第34話 伊織が仲裁
いつもお読みいただきありがとうございます!
前回、ついに転生者同士の対立が各地へ広がり、「転生者戦争」と呼ばれる事態になってしまいました。
勇者を支持する者。
賢者を支持する者。
商人を支持する者。
そしてレオンの管理思想に従う者。
それぞれの勢力が動き出し、海辺の村にも大きな混乱が押し寄せています。
そんな中、伊織本人は相変わらず「関わりたくない」だけ。
しかし、ミナとルナに説得され、ついに伊織が会議を開くことに。
第34話「伊織が仲裁」、どうぞお楽しみください!
朝。
私の家の前は、戦場になっていた。
いや、正確にはまだ戦っていない。
だが、空気は完全に戦場だった。
勇者を支持する冒険者たち。
賢者アリサを支持する研究者たち。
商人連合の護衛たち。
そして、黒崎レオンの黒い旗を掲げた使者団。
全員が私の家の前に集まっている。
なぜ。
どうして。
ここは私の家である。
世界会議の会場ではない。
「海王様の判断を仰ぎに参りました!」
「勇者様こそ正義です!」
「知識の自由を守るべきです!」
「商業の自由が失われれば、村も国も滅びます!」
「管理なくして平和なし!」
うるさい。
ものすごくうるさい。
私は扉の内側で布団を抱えていた。
出たくない。
絶対に出たくない。
扉を開けた瞬間、面倒ごとが雪崩のように入ってくるのが分かる。
私は布団に顔を埋めた。
「関わりたくない……」
本気だった。
世界がどうとか、管理がどうとか、正義がどうとか。
そんな大きな話は、私の手に負えない。
私はただ、魚を釣って、温泉に入って、昼寝したいだけなのだ。
なのに外では、転生者戦争とかいう物騒なものが始まりかけている。
やめてほしい。
本当にやめてほしい。
その時。
窓がこんこんと叩かれた。
「伊織ちゃん」
ミナだった。
私は布団から顔を上げる。
「……なに?」
「入っていい?」
「うん」
窓から入ってくるのはどうかと思うが、今は扉を開けたくない。
ミナは器用に窓から入ってきた。
そして部屋の中を見回す。
「すごいね。外」
「見たくない」
「見なくても聞こえるよね」
「聞こえないことにしてる」
ミナは苦笑した。
その後ろから、水の泡がふわりと浮かび上がる。
部屋の隅に小さな水柱が立ち、そこからルナが現れた。
「海王様!」
「室内で水柱出さないで」
床が濡れる。
ルナは慌てて水を引っ込めた。
「申し訳ありません!」
「で、ルナもなに?」
二人の顔は真剣だった。
珍しい。
ミナはいつものように軽く笑っていない。
ルナも、いつものように海王様すごいですという顔ではない。
少し困っていた。
「伊織ちゃん」
ミナが口を開く。
「お願いがあるんだけど」
「嫌な予感しかしない」
「たぶん当たり」
やめて。
当てないで。
ルナが胸に手を当てた。
「海王様。どうか皆様のお話を聞いていただけませんか」
「嫌です」
即答だった。
ルナがしゅんとした。
ちょっと心が痛い。
でも嫌なものは嫌だ。
「私が聞いたところで、何も解決しないよ」
「でも」
ミナが窓の外を見た。
「このままだと村が大変なことになるよ」
私は黙った。
ミナは続ける。
「市場、もう半分くらい閉まってる」
「え?」
「商人たちが揉めてるから、魚も干物も出荷できない。宿屋もキャンセルと避難客でごちゃごちゃ。温泉街も観光客が怖がってる」
「それは……」
困る。
私だけの問題なら逃げればいい。
だが、村の人たちが困るのは嫌だった。
漁師のおじさんたち。
市場のおばさんたち。
温泉街で働く人たち。
宿屋の女将さんたち。
みんな、最近は忙しそうだけど楽しそうだった。
それが、この騒ぎで台無しになるのは嫌だ。
ルナも静かに言った。
「人魚王国にも影響が出ています。海の商路が乱れ、漁にも不安が広がっています」
「海まで……」
「はい」
