11話「操られし者とウィルスと犠牲者」
エキドナは何故『赤の竜』を敵視するのか。
皆、そう考えていた。
だが、話を聞くと、その認識が間違いであることがわかる。
「あなたは、『赤の竜』を憐れんでいるのですね?」
アラステアの言葉に、エキドナは一瞬きょとんとしながらも、少し考えた末に肯いた。
彼女は『赤の竜』という存在を自分の子どもたちとも言える竜を殺すバケモノとして疎んじているのではない。
本来なら竜として生きることができたはずなのに、その権利を奪われてしまった存在だと憐れみ、悲しんでいるのだ。
『そのとおりかもしれませんわ。だからこそ、私は『赤の竜』を倒すべきだと考えておりますもの』
「何でだ?」と、丈太郎。
『兵器となってしまう前に、人として死ぬほうがまだ良いのではないかと考えておりますから』
生物は生きるも死ぬも意味がある。
生かすも殺すも目的がある。
だが、ただ竜を殺すだけの兵器には意味も目的もない。
其処に在るだけの存在だ。
誰かの目的のためだけにある存在。
それでは戦うことすら、自分のためではなくなってしまう。
『ですから、諒兵さんでしたかしら?私は安心してもおりますの』
「んあ?」
『今のあなたは、まだ兵器ではありませんもの。私の先ほどの問いに少しでも悩んでいたらなんとしても倒すつもりでしたわ』
「エキドナ……」
麗佳が驚いたような顔で見つめると、エキドナは微笑み返す。
まさか、彼女がそう考えてくれるとは思わなかったらしい。
それはその場にいた全員が同じだった。
「その気はないということですか?」
そうアラステアが問いかけると、エキドナは肯いてくれた。
『あくまでも『今は』ですけれど。でも、あなたが完全覚醒するまでの時間で『竜の血』を改善することもできるかもしれませんわ』
龍機兵たちにとっては母のような存在であるエキドナがそう言ってくれたことは素直に嬉しく思う。
エキドナが諒兵のことを受け入れてくれた。
それだけでも未来に大きな希望が見えてくるからだ。
特に、鈴やライラにとっては。
「あっ、ありがとうエキドナさんっ!」
「本当に、心から感謝する」
ゆえに、感謝の言葉が素直に出てきた。
まさに母なる神だとすら思う二人。
だが。
『私のけーきを獲らないなら、味方するのはやぶさかではありませんわ』
「そんなに好きなら、俺の分くれえ分けてやってもいいぜ?」
『あなたとってもいい人ですわあっ、是非とも協力させてくださいましっ♪』
「「「「そこかよッ!」」」」
頓知を利かせた問答だったのかと思いきや、単に欲望丸出しで聞いていただけのエキドナだった。
とはいえ。
エキドナに今すぐに諒兵を倒す気がなく、また『竜の血』の改善に手を貸してくれるというのであれば、丈太郎たちとしては麗佳たちと行動を別にする必要はない。
アメリカのドラゴンズ・ネストが先導して、麗佳たちに協力していけばいい。
「体制を整えていくことに問題はありません。それは私が行いましょう」
「ラナマン博士。ご面倒をおかけします」
「こちらこそ、いろいろとご迷惑をかけることになりますが、お願いします」
既に麗佳は各国の龍機兵の軍隊に陰ながら協力していく身なので、其処まで面倒というわけでもない。
むしろ、今日までのことはエキドナを紹介するタイミングと、丈太郎たち五人の龍機兵の考え方を修正する方法を探っていたと言える。
丈太郎たちとしては、エキドナがこれだけ協力的であるのなら、自分たちを含めた龍機兵の未来を考えることに否やはない。
特に丈太郎としては『竜の血』を見つけたことに対して負い目を持つ。
アラステアたち他の四人に対しても負い目を持っていただけに、今回のことで一番安堵したといえるのは丈太郎だと言えた。
いまだ、自分の未来に希望を持っているわけではないが、少なくとも仲間たちの未来をより良い方向に向けさせることができる、と。
そうなると気になるのは、先ほどエキドナが言っていた話だ。
飢餓状態を脱するために別の感情を食欲に上書きする。
エキドナは『怒り』の感情を食欲にどう上書きすることで、飢餓状態を脱するようにする気なのだろう?
