リンシャン中央都市 2
俺はリンシャンのギルマスに言われギルドの地下修練場に来た。
ここのギルマスはわがままなので文句を言う為に最低A級の冒険者じゃないと聞いてくれないので、条件はそれにしてやった。
ギルドの修練場は地面は土で壁は石のような素材だ。
地下には獣人の冒険者が30人位とギルマス、さっき助けてくれたブレスさんの姿もある。
俺の後ろにはクリスとフレイが居て心配そうにしている
「おい!人族、逃げるなら今のうちだぜ〜」
とゴロゾンは煽ってくる
「どうせ逃げれないでしょう、こんなに人が居たら
そんな事も分からないのですか」
「テンメェ!絶対ボコボコボコにしてやるからな!」
「えーと、ルールとかあるんですか?」
とゴロゾンを無視してギルマスに尋ねると
「そんなもんはねぇ、勝った方が正義だ。
だがまあ、死にそうになったら助けてやるよ」
とギルマスも俺を馬鹿にしてくる
「何でもありと言う事でいいんですね」
とギルマスにもう一度聞く
「ああ」
「あなたも良いですね」
とゴロゾンに言う
「テメェはボコボコボコだ」
「では私はそこの木刀を使わせて貰いますね」
と練習用の木刀を取る
「あなたは武器は取らないんですか?」と聞くと
「俺ら虎族はこの爪と牙が武器だ、武器なんか要らねぇ!」
「なるほど、わかりました。
誰か合図をお願いします」
といって俺とゴロゾンは距離を取る
ギルマスが出てきて叫ぶ
「では始めよ!!」
声と同時にゴロゾンは毛を逆立たせてこちらに走ってくる。 言うだけあって結構早い
俺はゴロゾンに左手を向けて魔法を放つ
「アイスロック」
するとゴロゾンの足は凍りつき地面から動かせなくなる。
「て、てめぇ!魔法使いだったの…」
続けて魔法を使う
「ヒプロティズム」
催眠魔法でゴロゾンは立ったまま眠った。
俺は首に木刀を当て
「終わりましたが?」
とギルマスに言った
「ユウ さすが 」とクリスだけが俺を賞賛してくれる
地下はとても静かになってしまった
クックックとブレスさんの笑い声が響く
やっと口を開いたのはギルマスだった
「おい、テメェ何で魔法使いだった事言わねぇんだ」
「聞かれませんでしたので」
「お前それはいくらなんでも卑怯じゃねーか?」
「卑怯だ!」
「人族はだまし討ちばかりしてくる」
「魔法使いなんて聞いてねぇ」
周りの冒険者達も騒ぎ出す
「卑怯?ですか」
「だってそうだろ、知ってりゃ対策もするし」
「このギルドの人達は皆さんモンスターにあなたの武器は何ですか?と聞いてから安全に狩りに行かれるのですね」
「どういう意味だ」
「事前にあなたは魔法を使うのですか?
