獣王との謁見
俺は赤い獅子の人に肩をがっちりと抱かれて城の地下の訓練場に連れていかれた。
『高校の時、ヤンキーの奴らに体育館裏に連れて行かれるひ弱な生徒みたいだな』
『でもきっと筋肉モキモキの体育教師が竹刀持って「コラーお前ら何やってるんだー」とかの流れがあるはず?』
先生役のグロッセルさんもブレスさんと仲良く話しながら付いてきていた
『とめれやー!!
さっきアワアワやっとったやろー!』
周りの兵士達も見に顔を出すが、止めてくれる雰囲気では無い。
はあ〜獣国ってこんな事ばっかなの?
筋肉ばっか鍛えてると、脳まで筋肉になるというのは本当だったのか、都市伝説かと思ってたのに
と現実逃避をしていたら、どうやら目的地の地下訓練場に着いてしまった。
「ポイ」と投げ出された俺は壁際に追い込まれ赤い獅子の男に
「おい、おっさん得物はどうする、俺達4獣人相手だしな〜木刀4本持つか?
ぎゃーはっはっは」
『ちょっと何言ってるかわからない』
「何故私はあなた達と戦わないといけないのかを聴いていいですか?」
「キサマ人族如きが我等4獣剣を馬鹿にしたんだ。当然の処置だ。生温い」
と初めて黒いのが喋った、低い声でカッコよかった
「いやいや、馬鹿になんていつしたんですか?
大体手紙を渡しただけで私はほとんど話してませんて」
「私は今でもあなたを弱い男と思ってる。だってさっきより弱い匂いがするし」
と色っぽい声で責めてくるイエスさん
「グロッセルさんを騙して城に忍び込み、怪しい手紙で王を惑わせた。
これだけでお前の罪はなくならねぇ。
だが、もし俺達に勝つことが出来たら、もう1度王に確認をとってやる」
だから俺達と戦うしか無いんだよ人族!
地下には王様は来ていない。
上にいたこの人達以外の兵がいるのだろう
クリスは「頑張って」と目がキラキラしているし
フレイさんは未だにアワアワしている
グロッセルさんは「見せてやれーこいつらにお前の力を〜」とか応援してるし、後で取っちめてやる
訓練場に目を向けると、赤い獅子は槍使いなのか槍をクルクルと回していて
イエスさんはあれは鞭?をバシバシして土埃をあげている(似合っている)
黒豹は壁に寄り掛かって短剣を2本ジャグリングの様に上空へ放っていた。
そして何故かブレスさんもレイピアを持ち佇んでいる。
「すいません。ブレスさん、あの〜助けてもらう事は出来ないでしょうかね」
「ユウさんのグロッセルさんとの戦いをこの目で見ていなければ、止めているのでしょう」
『は?』
「私は、グロッセルさんの様な力を持ち合わせていません。
あなたもそのはずだ、でもあなたはグロッセルさんに勝ち、あの窮地を乗り越えた。
凄いと思った。僕もあなたの様に戦いたい!
いつかあなたと戦ってその道を見てみたい。」
『このイケメン脳筋だったわ〜』
「こんなチャンスがすぐ訪れるなんて、
すいませんユウさん。私の全てを受け止めて下さい。
そしてこれからの私の道を示して下さい」
『このイケメンが女の子だったら良かったのに〜!
何なん!受け止めてって乙女ちゃうやろ!イケメン』
「分かりました。では私はこの木刀を使いますね」
「おっ、やる気かいいね〜、安心しな殺しはしねーからよ」
「あら、本当にやる気なのね、ふふっ少しは楽しませてくれるのかしら」
「我等4人を相手にするなどと不遜!だがその粋や良し、早々に眠って貰おう」
「ユウさん。胸を借ります。全力でいかせて貰いますのでよろしくお願いしますね」
「グロッセルさん合図してもらう事ぐらいしてくれますよね (ジトー)」
「う、うむ。儂が原因だしな」
「後あの人達の名前も教えて貰えますか? (ジトー)」
「お、おう。
赤いのがレッドサン、獅子の獣人だ
黄色のエロいのがイエス、豹の獣人で
黒いのがブラッキス、黒豹の獣人だ
青くてイケメンがブレス、氷豹の獣人だな」
「豹ばっかりですね」
「奴らは素早くて爪の攻撃が半端ないからな、
狭い武闘会での戦いだといつも上位なんだよ」
「なるほど武闘会ですね。聞きませんから」
「まっ、近いうち教えてやるがな」
「お断りします。」
「おいおいいつまで待たせるんだ〜、さっさと始めようぜ」とレッドサンが煽る
「はぁ〜 では合図お願いします。」
「よし!では両者殺すなよ!はじめ!」
「ウラァー!!」
「眠れ」
と言って飛び出して来たレッドサンとブラッキス
仲良いなこいつら
「肉体強化!」
俺は肉体強化の魔法を使い2人の攻撃を受け止め、いなしていく
「「なっ!」」
パワーもスピードも、グロッセルさんと比べると酷いもんだ。肉体強化なんて使わなくて良かったかも
「これはどうかしらね」
ミドルレンジから一本鞭が俺を襲う
『食らったら癖になりそうだしね』
鞭の軌道を読み、それを躱す
「あの速さの鞭を躱した!」
俺の側には3人集まった
