リンシャン中央都市
俺とクリス、そして虎の獣人の女の子フレイの3人でリンシャンの町に着いた。
リンシャンの町は広大だ。見渡す限りの住居が立ち並びこれは案内がないと迷ってしまう。
ボケーっと町を見ていた俺はフレイさんに背中を押される
「こんな所で突っ立ってても仕方ないでしょ。まずはギルドに行きましょう」
「ギルドがあるのですか?」
「あんたバカにしてるの?ギルドが無きゃモンスターを誰が倒すのさ」
「確かに。済まなかったね」
「べ、別に謝って欲しかったわけじゃないけど」
と言って少し顔を赤くして歩き出すフレイ
「ユウ めっ」
クリスは変な事を言ってしまった俺を叱ってくれた
ここリンシャンはとにかく広い。
門は無く誰でも入れるようだが、モンスターは入って来ないのか心配になる。
「モンスターの心配なんてしてないわ、私達は1人1人が人族と違って戦えるし、皆んなが何も言わずに協力しながら生活しているもの」とフレイは言う
「なるほど、ここに住むみなさんはとても素晴らしい人という訳ですね」
「そんな事ないわ、いつも喧嘩はするし、
言い争いもする。だけど人族とは違って決して裏切ったり仲間を売ったり酷いことなんてしないんだから」
と言ってスタスタと行ってしまった
『ま、何かあったんだろうな。俺はスライムだがな』
「何かあったんでしょうかね」
「フレイ 怒ってるの?」
「どうなんでしょう、とにかく迷ってしまうので追いましょう。」
「うん」
俺達はスタスタと行ってしまったフレイを追って歩くのだった。
フレイはとある大きな建物の前に立ち止まる
「ここよ、ここがリンシャンのギルドよ。」
大きな建物だった。古いがきちんと手入れがされていて威厳のある建物に感じる。
ドリントルよりも大きいので、きっと冒険者も多いのだろうと思った
「入るわよ、覚悟はいい?」
「はえ?覚悟?」
「ユウ お腹すいた」
クリスたん可愛ええのぉ〜
ギィ〜〜
と音を鳴らしながら扉が開く。
中にはたくさんの獣人の冒険者達がいた。
ギャーギャー騒いでいるので何を話しているかわからない。
フレイさんは見慣れたものでその中をスタスタと足早に進んでいく。
俺はクリスと手を繋ぎガヤガヤしている建物の中を誰にもぶつからないように進んでいく。
フレイはそんな俺を見て、なかなかやるわねって顔でこちらを見ている
するとフレイの前に大きな毛むくじゃらの男が立ち塞がる。
「ようフレイ、俺とパーティを組むって話は決まったか?」と聞いた事あるようなセリフを吐く
「はあぁ〜」と面倒くさそうに息を吐くフレイ
「前も言ったように私はあなたと組むことは出来ないわ。
私は女性としか組めないのごめんなさい」
と言ってはっきりと断るフレイ
「だからよ〜俺が男と組むとこんなに良いんだって事を教えてやるっつってるんだよ!」
と近くにあったテーブルに拳を下ろしてテーブルを破壊する。
近くにいた人達は驚きこちらを見る。
「はあ〜」
とこめかみを揉むフレイ
誰も助けに入らない、面倒事が嫌なのであろう、俺もだ
「へっへっ、俺が色々と教えてやるからよ〜」
と腕を掴もうとする毛むくじゃら
俺は我慢出来ずその腕を逆に掴む
毛がモコモコしてる
「何だ〜テメェ!邪魔すんじゃねーぞ」
「いや、嫌がってるじゃないですか」
「ちょっとあんた!」
「へっへ〜、良い度胸だおっさん。テメェは何だ」
「何だ?冒険者ですが?」
「バカヤロ〜種族を聞いてんだよ!俺は虎だぁ〜
ひっひひ、もう謝っても遅いぜぇ〜俺の邪魔しやがったんだからな〜」
「虎ですか、だからそんなにフサフサなんですね、
私は人族です。ただの少し体温の低めな人ですよ」
俺の答えに驚いたのは周りにいた獣人全てだった
「テメェ、人族がここに何の用だ!ここは俺達獣人の国だぞ!」
「ええ、分かっています。山で狩ったモンスターの買い取りをお願いに寄っただけだったんですが、あなたの余りにも女性に接する態度が酷かったので止めさせてもらっただけです。」
「いい度胸じゃねーか人族が!気に入ったテメェはボコボコボコにしてやる。付いて来い」
「嫌ですよ、めんどくさい」
「あんだと!!」
「そんな元気があるなら山にでもいってモンスターを倒してくればいいじゃないですか」
俺のこの返しにフレイがププッと笑ってしまい
それに激怒した毛むくじゃらはその場で俺に殴りかかってきた
「テメェ!!」
しかし、その拳が俺に届くことはなかった。
俺の横にいた青い髪のイケメンがその拳を止めたからだ
「この人族の言う通りだゴロゾン、お前の野蛮さは最近噂されている」
「ブ、ブレス様!?」
近くにいた俺とクリスを除く全ての人が驚いていた
「助けて頂いてありがとうございます。」
「いや、貴方なら必要なかったのかもしれません」
「いえいえ、ここで騒ぎにならなくて良かったです。本当にありがとうございました」