『いいえ。私は『怒り』を用いるのではなく、別の感情を模索しておりますわ』
「別の感情だと?」
『はい。今でこそ悪い伝わり方をしておりますけれど……』
其処まで言われたことで、丈太郎には話の先が見えた。
「お嬢、この話ぁ聞ぃてんのか?」
『せん、蛮場博士はそういった方面だけは察しがいいですね。噂の女が苦労してる気がします』
「そっちぃ話持ってかねぇでくれ」
冬子の話を出されると困るので、丈太郎はすぐに話を遮る。
麗佳も別に掘り下げることもないと考えているため、素直に肯いた。
「はい。魔王種と呼ばれる竜は、エキドナが模索した結果として生まれた、と」
『当初はできるだけ周囲と協調できるような感情を探しておりましたわ。ただ、竜になるとどうしても悪い側面も出てしまって……』
その結果、今の時代には羨望、堕落、貪欲、傲慢として伝わっているという。
それぞれ、
『淫果の蛇』
『惑乱の根』
『大逆の天』
『創界の王』
という二つ名を持って。
さすがにこの話は驚くべきことである。
そのせいか、最初に問い詰めてきたのはルイスだった。
「魔王種は、竜を人に近づけようとした結果、生まれたということなんですか?」
『そうではなく、人の中に竜の力を手に入れた者が出たことから、人の心が竜の力に呑まれないよう改善する過程で生まれたのですわ』
それこそが、今は魔王種として呼ばれる竜が生まれた本当の理由だった。
『怒り』、すなわち憤怒の化身、つまりは『赤の竜』の存在を参考にして、龍機兵が人らしく生きられるようにするために生まれた竜。
それが魔王種だ。
ただ、成功したとは言い難いとエキドナはいう。
「何で?」
そう言って鈴が首を傾げると、答えたのはこの場にいる二人の魔王種のうちの一人。
つまり麗佳だった。
「感情が強くなり過ぎるんです。私は『羨望』、人を羨む気持ちが強くて、わりと嫉妬深くもあります」
「あっ、そうなんですか……」
どうにも麗佳がお嬢様然とした態度で話すと、敬語になってしまう鈴だった。
どちらかというと先ほどエキドナに突っ込んでいた雰囲気のほうが馴染みやすいのだが、今はそんなことを言っていられない。
(もちょっと仲良くなれれば変わるかな?)
そんなことを考えるが、今は口には出さなかった。
鈴がそんなことを考えている最中も、エキドナは『竜の血』の改善の話を続けている。
『不用意に魔王種を増やすのは、私もどうかと思いますの。人の感情と直結した竜は、並の伝承竜よりも強くなってしまいましたから』
「そうしますと、もっとも有効な感情を探っているところなのでしょうか?」
アラステアが問うとエキドナは肯いた。
そして、さらに言葉を続ける。
『ですから、『竜の血』を改善するために、どうしても協力していただきたいことがあるのですわ』
「できっことなら手伝うがよ?」
『難しいことではありませんわ。もうやっているはずですし』
そう言って、エキドナは鈴とライラに視線を向けた。
視線を向けられた二人は、頭に疑問符を浮かべてしまう。
『女性の龍機兵のデータがほしいのですわ』
「何でだ?」と、諒兵が問う。
『女性は感情の生き物と言われておりますもの。男性よりも竜の力と感情の結びつきが強い可能性がありますわ』
無論のこと、他の龍機兵のデータも必要とするが、率先して調べたいのは鈴とライラ、麗佳に智巳に凛那。
『他にもいる可能性があるなら、全て調べさせていただきたいのですわ』
