寄り道
俺達は集落の村長さんが困っているという話を聞き、
村のすぐ横にある山の調査の為、村を出て山に登る。
山にはたくさんの気配を感じるが特にそこまで大きなモンスターの気配は感じない
何も起こらず俺達は山の中腹くらいまで登り、少し休憩をしていた。
「なんか拍子抜けよね、モンスターもボアとかしか出てこないしさ」
「ユウ お腹空いた」
クリスたんはマイペースで可愛い
簡単な昼食を済ませてから、また登り始める
山には崖などは無く比較的登りやすい山だった。
リンシャンの冒険者の人(獣)は特に異常はないと思って村に報告をしていないのかな?と思って歩いていると
気配察知に反応が、これはモンスターだ
「出ました。右手かなり奥ですがドレイク級2体」
「了解」
「わかったわ、でもあんた良く分かるわね?私一応虎の獣人なのに全くわからないんだけど…」
「そういった魔法だと思ってもらえれば」
「はぁ〜 魔法って良いわね、前は嫌だったけど。今は私も使ってみたいと思うようになったわ」
「今度一緒に練習しましょうね」
「そ、そうね、頼むわ」
そんな会話をしながら気配の方へ歩いて行く。
すると居た、ドレイクが2体
「では私が右の1体やりますので、もう1体をお願いします。」
「了解」
「わかった」
俺は暗殺術スキルでドレイクの背後に忍び寄る
『さあ、初陣だよ「夜斬り」』
俺は黒く光る刀を抜く。少しだけ魔力を注ぐと刀が「キィィン」と反応する
俺はドレイクの背後から首目掛けて刀を横に撫で斬る。
「シュパン!」
今まで使ってきた剣は何だったのかと思える程の切れ味
全くの抵抗がなく、ドレイクの首は空に飛んだ
俺が倒したドレイクはキラキラと光となって散った。
[レベルが上がりました]
と世界の声が聞こえたのを無視しつつ戦闘を継続する。
残されたドレイクにフレイは槍の一撃を放つ
「ハアアアア!!」
フレイの放った突きはドレイクの胸板を突き刺した。
「グエォォォォ!!」
と叫び声を上げて苦しそうだが致命には至っていない
フレイはその場から離脱する
何かと思ったらクリスが後ろから火の魔法を放っていたのだ
「ファイアーランス」
大きな炎の槍は苦しそうにしているドレイクの首に深く刺さり、体内を焼いていく。
少しの時間苦しそうにしていたが、やがて動かなくなり、ドレイクは絶命した。
「イェーイ」
「うん」
クリスとフレイはハイタッチしている
クリスはバンザイしていて、それに合わせてフレイが手を出し、その場でジャンプしているだけだが
『クリスたんかわええ、フレイも可愛いし、微笑ましい
限りだ』
俺は2人に合流すると
「私レベルが上がったみたい、やった」
「私も 上がった」
「実は私も上がりました。この調子でみんなで強くなって行きましょう。」
「「おー!」」
とみんなで意気込んでいると、また気配察知に反応が
「次出ました。近いです」
俺達は近くの木に身を潜めモンスターの来る方を見ていた。
気配察知の反応はあるが、その場から動いていないようだ。
『おかしいな、何で動いてない?
そもそも急に現れたけど、どんなモンスターだ?』
俺は気になり木から出て、反応のある方へ歩いて見に行く
「ちょっと、そっちにいるんでしょ?大丈夫なの?」
「ちょっと様子を見に行くだけです。一緒に行きます?」
「うん」
「どうしてもって言うなら付き合ってあげても良いけど」
俺達は反応のする場所へと近づいた。
「アレは何なんでしょう?」
「知らない」
「分からないわ」
俺達は見てしまった。
山の中にある穴の中で、黒く蠢く何かを…
その蠢く何かが形を作っていく
まさか、あれは
俺達はドレイクが出来上がる瞬間を目撃してしまった。
『なるほど、ああやってモンスターは出来ているんだ』
「知りませんでした。あのようにモンスターって生まれるのですね」
「ユウ 違う」
「はぁ?何言ってんのあんた!そんな訳ないじゃない?」
「え?違うんですか?」
「そうよ、モンスターがモンスターを産む。これが常識よ。
中には濃い魔素から生まれてくるモンスターもいるみたいだけど稀ね」
『俺は稀なんだな』
「そうなんですか、勉強になります。
ではあの黒いのが魔素なんですかね?」
「違う 魔素 綺麗 感じ」
「元々魔素は見えないんだけど、あれは魔素なんかじゃないわ、あんな黒くて怪しいもの、こんな所にあって良いものじゃないわ」
「では実際にそこに見える黒いのは何なんでしょう?」
「知らない」
「分からないわ、でもきっと良くないモノよね」
「確かに怪しいよな、黒いし」
するとドレイクが出来上がり、歩いて向こうへ行ってしまった。
あそこから生まれたドレイクは1匹
「クリスさんとフレイさんで向こうへ行ったドレイクの討伐をお願いしてもいいですか?
私はちょっとあの黒いのを調べてみます」
「気をつけて」
「危ないと思ったら逃げなさいよ」
「ええ、そっちも気をつけて下さいね」
クリスとフレイはドレイクを追って山の奥へ行った。
「さて」
先程の穴を調べてみると、何やら黒い石が地面に落ちている。
その石を調べようと手を伸ばすと
「バシィイ!!」
と何かに弾かれた
[スキル【障壁】を覚えました]
おお、魔法だったんだコレ
今俺は魔法剣士の職業の力でラーニングして、
この【障壁】とやらを覚えたって事なのかな?
これが魔法であるならこいつならどうだ!