ルナは真剣に頷く。
「海王様がお望みでない争いなら、私は止めたいです」
「望んでないよ」
心の底から望んでいない。
そもそも転生者戦争という名前が嫌だ。
もっと平和な名前にしてほしい。
転生者お茶会とか。
転生者昼寝会とか。
それならまだいい。
「伊織ちゃん」
ミナが私の肩に手を置いた。
「伊織ちゃんが世界を救うとか、そういう大げさな話じゃなくてさ」
「うん」
「みんなに一回落ち着けって言ってほしい」
「それだけ?」
「うん。それだけ」
それだけ。
そう言われると、少しだけできそうな気がした。
世界を導くとか無理。
戦争を止めるとか無理。
でも。
「落ち着いて」
それくらいなら言える。
私は深くため息を吐いた。
「分かった」
ルナの顔がぱっと明るくなる。
「海王様!」
「ただし」
私は指を立てた。
「戦わない。怒鳴らない。私の家の前で騒がない。これ守らせて」
「もちろん!」
ミナが笑った。
ルナも力強く頷く。
「海王様の御心のままに!」
御心とかではない。
ただ近所迷惑なだけである。
そして昼。
急きょ、会議が開かれることになった。
場所は温泉街の大広間。
元々は観光客向けの休憩所だった場所だ。
畳のような敷物が敷かれており、広くて、風通しもいい。
ただし、入口には人が大量に集まっていた。
勇者派。
賢者派。
商人派。
レオン派。
人魚王国の兵士。
村人。
観光客。
なぜ観光客までいるのか。
「歴史的瞬間だからです!」
誰かが言っていた。
帰ってほしい。
私は大広間の中央に座った。
正直、座りたくない。
だが、ミナとルナに両側を固められている。
逃げられない。
少し離れた場所に、和也がいる。
アリサがいる。
大輔がいる。
そしてレオンがいる。
四人とも真剣な顔だった。
空気が重い。
私はその空気だけで疲れた。
「えっと」
私が口を開くと、全員が一斉にこちらを見た。
怖い。
やめてほしい。
「とりあえず、みんな座って」
すでに座っている。
だが、私は何となく言った。
すると和也がすぐに姿勢を正した。
「はい!」
アリサも静かに座り直す。
大輔も膝を揃える。
レオンだけが少し眉を動かした。
「座っているが」
「もっとちゃんと」
「ちゃんと?」
私は少し考えた。
日本人だった頃の記憶が浮かぶ。
先生に怒られた時。
体育館。
集会。
部活。
あの姿勢。
「正座」
そう言った瞬間。
空気が止まった。
和也が即座に正座した。
「承知しました!」
早い。
勇者なのに正座が早い。
アリサは一瞬だけ首を傾げたが、転生者なので意味は分かったらしい。
すっと正座した。
大輔も苦笑しながら正座する。
「懐かしいですね」
最後にレオン。
彼は少しだけ不満そうだった。
「合理性がない」
「いいから座って」
私が言うと、レオンは数秒沈黙した後、正座した。
大広間がざわめく。
「転生者全員が正座したぞ……」
「海王様が座らせた……」
「これが海王様の威圧……」
違う。
ただ落ち着いてほしかっただけだ。
そして。
目の前に並ぶ転生者四人。
勇者。
賢者。
商人。
合理主義者。
全員、正座。
なんだこれ。
ちょっと面白い。
ミナが横で笑いをこらえている。
ルナは感動していた。
「海王様……まさか、争いを収めるために全員を同じ高さへ……!」
違う。
そこまで考えていない。
私は咳払いした。
「じゃあ、話し合いを始めます」
「はい!」
和也が返事をする。
声が大きい。
「まず」
私は全員を見る。
「なんで戦争するの?」
沈黙。
和也が口を開いた。
「レオンが世界を管理すると宣言したからです」
アリサが続ける。
「知識の統制は認められません」
大輔も頷く。
「商業活動への干渉も看過できません」
レオンが静かに言う。
「無秩序な自由は混乱を生む。管理が必要だ」
四人の視線がぶつかった。
また空気が重くなる。