「バン、どうします?」
「問題ねぇだろ。アーサーやローベルト、ジジイにも聞いてデータを集めんぞ」
丈太郎はあっさりと認める。
これまでの話で、エキドナは天然ではあるが悪ではないことがわかった。
さらに、こちらと敵対する気もない。
女の龍機兵のデータは貴重なのだが、エキドナならば情報を渡しても問題ないと判断できる。
その答えに安堵したのか、エキドナはできるだけ詳細な情報が欲しいと言ってきた。
『特に調理の技能については詳しくお願い致しますわ』
「あっ、私、ご飯作るのは得意ですよ。今でも詰所の食堂で働いてますし」
鈴がそう話すと、エキドナは目を輝かせつつ、鈴の手を握り締める。
『今度日本のご飯作ってくださいましっ!』
「「「「お前がまず食欲から離れろ駄女神っ!」」」」
どうにもこうにも其処から離れられないエキドナである。
話をまとめるべく口を開いたのはアラステアだった。
「いずれにしても協力体制を作るのはこれからですね」
「だなぁ。国にも報告しなきゃぁなんねぇし」
「ですから、今は再会を喜びましょう。そろそろ昔のように呼んでくださると嬉しいのですが」
そういってアラステアは麗佳に顔を向け、優しげに笑う。
どうやら、彼には麗佳が無理をしているということが理解できていたらしい。
そう言われた麗佳は少し驚いたものの、年相応の少女のような笑みを浮かべた。
「えっ、あっ……、そうですね。お久しぶりです、アル兄様。それに先生も」
「はい。お久しぶりです、麗佳さん」
「その呼び方ぁ懐かしぃな、お嬢」
麗佳が緊張を解いたことで、場の空気も一気に和やかなものに変わる。
「凛那、お茶のおかわりを頼めるかしら?あと、お茶菓子も。あとは普通にお話するだけだから」
「はいよー。私もそっちの子たちと話してみたいけどいーい?」
「ええ。智巳、椅子を持ってくるように伝えて」
「うん」
『麗佳っ、けーきっ、けーきを所望致しますわっ!』
「わかってるわよ。ちゃんと用意してあるから」
そんなふうに、打って変わった麗佳の対応に、皆が喜びの声を上げる。
「Wonderful!せっかくだからティーパーティーと行こうか」
「ふむ。これがジェネラルが知る本来のレディということか」
「やった♪」
「やはり気疲れしていたな。お気遣い感謝する。ミス・トウドウ」
そうして、全員がリラックスした状態で、和やかなお茶会となる。
それぞれお茶を飲んだり、お菓子をつまんだり、話に花を咲かせたりしていた。
「んじゃ、麗佳……さん?」
「同い年でしょう?麗佳でかまわないわ。私はもともとこういう話し方なのよ」
そう言って、微妙にまだ距離がある鈴に、麗佳が気さくに話しかけている。
「やる?」
「面白そうだ。受けよう」
「もー少し喋れっつーの。女子トークなんだから」
シンプルに手合わせを約束するライラと智巳に、凛那が突っ込みを入れている。
「さすがに良い茶葉を使っていますね」とアラステア。
「ほう、そうなのですかジェネラル?」
「手に入りにくいものですよ、これは」
紅茶に感心するアラステアに、どうやら興味があるのかロドニーが詳細を尋ねている。
「Chill out……、こういうまったりした時間もいいねえ」
ウィルフレッドは一人、紅茶を飲んで呆けていた。
彼でも緊張していたらしい。
そんな光景を眺めながら、諒兵は思う。
(とりあえず、此処はこれでいいな?)
