リンシャン中央都市 3
「ユウ!テメェはこの俺に正々堂々と真正面からぶつかり合って勝ったんだ。
胸を張れ!そしてこれからこのギルドを頼むぞ!
今日から俺は挑戦者だ!」
「ちょっと何言ってるか分からないんですが」
と俺が言うと
「だからよ、オメェはここの1番に勝ったんだ。
だから次は勝ったテメェが1番をやれって言ってんだ」
「えっ、普通にイヤですけど」
「な、何だと〜!!」「何でよ〜」
と驚くグロッセルさんとフレイさん
「私はここにフレイさんの付き合いでモンスターの買い取りに寄っただけですし、出来れば今日中にこの国の王様とお会いしたいと思っているので、時間がありませんのでお断りさせて下さい。」
すると今まで黙って聞いていたブレスさんが真面目な顔で俺に聞いてきた。
「獣王陛下にはどのようなお話があるのか聞いても?」
どうせいつかは皆知るだろう、そう思いここにいるギルマス、ブレス、フレイに手紙の話をして、俺が起きた事の話をした。
「「…」」
それぞれが俺の話を黙って聞いてくれた。
「俺はこいつを信じる。」
とグロッセルさんが言った
「よろしいのですか?人族なんですよ彼」
とブレスさんはグロッセルさんに問い掛ける
「俺はこいつと殴り合った。こいつの拳には欲に塗れた物は何一つ感じなかった。
そもそも俺らの流儀も知らねぇで乗り込んできて、付き合わされ、勝ったにもかかわらず一向にデカイ顔一つしねぇ。
何かを企むにしてもギルマスなんて立場はどんな風にも使えるのに。」
「確かに」
俺は気になったワードが出てきたので聞いてみる
「流儀とは何ですか?」
フレイさんは驚いた顔をして
「えっ?あんた知らないの?」と
「獣国の流儀というか、あり方と言いますか」
とブレスさんが篭る
「そんなの決まってるじゃねーか」
グロッセルさんが拳を握り声高らかに宣言する
「「「強い奴が正義!!」」」
『脳筋国家獣国!バンザーイ』
俺はそれを聞き白目を向いた
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「その手紙私が王にお渡ししましょうか?」
とブレスさんが言って来た。
「失礼ですがブレスさんは王様と面識があるのですか?」と聞くと
グロッセルさんもフレイさんも驚いた顔をしている。
「私の事をご存知なかったのですか」
と心底驚いているブレスさん
「すいません。私は田舎から出てきたばっかりで、世の中の出来事を何も知らないのです」
「そ、そうなのですね、失礼しました。
私は獣王4獣剣の青のブレス・ポートランドと申します。以後お見知り置きをユウさん」
「これはご丁寧にありがとうございます。
私はユウです。冒険者のモリタ ユウと言います」
「ははは、知ってますよ、グロッセル殿との戦闘を見ていた者はその名を忘れはしないでしょうし」
「そんなものでしょうか」
「あんな凄い戦いを繰り広げ、グロッセルを破ったユウさんはこの獣国では、それはもう特別扱いされる事でしょう」
「ははは、それは困りますね」
「何故ですか?」
「出来れば私は目立ちたくないのです。
この国に来たのも手紙を渡し説明する為だけでした。
しかし、こんなにも目立ってしまって、困りました」
「何だ別にいいじゃねーか、強ぇって事は尊敬されるって事だ」
「この国ではそうなのでしょう。
私はこれまで色々とこの見た目なので絡まれる事が多いのですよ。
ここでは人族という事で絡まれましたが、人の国でも
年齢でからかわれたり、舐められたりします。
今は護るべき人も居ますので、出来れば目立つ事なく生活していきたいのですよ」
「確かに強そうには見えねぇしな」
「そうですね、弱そうな雰囲気ですもね」
「男として筋肉が足りないから頼りなさそうよね」
この獣国の人達って容赦なくない?
「よし、分かった!すぐに城に行って王に手紙を渡すぞ。行くのは俺とブレス。それとフレイ後そこのちんまいのも来い。ユウ、テメェもな」
「いいのですか?こんなに大勢で押しかけて」
「大丈夫だよ!ギルマスの俺が居れば文句を言う奴なんかいねぇ、なあブレス?」
「えぇ、まあそうですね、言わないというか言えないというか…」
ブレスさんも苦労してるんやな
「おし、んじゃ行くか」
とベットから飛び起きるグロッセルさん
「行くって何処に」
「手紙渡すんだろ、城だよ城」
「えっ、兵の人とかにいついつ行きますとか伝えなくて良いんですか?」
「そんな面倒な事しねぇよ!、そんな待ってたら伝えたい事も忘れちまうしな、ガッハッハ」
ブレスさんは頭を振っている
フレイさんも呆れ顔だ
「分かりました。では付いていきますのでよろしくお願いします。」
「おう!」
俺たちはギルドを出て城に向かった。
とにかく目立った。
ギルマスのグロッセルさんはデカく赤いので通り過ぎる人達はみんな尻餅をついてアワアワしているし
ブレスさんは長身のイケメンだ。聞くとヒョウの獣人らしくスラリとしているが引き締まった筋肉がチラ見えしている。周りの女の獣人達は目をハートにしていた
フレイさんは虎の獣人でゴロゾンとは違い品があり道行く獣人達から熱い目で見られていて、鬱陶しそうにしていた。17、8才で服装は肌が大きく露出している。
それだろう、見られている理由、気付けよ!