私はすぐに手を叩いた。
ぱん。
「喧嘩しない」
全員が黙った。
意外と効いた。
正座効果かもしれない。
私はレオンを見る。
「レオンは、世界を管理したいんだよね?」
「そうだ」
「なんで?」
「この世界は非効率だからだ」
「非効率だと駄目なの?」
レオンは少しだけ目を細めた。
「無駄が増える。争いが増える。弱者が犠牲になる」
「ふーん」
言いたいことは分かる。
全然分からないわけではない。
効率が良ければ助かる人もいるのだろう。
でも。
「人って、そんなに予定通り動かないよ」
私がそう言うと、レオンは黙った。
「魚もそうだし」
「魚?」
「魚って、こっちが釣りたい時に釣れるとは限らないんだよ」
和也が目を輝かせた。
「海王流の教え……!」
「違う」
私はすぐ否定した。
「天気とか、潮とか、気分とか、いろいろあるし。無理に引っ張ると糸が切れる」
大広間が静かになる。
私は続けた。
「人も同じじゃない?」
レオンの表情が少し変わった。
私は正直、難しいことは分からない。
政治も分からない。
経済も分からない。
魔法研究も分からない。
ただ、無理に引っ張ると壊れることくらいは分かる。
魚釣りと同じだ。
たぶん。
「管理したいなら、まず相手の話を聞いた方がいいよ」
レオンは答えない。
次に私は和也を見る。
「和也」
「はい!」
「世界を救いたいんだよね?」
「はい!」
「でも、ずっと力入ってると疲れない?」
和也が固まった。
「疲れ……」
「毎日修行して、戦って、守って、正義って言って。休んでる?」
「休む時間は、あまり」
「だよね」
私はアリサを見る。
「アリサも」
「はい」
「研究しすぎ」
「必要な研究です」
「寝てる?」
「研究の合間に仮眠を」
「それ寝てないやつ」
アリサが目を逸らした。
図星らしい。
私は大輔を見る。
「大輔も」
「はい」
「商売しすぎ」
「商機は逃せませんので」
「休んでる?」
「移動中に書類を」
「休んでない」
大輔も目を逸らした。
最後にレオンを見る。
「レオンも」
「俺もか」
「うん」
「俺は効率的に休息を取っている」
「それ休めてる?」
「必要な睡眠時間は確保している」
「そういうことじゃなくて」
私は全員を見た。
勇者も。
賢者も。
商人も。
合理主義者も。
みんな、何かに追われているように見えた。
世界を救う。
知識を広める。
商売を広げる。
世界を管理する。
目標は違う。
でも、全員ずっと走っている。
そして走りすぎて、周りが見えなくなっている。
「みんな働きすぎ」
私はそう言った。
大広間が静まり返った。
和也が目を見開く。
アリサが瞬きをする。
大輔が口元を押さえる。
レオンだけがじっと私を見ている。
「働きすぎ……」
和也が呟いた。
「はい」
「海王様は、我々に休めと……?」
「うん」
「戦争中に?」
「戦争する前に休んだ方がよくない?」
私は本気で言った。
疲れている時に大事な判断をすると、大体ろくなことにならない。
前世でもそうだった。
深夜に書いたメール。
疲れている時に決めた予定。
寝不足で考えた人生計画。
大体おかしい。
だから寝た方がいい。
とても大事だ。
「みんな、世界をどうにかしようとしすぎ」
私は続けた。
「一回ご飯食べて、お風呂入って、寝て、それから話せば?」
ミナが小さく笑った。
ルナは涙ぐんでいる。
なぜ。
「さすが海王様……争いの根本にある疲弊を見抜かれるとは……!」
「たぶん違う」
大輔がぽつりと言った。
「ですが、一理ありますね」
アリサも頷く。
「睡眠不足は判断能力を低下させます」
「研究者がそれを言うの?」
「反省しています」
本当だろうか。
和也は拳を膝の上に置いたまま、深く頭を下げた。
「海王様。俺は、焦っていたのかもしれません」
「うん」
「レオンを止めなければ、この世界が危ないと」
