ娘か…っ!?
変に動揺するノイルをじとっとした目で見て、フィアが最後の生徒を紹介した。
「最後に、ガイス・ソーテストさんです。」
「あ、僕もソーテストではないぞっ。」
-うーん。男の「僕」はなぁ…。
「お兄様、何を勘違いされているのか知りませんが」
くだらないことを考えているノイルに、フィアが冷たい声で言った。
「ロスタさんは男で、ガイスさんは女ですよ。」
「は…?」
-つ、つまり…。
ボクっ娘が男の娘で、男の子がボクっ娘ということか!?
ますます混乱するノイルを、フィアが咳払いで落ち着かせた。
「お兄様、何かお気付きになりませんか?」
「考えてみれば…3人とも、自分の家名を否定したな。つまり、俺たちと同じく貴族の家を出た者ということか。」
「追い出されたのよ。」
リンテがまた不機嫌そうに言った。
「あの…僕は逃げてきたんだけど…。」
「僕も、逃げてきたんだぞっ。」
つまりリンテはノイルと、ロスタとガイスはフィアと同じ境遇という訳だ。
要は、ここにいる全員が貴族のはぐれ者なのである。
「それで、俺たちと組んでくれるというのは本当か?」
ノイルが確かめるように聞いた。
「まぁ、あんたがどうしてもって言うなら、協力してあげないこともないわよ。」
代表してリンテが答える。
その口ぶりに、ロスタがツッコんだ。
「あの…リンテさん。さっきは、パーティーに誘って貰えて良かったって…。」
「わー!わー!わー!ちょっと!黙りなさいよっ!」
リンテが顔を真っ赤にして噛みつく。
-なるほどな。
ノイルは、全てを理解した。
リンテはツンデレで、ロスタは男の娘で、ガイスはボクっ娘なのだ。
ついでにノイルの頭に浮かんでいないことも付け加えておくと、ノイルはシスコンで、フィアはブラコンである。
「よし。人数もぴったり、この5人でパーティーを組むということにしよう。」
ノイルがみんなを見回して言った。
「はい!お兄様、この3人を見つけたご褒美に今度デートしましょうね♡」
「まぁ、その…ありがと。よろしく頼むわよ。」
「役に立てるか分からないけど、僕も頑張るよ。」
「よろしくねっ!僕も頑張っちゃうぞっ!」
なかなか、個性豊かだ。
貴族のはぐれ者というだけで十分だというのに、そこに加えてシスコン、ブラコン、ツンデレ、男の娘、ボクっ娘である。
-これは、面白い学院生活になりそうだ。フィアに感謝しなくては。
ノイルは、心の中でフィアの頭を撫でてあげた。
喜ぶ(心の中の)フィアに照れるノイルは、やはりシスコンだった。
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