「ふむ、貴方は普通の人族とは少し違うようですね、」
「そうですか?助けて頂きましたのでお礼を言っただけですよ」
「くっくっく、そういう事にしておきましょう」
と謎めいた言葉を発して離れていく。
「テメェ!ちょっと守って貰ったからっていい気になってんなよ、言っておくが俺はバカにされたのを許したわけじゃねぇ」
「私は馬鹿になどしていませんよ、何故冒険者であるあなたはモンスターを倒しに行かず私のように弱そうな者には暴力を振るおうとし、先程のブレスさんには弱気になり、そして、女性にも暴力的なのか。
それならモンスターを倒しに行った方が良いのではと話しただけですよ」
「俺はテメェみてぇな能書き垂れる奴が大嫌いだからよ!覚悟しな!」
ゴロゾンの毛むくじゃらの毛が逆立ち針の様に変化した。目は赤く染まり牙も剥き出しになる
「おいヤベーぞゴロゾンのヤツ本気でキレやがった」
「アレはヤバイな戦闘になるぞ」
「いいぞー人族なんてやっちまえ〜」
「やれやれ〜」
色々な声が聞こえてくる。あの変化は怒ったら起こる現象のようだ
「ユウ 危ないよ」
クリスは心配してくれる
ゴロゾンは叫んだ
「グゴォァーーー!!」
今にも飛び出して来そうな、その時
「そこまでだー!!」
建物が震える程の大音量で叫び声が聞こえた
声の主を見ると階段からゆっくりと降りてくる
「ゴロゾンまたテメェか、いい加減にしろって前に言ったよな!」
その人(?)を見るとまるでライオンだ。
人の顔だが頭は赤いたてがみ
体中から赤い毛が生えており
筋肉がムキムキでとても人には見えない
ゴロゾンを見るとその場で丸くなっていた
「テメェら暴れるなら地下の修練場でやれ、建物がめちゃくちゃになるじゃねーか」
「俺は地下に行こうって言ったんだぜギルマス、こいつが行かねぇなんてほざきやがるからつい」
「あ〜ん、そうなんか、それでそこの人族は何で行かねーんだ?」
「行く必要がないからですが」
「必要だぁ〜」
「ええ、そこにいる女性に絡みしつこく誘い、断られたら暴力を振るう。それを見過ごせず止めると怒って地下に行くぞ。
おかしいでしょ?
行くのはモンスターを倒しにでしょうと言っただけです。」
「確かにな、コイツの言う事は正しいな。
ゴロゾンまた女のケツなんか追ってやがるのか、前に言ったよな、そんな事よりモンスター狩りに行けってよ。
んでこの騒ぎだ、また仕置きをされてぇみてぇだな!」
「い、いやギルマス、コイツを誘って行くつもりだったんだよ、本当に」
「けっ!まあいい、テメェらさっさと地下に行くぞ。
どっちが正しいか戦って決めれ。面倒くせぇ」
『このライオン何言ってる?』
「はっ?」
「ニヤリ」
「いやいやおかしいでしょ、何故戦う事になっているんですか?」
「何だ〜ビビってんのか人族〜」
「私が戦う理由がないって言っているんです
そのゴロゾンさんでしたか?色々言ってますが、」
「うるせぇ!このギルドは俺のギルドだ。
ここでは俺が王だ、わかったか!」
「全然分かりませんよ、第一私にメリットが全くありませんし、戦う理由もない。」
「その女の為でいいじゃねーか」
「意味がわかりません」
「うるせぇヤツだなテメェは、お前ランクは」
「C級ですけど」
ザワザワ
「あのおっさんC級だってよ」
「絶対嘘だぜ、俺はEと見た
「俺もだ」
周りがザワついている
「んじゃ勝ったらBにしてやるこれでいいか」
ザワザワ
「勝てるわけねーよ、ゴロゾンはBだぜ」
「さすがギルマス、1発でB級にさせるなんてよ」
「嫌ですけど」
「ったく、人族は何がしてぇんだ」
「そもそもこのギルドはおかしいでしょう、先程の出来事が起きても職員さんは何も言いませんし、女性が暴力を受けそうになっても誰も止めない。
ギルドは住民の為にモンスターを狩り生計を立て、弱き人を助ける人達ではないのですか?」
「うるせぇー!」
ギルドマスターと思われしライオンは大声で叫ぶ
周りがシーンとなり
「ここでは俺が王だ。たかだかC級程度でガタガタうるせぇんだ人間!」
「ではどのランクなら意見を聞いてくれるんですか?」
「あ〜ん、最低でもAになってからほざけ」
「だったら私が勝ったらA級へ上げて下さい。その条件ならいいでしょう」
「ほぉ〜、俺に条件とはいい度胸じゃねーか人間
気に入ったぜ。
しかし、勝ったらだ!ゴロゾン、テメェも本気でやりやがれ」
「もちろんだギルマス!この人族に虎族の恐ろしさ教えてやるぜ」
「ユウ 大丈夫?」
「あんた、ギルマスにあんな事言って知らないからね」
とクリスとフレイが心配してくれる
話を聞いた冒険者達はみな地下に降りて行く
面倒な事になった
そう思いながら俺も地下の修練場に向かうのであった。
可愛い冒険者は絡まれる説 2