俺はいろんな意味で見られている
「なんだあのおっさんは?」
「なんで人族が城に向かってるのかしら」
「あんな凄い人達とよく平気で歩けるよな」
「あのちっちゃい子はあの人の子かしら、似てないわね」
等色々と言われているのが聴こえてくる。
町を歩く事1時間
俺たちの目の前にはとても大きく煌びやかな城の目前へと来ていた。
城には頑丈な門があり、そこに駐留する兵士達が集まって来た。
「ギ、ギルドマスター殿どうなされた?
こんなに人を引き連れて、上より来るという話が来ていません」
「言ってないからな。王に話がある、ここを開けろ」
『うわ〜このライオンむちゃくちゃだわ』
「で、ですが後ろに知らぬ人族もおりますし、王に尋ねなければ」
「いいんだよコイツらは俺の客人だ」
「ギルドマスターの客人ですか?この人族が?」
なんか悪い方向に捉えられている気がする
「ああ、大丈夫ですよ私の知人でもありますしね」
とブレスさんが援護射撃でヒョコっと顔を出した
「ああ、ブレス様を来ていらしたのですね、では開けますので後の事はよろしくお願いします」
と言って門を開く
「何で俺は信用がないんだ!気に入らん!」
「ははは、グロッセル殿はすぐ王と喧嘩したがる人ですし、何度も門を壊して問題を起こしているからですよ。」
「けっ!もっと頑丈作っとけ」
「ははは、鋼鉄ですよあの門」
と何気ない2人のやり取りを見て仲良しなんだなこの2人って思ってたら、フレイが声を掛けてきた。
「ねぇ、あんた怒ってないの?」
「えっ?怒る?私がフレイさんにですか?」
「そうよ。だって私がわがまま言わなかったらギルドに行かなくても良かった訳だし、ゴロゾンに絡まれたのだって元は私が断れきれなかったのが…」
と話の途中で俺はフレイさんの頭に手を置いた。
「なっ!」
「私は全く気にしていませんよ。
むしろグロッセルさんやブレスさんと出会えたのはあなたのおかげだと思っています。
それにフレイさんが断れない状況をただ見ているなんて私には出来ませんでした。
あなたのような素敵な女性を誘いたいと言う気持ちは分かりますが、あの手段は私は許せませんでした。
ですから、怒ってなどいませんので気になさらないで下さいね」
と言って頭をポンポンして手を離す
フレイは顔を真っ赤にして
「べ、別にあんたが心配で言ったんじゃないんだからね」と会話が成り立っていないようだが気にせず
「はい、すいません」
とにっこりして謝っておいた
「ふ、ふんだ。分かればいいのよ」
と満足気なフレイさん
「おっ、楽しそうだな。何の話だ?」とグロッセルさんが聞いてきたので
「グロッセルさんの教育のせいでフレイさんが大変だったって話ですよ」と冗談っぽく言うと
「ユウ、てめぇ」
と言って肩パンしてくる(めっちゃ痛い)
「仕返しです」
と言って肩パンし返すが筋肉に弾かれる
「くっくっ、てめぇは魔法が無いと弱ぇんだからよ」
と言って笑っているグロッセルさん
「これから鍛えますよ!」
「はっはっは、俺も鍛えななおさねぇとな」
と笑い合う2人
周りの兵士が目を見開いて驚いている
「ブ、ブレス様、あの人族は一体!?
あのギルドマスターとあのような…」
「ああ、あの人は人族の中でもかなり特殊だと思いますよ、僕も1度手合わせしてみたいものです」
俺は背中に冷や汗が流れる(出ない)のを感じ、ブレスさんの視線に気付かないフリをする。
『そうだった、ここは脳筋しかいない国
いくら顔がイケメンでも、脳は筋肉で出来ているんだった』
「ははっ、ユウさん、何かとても失礼な事を思っていませんか?」とブレスさんが聞いてくる
「ま、まさかハハッ、急ぎましょう」
と言ってグロッセルさんの背中を押し先へと向かう
「ユウ 楽しそう おなか空いたな」
クリスたーん!待っててね、手紙渡したらすぐに食べようね
「クリスさん、手紙を渡したら食事にしましょうね」
「うん」
これがウチの天使です。
それにしてもこのグロッセルさん何かしたのかな
城の中を遠慮という言葉等知らず、真っ直ぐに進んでいく。途中話を聞いてくる兵士をなぎ払いながら
そうして見えた白き大きな扉、ここでも全く遠慮する事なく、しかし最低限は分かっているのか、扉の前で
「兄者〜入るぞ〜」と大きな声で叫んでから扉を開けた
んっ?兄者?