どのような魔法ですか?それを聞いてからでないと卑怯者呼ばわりする人達ばかりではないのですか?」
「テメェ!」
「大体人を見た目だけで判断し、弱そうだから強気で暴力を振るってくる。
強そうならそうはせず
卑怯者はそちらではないのですか?」
「テメェ!ここは俺のギルドだ!それは俺も卑怯者だって事で良いんだな!!」
「そう言ってます。私はもうA級です。あなたに文句の1つ言える人がいないから、この様なギルドになってしまっている。それを皆さんの代わりに言ってあげているのです。」
「よーく分かった、今俺とここで戦え!勝った方が正義だ!」
「嫌ですよ」
「テメェ!舐めてんのかコノヤロ!」
「舐めているのはそっちだ!!人を見た目だけで判断して勝てるはずがないという状況に追い込み黙らせる。
そんなギルドが、そのマスターであるあんたが1番冒険者を舐めているのがわからないのか!」
「いいだろう、ここまで言われちゃ黙ってられねぇ
テメェ名は」
「人に名前を尋ねる時は自分からと言われませんでしたか?」
「…クックック、本当よく回る口だ
俺はリンシャンギルドマスター グロッセル
グロッセル・ゴルゴンだ」
「私はユウ
モリタ ユウです。」
「そうか、ユウだな
腕の1本位は覚悟しておけよ」
「はは、嫌ですよ」
「上等だ!」
瞬間距離を詰めてくるグロッセル
『くそっ早い!』
グロッセルは殴ってきたが、俺はパンチをギリギリで躱した。
「へぇ〜 躱したかやるじゃねーか」
「それはどうも」
「次行くぜ!」
とさっきより早くなり、こちらに接近してくる
「肉体強化!」
俺は肉体強化を使い迎え撃つ
グロッセルのパンチは早い。
しかし肉体強化は動体視力も上がるのでその軌道が見える
グロッセルのパンチをギリギリで身を晒す。その隙に俺もグロッセルに蹴りを浴びせる
蹴りが当たった瞬間グロッセルは腕を無理矢理振り回した。俺はそれは躱す事が出来ず被弾し体が吹っ飛ぶ
俺の蹴りは分厚い筋肉でガードされ、ほとんどダメージはない
俺も腰の入ってないパンチの為ダメージはないが体重が無いせいで吹っ飛んでしまう。
「お前、格闘も出来るのか」と驚くグロッセル
「いえ、格闘戦は今日が初めてですよ」
「信じられねぇが楽しくなってきた、早々とくたばるんじゃねーぞ」
またスピードが上がる。なんなんだこのライオン
俺は迫り来るグロッセルのパンチを躱しカウンターを狙うが次から次へとパンチ、キックと連打を浴びせてくる
グロッセルのパンチを鋭く躱しても頬が焦げ、ガードしても鎧である皮が破ける(これ高いのに!)
楽しそうに拳を振るってくるグロッセル、俺は必死で躱し応戦するが、体格の違いと圧倒的な力の差で押され始めて、とうとう腹にパンチをモロに食らってしまった
「オラー!」
「グフッ」
俺は壁まで吹き飛んでしまった。
追い打ちはなくグロッセルは俺を見下しこう叫ぶ
「ユウ!テメェは気に入った!
ここまで戦える奴はこのギルドにはいねぇ
楽しかったし、ここらで辞めにするか」
と願ってもない言葉を言ってくれるグロッセル
俺は立ち上がり、まだやられてないという目でグロッセルを睨む
「いいねぇ、その目俺はまだやれるってか
だがなユウ、テメェは俺には勝てネェのさ」
「何故か聞いても?」
「俺はまだ獣化してねぇ、今の俺に勝てネェお前は俺には勝てないからだ」
「なるほど良く分かりました。」
「おっ、分かったか、じゃあこれで終わりだな」
「違いますよ、俺も本気を出すと言ったんです」
「なんだと?」
「肉体強化!」
俺は肉体強化の魔法を重ね掛けした。
俺はさっきよりも早く動けるようになり、グロッセルに向かっていく。
グロッセルは驚きガードすることを忘れる
「オラァ!」
グロッセルの顔面を殴ってやった
グロッセルはよろめき口から血を流している
「もう1発!」
グロッセルの腹に蹴りを入れ吹っ飛ばしてやった
「どうですか?そこそこでしょ私も」
グロッセルは倒れたまま上半身を起こし、腕で血を拭う
「面白れぇ!楽しいぞユウ!俺が血を流すなんて兄者との喧嘩以来だ!」
「お兄さんがいらっしゃるのですね」
「ああ、いる。やつは強いなんてもんじゃない、あいつは馬鹿だ本物のな」
「あまり悪く言うのは」
「だが、奴の強さも本物だ。俺は今まで本気で殴り合ったのは兄者だけだ!ユウ!テメェには俺の本気を出しても良さそうだ!」
「ビーストモード!!」
グロッセルの体が変化していく。元々ムキムキだった体が更にムキムキになり大きく変化する。
人の顔だったが獣の顔に変わり、でっかいライオンになってしまった。
「フハァ〜
久しぶりだ!本気で殴り合うのは
なるべく長く持たせてくれよ!」
そう言ってグロッセルは猛スピードで俺に迫る。
「くそ!早い」
肉体強化を重ね掛けした俺もこの速さは付いていけない
ライオンになったグロッセルは大きな腕を振り上げ俺に爪を立ててくる。
俺は横っ飛びをして何とかギリギリでそのパンチを回避する
勢いのまま地面を殴ったグロッセルの周りの地面は抉られ、食らった時の事を考えると恐ろしい
「よく躱したユウ!次は当てるがな」
ヤバイなこれはちょっと勝てそうにない。
周りの冒険者はビビリまくっていて止めてくれそうにないし、
ふとクリスを見ると俺を真っ直ぐに見つめ祈っている
『そうだ。俺がクリスを護るって約束したじゃないか
クリスにジムさんに、ドリントルの薔薇の剣達に
…そしてギルさんに』
俺から魔力が溢れ出す
「グロッセルさん。これから放った事のない魔法を放ちます。危ないと思ったら逃げてくださいね」
「クックック、いいだろうやってみろユウ!」
受ける気満々なグロッセルさん
「すいませんが負けるわけにはいかないので!行きます」
「クインテット・ライトニング!」
4本の太い雷がグロッセルに向かって行く
「うおおおおおおお!!