「レグレッション!」
俺は先程弾かれた場所に向かって魔法解除の魔法を放つ。すると
「パキィーン」
と甲高い音と共に障壁がなくなったようだった
俺は恐る恐る黒い石に近づいた。
黒い石に指先を当ててみる。
特に反応はない。
でも
何かを感じる石だ
何だろう、この石から感じる力
俺は手のひらからグーラを出す。
石に巻き付かせるが特に何も無い。
思い切って吸収してみる。少しだけ抵抗を感じたが、すぐに吸収する事が出来た。
[スキル【魔素召喚】を覚えました]
『ドエエエッー!!』
召喚ってあの召喚かな?
でも魔法じゃなくて魔素?
そうか、さっきの石は周りの魔素を無理矢理集めて
モンスターを作ってたのか!
それにしても何故こんな所にこんな物が?
ま、原因はおそらくこれだろうし、これで麓の村に大型のモンスターに襲われるって心配がなくなったから
依頼完了って事でいいかな、
あ、でもこれが1つとは限らないかな
しばらくするとクリスもフレイが戻ってきた
「倒した ユウ」
「ふっふーん、さっすが私! もうあんなヤツ余裕で倒せるわ。」
「2人ともお疲れさまでした。」
「あれ?ここにあった黒い石はどうしたの?」
「実はあの石が周りから魔素を吸収していて、モンスターを作っていたのが分かりましたので破壊しちゃいました。」
「えっ!どうやったの」
「魔法で」
「ああ魔法ね、わかったわ、もう何でもいいわ」
と呆れているフレイさん
「今度クリスも一緒に魔法のお勉強して、みんなで強くなりましょうね」
とフレイさんに気を使って話してみる
「ま、私には魔法なんて要らないけど。
どうしてもって言うなら一緒に勉強してあげるわよ」
とフレイさんの機嫌が治ったところで
「モンスターの発生の原因はわかりました。同じ石が無いかをもう少し調べてみましょう」
「うん」
「そうね」
今俺達は山の頂上付近にいる、まずは頂上に到着した。
特に変わったものは見当たらない。辺りを捜索したがあのような石は無かった、が
「みんな〜こっち来て〜宝箱だわ〜」
声の上がる方へ歩いて行くと、岩と岩の隙間に以前見たのと同じサイズの木箱が隠れて置いてあった。
「これは誰かの持ち物では無いですかね?」
「は?あんた何言ってるの?どう見ても山から生まれた宝箱でしょ?見つけた私達のモノよ!」
「いえ、この山の所有者の方とか?」
「は?山は山よ何言ってるの?」
「で、では国の所有する山から出たのだからと国に報告する義務等は?」
「あんたって頭いいのか悪いのか分からなくなるわ
私達冒険者は見つけたお宝は見つけた人のモノって昔から決まってるのよ」
「では誰もこの中身を取っても文句は言われないと」
「そうよ、知らなかったの?」
「知りませんでした。でも良かったです」
「何が?」
「以前、同じような箱からアイテムが出て持っていたもので」
「へぇ、私も何回も見つけた事あるし、大丈夫よ。
それよりも、開けましょうよ」
「ちょっと待ってくださいね」
と言って俺は近くにあった小石を宝箱に当てる。
特に変わった事なし。
宝箱周辺を探るが、罠も見当たらない
「あんた何してるの?」
「罠が無いか調べているんです」
「私何回も開けた事あるけど罠なんて1度もなかったわよ。」
「フレイさん。罠というのは1度かかったら終わりです。掛かってしまった人はそれを伝える事も出来ずに…という事がないとは言えません。
私はあなたとクリスを護らなければなりませんので、最低限の注意はしておきたいのですよ」
「あ、あんた」
「ユウ」
2人は少し顔を赤くして俺の行動を見守る
「とりあえず罠は見当たりません。開けてみましょうか」
と俺が言うと
「わ、私開けたい、ダメ?」
と上目遣いてな聞いてくる
『く、くそ、可愛いな!負けんぞ』
「く、クリスさんはいいですか?」
「ん? 別にいい」
と全く興味無さそうに返事する
「じゃあ開けるわね」
「ギィー」
と木箱の開く音と共に蓋が開いた。
中を見ると本が一冊と青のマフラーが入っていた。
「本とマフラー?」
俺が中に手を入れそれらを取り見せると
「ああー!そのマフラー!前から欲しかったヤツだー!」とフレイさんか珍しく騒ぐ
「このマフラーですか?」
とマフラーをフレイさんに渡す
「そう、これよ!このマフラーを装備すると速さが上がるの。攻撃されても躱せるようになるしいいなって。
前からずっと欲しかったやつ」
とぎゅっとマフラーを胸に抱くフレイさん
『あのマフラーになりてぇ』
「クリスさんはあのマフラー欲しいですか?」
「私 いらない」
「ではそのマフラーはフレイさんが使って下さい。」
「いいの!売ったらかなりの金額よこれ?」
「フレイさん前から欲しかったのでしょう?
売らないで使って下さい、戦闘等の力になりますので」
「ありがとーユウ!大事に使うわ」
「フレイ 良かったね」
「うん、クリスもありがとう」
「この本はどうしましょう?」
「私本に興味ないし、マフラー貰ったから」
「本 なんて書いてある?」
「う〜ん風と表紙に書いてあると思いますが」
「それは 魔法書 読めば 覚える」
『おお、すげぇじゃん!当たりアイテムや』
「クリスさんが覚えるといいも思いますよ、大魔導士ですしね」
「また 今度」
「では仕舞っておくので、読みたくなったら言って下さいね」
「うん」
それからも山の中を散策するが黒い石のような物騒な物はなく、平和な山に戻ったようだった。
「他に変わった事もないようなので、集落に戻りましょう。」
俺達は集落に戻り村長さんに報告する為に山を後にした。