「それは分かるけど」
「でも、焦って剣を抜けば、守りたい人たちまで巻き込むところでした」
ようやく少し落ち着いたらしい。
よかった。
アリサも静かに言う。
「私も、研究の自由を奪われることに感情的になっていました」
「感情あったんだ」
「あります」
少し怒られた。
大輔も息を吐く。
「商会への攻撃に対して、こちらも即座に反撃する準備をしていました」
「やめてね」
「はい。少なくとも今は」
今は。
少し怖い。
そして、レオン。
彼はずっと黙っていた。
黒い目が私を見ている。
「海老崎伊織」
「なに?」
「君は、本気でそれで世界が変わると思っているのか?」
「思ってない」
即答した。
レオンが少しだけ眉を動かす。
「私は世界を変えたいわけじゃないし」
「では、なぜ仲裁する?」
「うるさいから」
正直に言った。
大広間がざわついた。
「うるさい……」
「海王様が争いを騒音と断じられた……」
「世界の争乱すら生活音の乱れとして捉えるとは……」
違う。
ただ本当にうるさかっただけだ。
「あと」
私は続けた。
「みんなが困ってるから」
レオンの目が細くなる。
「村の人も、商人も、観光客も、人魚王国も。みんな困ってる」
「それは一時的な混乱だ。管理が進めば安定する」
「その一時的な混乱で泣く人がいるなら、駄目じゃない?」
レオンは黙った。
私は言葉を選びながら続ける。
「ゲームなら、失敗してもやり直せるかもしれないけど」
レオンの表情が少し変わった。
やはり、元ゲーマーという言葉は本当らしい。
「この世界の人は、やり直せないでしょ」
大広間が静かになった。
「村のおじさんも、宿屋のおばさんも、魚を買いに来る子供も、みんな一回きりで生きてる」
私はレオンを見る。
「だから、効率だけで動かすのは怖いよ」
自分でも、らしくないことを言っていると思った。
でも本音だった。
私はこの世界を救いたいわけじゃない。
支配したいわけでもない。
ただ、知っている人たちが困るのは嫌だ。
それだけだった。
レオンは長い沈黙の後、口を開いた。
「君は非合理だ」
「よく言われる」
たぶん言われてはいない。
でも言われそうではある。
「だが」
レオンは目を伏せる。
「無視できない」
その言葉に、和也が少し身構えた。
アリサも魔力を抑えたまま警戒する。
大輔は静かにレオンを見ている。
レオンは続けた。
「一時休戦を受け入れる」
大広間がざわめいた。
和也が驚く。
「本気か?」
「休戦だ。降伏ではない」
レオンは冷静に答える。
「この場で衝突しても得るものが少ない。各勢力の疲弊も大きい。状況を再評価する必要がある」
「つまり休むってこと?」
私が聞くと、レオンは少し嫌そうな顔をした。
「戦略的再調整だ」
「休むってことだね」
「違う」
たぶん同じである。
大輔が笑った。
「では、まずは物流封鎖の解除をお願いします」
「条件付きで応じる」
アリサも言う。
「研究資材の供給停止も解除してください」
「管理対象外のものは戻す」
和也が立ち上がりかけた。
正座で足がしびれたのか、少しよろけた。
「冒険者たちにも撤退を呼びかけます」
「うん。あと足、大丈夫?」
「大丈夫です!」
絶対大丈夫じゃない。
ぷるぷるしている。
その後、なぜか正式な文書が作られた。
『海王様仲裁による一時休戦協定』
また名前が入っていた。
やめてほしい。
内容はこうだった。
一、各勢力は即時衝突を停止すること。
二、物流と商路を一時的に回復させること。
三、研究施設、商会、村、港への直接干渉を控えること。
四、各転生者は最低一日休息を取ること。
五、今後の方針は改めて会議で決定すること。
四番目だけ異様に生活感があった。
私が言ったせいである。
だが、なぜか全員真面目に署名した。
勇者、神代和也。
賢者、九条アリサ。
商人、橘大輔。
合理主義者、黒崎レオン。