『はい。後はエキドナたちに任せておいても大丈夫でしょう』
正直に言えば、諒兵は魔王種である麗佳に会っておくためと、丈太郎が勝手に死んだりしないか心配でアメリカまで来たのだ。
だが、丈太郎に関しては、エキドナと話したことでやるべきことを見つけられたのだから、すぐに絶望を選択することはないだろう。
麗佳も、鈴と話している姿を見る限り、別に何か悪いことを企んでいるようなタイプではないと感じる。
なら、アメリカに来た目的は果たせたということができる。
(そんなら、俺は次に行くか)
『次、ですか?』
(他の連中にも会っとく。まずはイギリスの基地に行く)
以前、メーちゃんが諒兵にだけ伝えたことが真実であれば、魔王種は出揃っている。
一度だけでも顔を見ておく必要があるだろうと諒兵は考えていた。
何処にいるかわかっているわけではないが、龍機兵の基地なら、何か情報があるかもしれない。
そのため、とりあえずアーサーの顔は知っているので、イギリスを次の目的地とした。
基地の場所を調べるくらいなら諒兵にもできるので、問題はない。
『しちめんちゃんとぐぅいばーちゃんは?』
(置いてく)
あくまでも魔王種に会うのが目的だといえば、おとなしく待っていてくれるはずだ。
そう思う。
そう思いたい。
(今度は巧く目をごまかさねえと)
微妙に不安な諒兵だった。
そんな中。
丈太郎が一つため息をつくと、口を開いた。
「竜が解き放たれちまったときゃぁ、どうなるんかと思ったがなぁ……。やぁっと義肢として使う道が見えてきそぅだ」
「そか、蛮兄もともとその研究してたんだっけ?」
「あぁ。『竜の血』ぃ発見する前からだ。あの日、何かに呼ばれたみてぇにあそこ行って、何もかも変わっちまった」
そう呟き、丈太郎はふと思い出したようにエキドナに尋ねかける。
「そういや、おめぇさんが俺を呼んだのか?」
『はい?』
「いや、おめぇさんを見っけたとき、何かが呼んでるような気ぃしたんだが」
『私にそんな力はありませんわ。そもそも日本は私が眠っていた場所からは遠すぎますもの』
「そりゃぁそうか。んじゃぁ、俺ぁ……何に……、ぐがッ!」
いきなり、丈太郎は頭を抱えて苦しみだした。
それも尋常なものではない。
「先生ッ?!」
「どうしたのですバンッ?!」
「何だッ……てめぇッ……?」
そう呻く丈太郎の姿に、その場にいた全員が驚いてしまう。
いきなりメキメキと音を立てて、額に鱗が生えだしてきているからだ。
自身の意志で出しているというより、身体から勝手に何かが這い出そうとしている。
その頭上に、何故か諒兵には上に向かって伸びている黄色い線が見えた。
『諒兵ッ、あの黄色い光が見えますかッ?!』
(ああッ!)
『白い火で切断してくださいッ、大蛇の人ッ、操られてますッ!』
メーちゃんの言葉に即座に立ち上がった諒兵はすぐに叫ぶ。
「お前らッ、兄貴を押さえつけろッ!」
有無を言わせぬ声に、アラステアと麗佳が素直に従い、丈太郎を押さえつける。
そして、諒兵は一気に右腕を竜化させると、丈太郎の頭上の黄色い光を白い火を発現させた爪で切り裂いた。
ブヅンッと異常なほどの轟音が聞こえたかと思うと、丈太郎は息を荒げつつも、鱗を消していく。
「諒兵……?」
「頭はどうだ、兄貴?」
「軽くなった。今までよりスッキリしてやがる」
「兄貴が操られてるって言ったぜ、アイツ」
その言葉で丈太郎にもピンと来た。
誰が諒兵にそう言ったのかがわかれば、今の丈太郎にはすぐにわかる。
「クソがッ、俺のせぇだったんかッ!」
「バンッ?!」
「先生ッ、どうしたんですかッ?!」
「蛮兄ッ?!」
何もかも気づいたかのように声を荒げる丈太郎に対し、アラステアや麗佳、鈴も心配そうに声をかける。
「諒兵ッ、日本に戻んぞッ、おめぇの『敵』ぁ其処にいるはずだッ!」
「って、わかるのかよッ?!」
その言葉に、さすがに諒兵も驚いた。
それどころか、メーちゃんも驚いたのか、呆れたような声を出す。
『其処まで理解したんですか……。操られるわけですね。頭が良すぎます、この人』
丈太郎が本来の状態であれば、かなり早い段階で見い出されてしまったのだろう。