雷か!!だが!!」
と腕をクロスさせ完全防御体制になるグロッセルさん
俺は敢えて全ての雷をグロッセルさんから外す
「な、何を」」
雷は天井まで登りグルリと回って、俺自身に雷を落とす
「纏」
「ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!」
凄まじい音と光の雷が俺に落ちる
辺りは土埃で何も見えない
冒険者達は何が起きたのか分からずに騒いでいる
「ユウ…」
クリスの声が聞こえる
大丈夫成功した。
4つの雷を纏った俺は体からバチバチと放電している
それを見たグロッセルは
「何だそれは?魔法が何故」
「この状態はまだ慣れてませんので維持が出来ません。すいませんが説明は出来ませんので」
「次から次へと楽しませてくれるなユウ!!
死ぬんじゃねーぞ」
と先程のように突っ込んでくるが
遅い
俺は雷だ
雷は光の速度
全てを置き去りにする
一瞬でグロッセルの背中に周り手を当てる
「トールハンマー」
グロッセルは大きな雷に打たれ、全身が痺れ動けなくなり気絶する。
すぐに魔法解除のレグレッションを掛け、命には関わらない程度のダメージにする
俺は纏を解除する。雷は消え俺はその場で膝をつく
『こ、これは疲れる、たった数分なのにこの疲れはヤバイ。』
「たたた」と走って来る音がする
俺は誰かに抱きつかれた
「ユウ やったね」
グロッセルは気絶していて元の姿に戻っている
俺は腕を上げ叫ぶ
「俺の勝ちだ!」
「「「うぉぉぉぉぉぉ」」」
と地下が揺れる位の歓声があがる
「あいつギルマスに勝っちまった!」
「何だあいつは!魔王なのか!」
「いや、それを言うなら勇者だろ」
「ギルマスが負けちまうなんて、どうなるんだー」
俺はグロッセルさんを担ぎ修練場から出た。
近くにいたブレスさんに
「すいませんが医務室は何処でしょう」と聞くと
「案内するよ」
とイケメンスマイルで言われ、その後に付いて行く
俺はグロッセルさんを大きめのベットに寝せて、椅子があったので腰を掛ける
ブレスさんとフレイも医務室に来てくれた。
ベットに眠るグロッセルさんに俺は魔法を唱える
「ハイヒール」
焦げていた皮膚が治り顔色も良く見える。
しばらくすると目が覚めたグロッセルさん
「痛いところはありませんか?」と俺は聞いた
「ここは?医務室か」とグロッセルは自分がベットで寝ている事に気が付いたようだ
「そうか、俺は負けたんだな」
「すいません、ちょっと無茶な魔法で倒させて貰いました」
「そうか、良し!」と立ち上がるグロッセルさん
「もう少し寝ていた方が」
「ユウ。お前は俺に勝ったんだ!
今日からお前がリンシャンギルドのマスターだ!」
「は?」
まさかのギルマス昇格?