そして最後に。
海王、海老崎伊織。
「海王じゃない」
私が抗議すると、大輔が笑顔で訂正した。
海老崎伊織。
それでよし。
会議が終わる頃には、外の空気も少しだけ変わっていた。
さっきまで殺気立っていた使者団たちは、ひとまず武器を下ろしている。
研究者たちは資料を抱えて帰り始めた。
商人たちは急いで物流の再開手続きをしている。
冒険者たちは温泉へ向かった。
レオン派の使者団も、黒い旗をたたんで撤収していく。
私は深く息を吐いた。
「終わった……」
ミナが笑った。
「伊織ちゃん、すごいじゃん」
「すごくない。疲れた」
ルナは両手を胸の前で組んでいる。
「海王様が争いを鎮められました……!」
「違う。正座させただけ」
「それがすごいのです!」
すごくない。
正座はただの正座だ。
その日の夜。
村には久しぶりに穏やかな空気が戻った。
市場の店は再び開き、宿屋には笑い声が戻る。
温泉街では、冒険者と商人が同じ湯に浸かっていた。
研究者たちは湯上がりに議論している。
人魚王国の兵士たちは海辺で見回りながら、魚の串焼きを食べていた。
私は家の前に座り、焼き魚を食べる。
ようやく静かになった。
完全に静かではないけれど、昨日よりはずっとましだ。
「やっぱり、ご飯と風呂と睡眠は大事だね」
そう呟くと、隣にいたミナが笑った。
「それ、世界を救う言葉かもね」
「そんな大げさなものじゃないよ」
本気でそう思う。
ただ普通のことだ。
疲れたら休む。
お腹が空いたら食べる。
話す前に落ち着く。
それだけ。
しかし翌朝。
私はまた嫌な予感で目を覚ました。
外が騒がしい。
昨日よりは怒号ではない。
でも、別の意味で騒がしい。
扉を開けると、転生者たちが全員そろっていた。
和也。
アリサ。
大輔。
レオン。
四人とも、なぜか真剣な顔をしている。
「なに?」
私は警戒しながら聞いた。
大輔が代表して一歩前に出た。
「海老崎さん」
「はい」
「昨日の件を受け、我々は新しい枠組みを作るべきだという結論に至りました」
嫌な予感。
非常に嫌な予感。
和也が力強く頷く。
「対立ではなく協力を!」
アリサも続ける。
「研究、武力、商業、管理。それぞれの分野を調整する組織が必要です」
レオンも静かに言う。
「無秩序な同盟ではなく、機能的な連合体だ」
私は一歩下がった。
「まさか」
大輔が笑顔で言った。
「転生者連合を結成しましょう」
私は扉を閉めた。
しかし外から、四人の声が聞こえる。
「もちろん、中心は海老崎さんです」
私は叫んだ。
「静かに暮らしたいだけなのにぃぃぃ!!」
第34話をお読みいただきありがとうございました!
今回は伊織による仲裁回でした。
転生者戦争という大きすぎる問題に対して、伊織が出した答えはとてもシンプルです。
「みんな働きすぎ」
勇者は世界を守るために走り続け、
賢者は研究のために眠らず、
商人は商機を逃さず働き、
レオンは世界を管理しようとしすぎている。
そんな転生者たちを、伊織は全員まとめて正座させました。
世界の命運を左右する会議のはずなのに、まず正座。
この作品らしい仲裁方法になったと思います。
伊織本人は難しい政治や思想の話をしているつもりはありません。
ご飯を食べて。
温泉に入って。
ちゃんと寝る。
ただそれだけの当たり前のことを言っているだけです。
ですが、その当たり前が、働きすぎていた転生者たちには意外と刺さったようです。
そしてレオンも一時休戦を受け入れ、争いはひとまず収まりました。
ただし、これで終わりではありません。
ラストでは、対立を避けるための新しい枠組み――転生者連合の話が持ち上がりました。
次回、第35話「転生者連合結成」。
レオンも協力路線へと進み始めますが、当然のように伊織が巻き込まれていきます。
引き続きよろしくお願いいたします!