「こんなもんかな」
「何がだよ!」
「余裕とは思わさん」
「1度躱した位で舐めないで」
俺は魔法を唱えた
「アイスワールド」
俺の周りは一面光輝く銀世界に変わる
「なっ!」
「魔法だと」
「こんなの聞いてないわ!」
俺は足元が凍り動けなくなった3人にさらに魔法を使う
「トリプル ヒプノティズム」
魔法を食らった3人は深い眠りについた
「後は…」
と少し離れた所で構えているのはブレスさんだ
「流石に喰らいませんね」
「はい。それはもう見ましたから」
俺は木刀を構え直し
「どれだけ強く早くても隙を突かれて行動を阻害されると戦局は逆転します。今のように
ではブレスさんの見た事の無い魔法を使っていきますので、まずはその対応をして下さい。」
「はい!」
俺は地面に向かい魔法を放つ
「ストーンバレット」
5つの土の弾丸を作りブレスさんに撃つ
ブレスさんは素早く動き、それを全て躱した。
「やりますね、次はどうでしょう」
「これが魔法…」
木刀を投げ捨て、両手に魔力を込める
「ストーンガトリング」
幾多もの石つぶてを作成、発射を繰り返す。
その数は数え切れない
「くっ!」
ブレスさんは躱し続けていたが、1度当たってしまうと立て続けに当たり続けてしまう。
「まだ行きます」
「なっ!」
「ストーンホール」
ブレスさんの足元に30cm位の小さい穴をいくつも開ける
躱し続けていたブレスの足元に穴が空きバランスを崩して被弾数が増える
「これで終いです」
「ま、まだあるのですか」
「ダークワールド」
ブレスさんの目の前が真っ暗になる。
「こ、これは一体」
「これはグリムードが私に使ってきた魔法です。
何も見えなくなり、混乱してしまいます。」
「こ、こんなの」
「そう私もどうしようもありませんでした。
そこでクリスが攫われてしまったのです。」
「なっ!」
「ここで例えばイエスさんが攫われたとすると、あなた達はきっと私を卑怯だと言うでしょう。
しかし、魔法使いには魔法使いの戦い方があると思うのです。
あなた達の様に体に恵まれていない人に肉弾戦をやれと言われても無理なんですよ。
そうなると使うのは腕や足ではありません。
頭です。
先程3人が同時に襲ってきた。
もし距離がある状態で足元を凍らせても、それに気付き躱していたかもしれません。
敢えて攻撃を受けて距離を縮める、これも戦略でした。」
「レグレッション」
ブレスさんの闇を払う魔法を使う
ブレスさんは呆然としていた
「今何故あなたにこんな事を話したかと言いますと、王様は分かっているかもしれませんが、これから悪魔達との戦いが始まるかもしれません。
あなた達は確かに強靭な肉体を持ち、普通の人であればまず敵わないでしょう。
しかし、相手は悪魔達です。今の様な魔法を使ってくる悪魔も実際いたのです。
この3人に護られていた王は今は1人なのですよ、ここで先程の魔法を使われて王様が攫われたり、殺されたりしてあなた達は卑怯だのと言っても、結果は殺されて終わりなのです。獣国の終わりです」
それを聞いて青ざめるブレスさん
「悪魔達は強いし姑息だ。
それを踏まえて国力の強化を帝国にも王国にも、そして獣国にもして欲しい、そう思って私とそこにいる王国の姫であるクリスさんと一緒に旅をしているのです」
「そ、そうだったのですね」
ブレスさんは頭を下げてしまう。
「ですが、人よりも強くなりたいと思うのは誰にでもある事だと思います。
そこら辺にいるスライムでも」
「スライムですか」
「そうです。だって死にたくないじゃないですか
なのであなた達を否定はしません。
ただ、卑怯呼ばわりしてる暇があるのであれば、それをどう対処するかを考えて欲しい。
弱い者に構ってる暇があるならより弱き人の為にモンスターを狩って欲しい。」
俺はグロッセルさんの方を向き
「これはギルドマスターの仕事ですね」
とグロッセルさんに言ってやった
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
しばらくすると3人は目を覚ました。
3人はは卑怯だやらなんやら色々言っているが
無視してブレスさんにお任せする
「1度王にお会いしよう。それで分かるはずだ」
その一言を言ってブレスさんはスタスタと来た道を戻る
寝ていた3人は元気満々で俺に絡んで来るが、とりあえず、ブレスさんについて行きましょうと言って何とか玉座の間まで行くことが出来た。
ブレスさんが先頭で玉座の間に入る為に扉をノックする
「獣王陛下、ただ今戻りました。」
「中から返事がない」
「陛下?入ってもよろしいでしょうか?」
「…」やはり返事がない
まさか
「陛下ー!!!」
「バン!」という音と共に玉座の間の扉は開かれた
中にはお腹にナイフが刺さって血塗れで倒れている獣王陛下がいたのであった。