そのために丈太郎の頭脳を抑えつけていたのだ。
この『六年間』もの間。
諒兵の『敵』が。
だが。
「いえ、戻る必要はありません。あなたたちの役目はもう終わりました」
そんな静かな声が聞こえたとたん、三つの大きなモノが倒れる音が聞こえてきた。
その場に倒れたのは三人の龍機兵。
男が二人と女が一人。
すなわち、丈太郎とアラステアと……、そしてエキドナだった。
「いやあぁああぁあぁぁあぁぁあぁあぁッ!」
全てに絶望してしまったかのような悲鳴が響く。
少女どころか、幼子のように麗佳が悲鳴を上げていた。
「Shit!ルイスッ何してるッ!」
この状況で、一人だけ、それも異常なほど冷静な表情を崩さないのはルイスだけだった。
その手と額が竜化している。
「主の望みです。人の世の未来を取り戻すために、と。それより私にかまっている暇があるのですか?」
ウィルフレッドが振り向くと、鈴たちが倒れた三人に駆け寄っていた。
「蛮兄ッ!」
「ジェネラルッ!」
「エキドナさんッ!」
見れば、三人の胸の辺りにじんわりと血が滲んでいた。
だが、この程度の傷で、龍機兵が、それも最強クラスと言える者たちが倒れるはずがない。
「どいてっ!」と、凛那は抱える者たちを押し退けて三人の胸の傷を見る。
「毒……、でも普通のじゃない……強すぎる……」
『これは……、竜を殺すためのウィルスですッ!私が創ったモノよりは弱いですけどッ!』
諒兵がすぐにメーちゃんから聞いた情報を叫ぶと、凛那は気合いを入れた顔を見せた。
「ラプシオヤウを舐めないでよッ!」
疫病を退けると伝えられる竜の神、ラプシオヤウ。
凛那は額から金属の鱗を生やし、両腕を竜化させると、三人の傷口に向けて霧を噴き出した。
ラプシオヤウの竜の力でウィルスを退けようというのだろう。
「コイツッ、私の力と拮抗してるッ!」
「凛那ッ!」
「智巳ッ、麗佳はッ?!」
「あっ……」と、智巳が振り向くと麗佳はいなくなっていた。
窓を見ると、頭を抱えたまま、外をふらふらと歩いていく姿が見える。
「魔王種は感情の揺らぎが激しい。少し揺り動かせば、簡単に理性が崩壊してしまう。そう伝えられるもっとも危険な伝承竜でしょう?」
「さっきからごちゃごちゃうるせえよ」
冷静に語るルイスに諒兵が襲いかかる。
普段とは違う。
顔から肩にかけて隈取のように鱗が生え、両腕は完全に竜化していた。
ルイスもさすがに危険を感じたのか、すぐに距離をとる。
「やはり一番危険なのはお前か『赤の竜』、主はお前の破壊を望んでおられる」
「だから何だよ。俺のことは俺が決める。主だか酢だか知らねえが、襲ってくるヤツは全部叩き潰す」
鬼相。
鬼の如き怒りの形相。
諒兵が普段でも見せないような凄まじい怒りの表情を見せながらも、ルイスは冷静に、むしろ冷酷に尋ねてきた。
「相手をしてやってもかまわないが、外に出た魔王種は気にならないか?」
「Hey Boy!こっちは任せろッ、レディを頼むッ!」
「なッ?!」という驚きの声と共に、ルイスは窓から外へと吹き飛ばされた。
ウィルフレッドの本気の拳が放たれたのだ。
「ロッドッ、ジェネラルたちを頼んだぜッ!」
「了解だッ!」
ロドニーの答えを聞くや否や、ウィルフレッドはすぐに後を追う。
ルイスを気持ちよくぶっ飛ばしてくれた彼の呼びかけに肯いた諒兵は、すぐに自分の中に間借りしているメーちゃんに呼びかけた。
「出て来いッ、此処を何とかしろッ!」
『はいッ!』
そう答えるや否や、ティンカーベルサイズのメーちゃんがポンっと現れる。
「はえっ?!」
「なっ、何だコレは?」
『謎の巨乳妖精と呼んでくださいっ!』
驚きの声を上げる鈴やロドニー、唖然とする他の者に、ドヤァと大きな胸を張るメーちゃん。
鈴とライラの額に青筋が浮かぶがまったく気にしていない。
だが。
『はれっ、諒兵、突っ込みは?』
全然、諒兵の突っ込みが入らないため、キョロキョロと周囲を見回してしまう。
「彼なら既に外に出たが?」
『のぉーっ!放置プレイはあんまりです諒兵っ!』
ロドニーの言葉に頭を抱えるメーちゃんだが、正直に言って戻ってきてどうにかしてくれと、メーちゃん以上に諒兵に呼びかけたい一同だった。