扉の中は動物園だった。
正面の金色に光る玉座には
グロッセルさんと似た顔の金色のライオンが座っていた。
王の衣装を纏い、これぞ獣王と言わんばかりの威厳漂う風貌だ
その周りには赤い獅子の容姿のこれまたムキムキが立っており
ソファーには妖艶なネコ系の黄色の髪の女性が脚を組んで座っていた。
部屋の隅には真っ黒のマントに黒豹の顔で引き締まった筋肉の男が壁に寄りかかっていた。
「何の用だグロッセル、今日はまだお主には声を掛けていないはずだが」
と低い声で話す金ライオン
「おお、これは丁度いいじゃねーか、みんな揃ってるみたいだしな」とグロッセルさんは全く気後れする事なく話を進めていく。
「今は忙しい、貴様の戯言には付き合ってられんぞ」
と金ライオンはグロッセルさんをあしらおうとする
「王よ、この者達の話を聞いては貰えませんでしょうか」
とブレスさんが突然片膝をついた
『おおう!どったの急に ビックリしたわ』
俺も真似して片膝をついてみた
「ブレスか、そこにおるのは…まさか人族か?」
その言葉を聞き黙って聞いていた3人の獣人達は身構えた
「お初にお目にかかります獣王陛下。
私は冒険者をしておりますユウと申します。」
「キサマぁ!人族が我が王に何のようじゃ!とめっちゃ怒る赤い獅子」
その獅子の首をヘッドロックするグロッセルさん
ナイス
「まあ黙って聞いておけ」
「ふむ、グロッセルを懐柔したようだが、して何用じゃ?わしはこう見えても忙しくての」
と金ライオンは一応話は聞いてくれるみたいだ
「はい。私はただの冒険者だったのですが、色々と巻き込まれてしまい、つい先日までは帝国におりました。
その皇帝陛下より獣王陛下へ手紙を預かっておりますのでお渡ししたくて、ここにやって参りました。」
「ふむ、帝国からの手紙とな」
「はい。ここに」
と言って手紙を両手で持ち見せる
黄色の髪の美しい女性の人がそれを取り金ライオンに渡す
しばらくその内容を読み金ライオンは
「お主、これは誠の事か?」
と俺に聞いてきた。
「申し訳ございません。中を読んでないので内容が分かりかねます」
「おお、そうだったな。
これに書かれている上位悪魔とお主が戦い、退けたとあるが。」
その金ライオンの話に周りは驚く
「ええ、グリムードが自分で名乗っていただけなので確証はないですが。
奴は恐らく魔術師だと思います。
グロッセルさんのような体つきではなかったですし、色々な魔法で苦しめられましたから。」
俺の答えに考え込む金ライオン
すると横から黄色のお姉さんが近寄って匂いを嗅いでくる
「あなたは悪魔の魔法を受けても平気だったって事かしら」
「いえ、ヤツの魔法を受けたのは王国の近衛副隊長だったギルフォードさんと言う方です。
私は少し離れた所におり、それを見届けただけです。」
「そうよね〜だって貴方からはオスの強い匂いがしないもの」
「…」
俺はあの時の事を思い出し黙ってしまう
「やめておけイエス、お主じゃユウには勝てんしの、それにここにおる4獣剣皆んなで掛かってもユウには敵わんじゃろうしの」
とグロッセルさんが余計な事を言ってしまう。
導火線に火をつけてしまうような事を
「ちょっとグロッセルさん!」
「あっ?ヤベ」テヘペロ
言っちゃったって顔してんじゃねーよ赤ライオン
しかもテヘペロしてるし、ライオンのおっさんのテヘペロ誰得だよ!
グロッセルさんのヘッドロックから抜け出した赤い獅子の男は
「俺達4獣剣がこんなただの人族のおっさんに勝てねぇだと、グロッセルさんも目が腐っちまったみてぇだな」
「なんだとぉ小僧」
と怒り始めるグロッセルさん
『いやいや、ちょっと前まであんたも同じ事言ってたよね』
「おい!おっさん、てめぇが何しにここに来たのか知らねぇがグロッセルさんを誑かし、俺達を馬鹿にしたんだ。覚悟は出来てるんだろうな。」
何故こうなった
「私がここに来た理由は王様に聞いて下さい。分かるはずですから」
「王よ何故なのですか?」と赤い獅子が聞く
「……」
何も言わずずっと下を向く金ライオン
『おい!ライオン下向いてんじゃねーよ
何か言えよコラ』
「おいおい、どういうこったこれはよ〜」
と赤い獅子はニヤけながらこっちを向く
「ガッシ!」
肩を抱かれた俺は赤い獅子にこう言われた。
この城の地下に訓練城があるからそこに行こうか人間
4獣剣全員とも互角に戦えるんだろ?あんた
お手本を見せてくれよな
と言って引きづられていく俺
クリスは「頑張って!」と目を輝かし(可愛い)
フレイはアワアワしている(可愛い)
グロッセルもアワアワしていた(可愛くない)




