獣国への旅 4
雨が上がり明るくなった道程
俺とクリスは獣国の中央に向けて旅をしている。
中央はリンシャンと言う都市名で人口は20万人の大都市らしい。
様々な種族があって都市は賑やかだが争いも少なくない。
王都や帝都に比べて文明は低いが、各集落が集まって出来ているとても元気で明るい都市だそうだ。
都市には殆ど人族はいない。何故なら弱いからだという。獣人は肉体が特殊で色々な種族があるが人族に比べると圧倒的に強く強靭だ。
獣国は強さこそが全てであり、強いものが偉いそういう国だそうだ
今俺達はそんな場所に行こうとしているのだから正気の沙汰とは思えない。
目の前に見える山を越えると中央都市リンシャンが見える筈だ。
クリスと共に山を登る。
普通ならこの山登りが大変で、越えるのに3〜5日掛かるのだが、俺は魔法を使って真っ直ぐ登る事が出来るので2日あれば行けるだろう。
先程の雨で少し地面がぬかるんでいるが問題無く登れる
山にはたくさんの動物の気配がした。
んっ?やはりいた、モンスターだ
俺は気配察知を持っているので不意打ちを受けることはまず無い。しかし鼻のいいモンスターは俺達に気付くのが早い
木の陰からモンスターを確認する
「あれはウルフベアですね」
「強いの?」
「確かB級と書いてあったかな」
ウルフベアは狼の顔で体格は熊だ。狼の速さに熊の強靭さ、普通に戦ったらまず無傷では倒せないだろう。
「勝てるかな?」とクリスが聞いてくる
俺はクリスをナデナデしながら
「大丈夫ですよ。いつも通り合図で攻撃お願いしますね」
「うん」
俺はウルフベアに近寄り魔法を放つ
「ダークワールド」
闇がウルフベアを覆う
急に暗くなったウルフベアは咆哮と共に冷静さを失う
「アイスロック」
俺は足元を凍らせて動けなくする
「クリス!」
クリスは詠唱をすでに終わらせていた。
「ファイアインフェルノ!」
ウルフベアは咆哮しながら燃えている、
「まだ死なないな」
俺は刀を抜きウルフベアの首に斬撃を与える
ザシュ!
「クリスさん、傷口を狙って魔法を使って下さい」
「はい やってみる」
クリスは短い詠唱から魔法を放つ
「ファイアランス」
火の槍は俺が斬った傷口に刺さり、喉の傷口から炎が舞い上がる
体内を焼かれたウルフベアは声を出すことなど出来るはずもなくそのまま絶命した
「素晴らしいコントロールです。クリスさん」
「全部 ユウ お陰」
しばらくするとウルフベアから炎が消え死体が残る
これはクリスのだからと思いキチンと無限ポーチにしまう。
「あっ 上がった」
「え〜とレベルですか」
「うん 50」
「やりましたねクリスさん、後は教会に行ってジョブ変ですね」
「うん。 ユウの ありがと」
「進みましょうか」
「うん」
俺達は頂上を目指し登る
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
途中20mの崖があったりしたが魔法で階段を作り、
谷があって橋が壊れていたので頑丈な岩の橋を新しく作っておいたりしながら俺達は頂上に着いた。
辺りはもう暗く動物達も静かになる時間だ
俺は適当な岩の陰にテントを張り食事の用意をする。
焚き木を作り火をクリスに付けてもらう。
登ってくる時に取ったキノコや食べれそうな山菜を鍋に入れて煮込む。
山の動物の肉を鍋に入れて、帝都で買った塩等の調味料適当に味付けして完成だ。
それをクリスは、はむはむと美味しそうに食べている
「味は濃くないかな?クリスは肉食べないとな肉」
「味濃くない 肉 食べる」
『もう、なんなのこの子。可愛過ぎるわ!』
我慢出来ずに食べてるクリスの頭をナデナデする
「ユウ ちょっと 食べづらい」
「そっかそっか、わはは」
と変な返事を返しながら食事を終わらせる
パチパチ パチバチッ
焚き木を見ながら俺とクリスは丸太に腰掛け話し合う
明日は早く出てリンシャンに着きたいな。
野宿もいいけど、クリスは姫だし宿の方が安心だろう
「ユウ 王国 大丈夫かな」
「今頃ジムさんは王都かな、ガゼルさんジムさんをすんなり受け入れてくれるかな〜、」
「ジム 心配」
「ジムは強いし心配はいらないよ。
問題は誰も信じるなって言って出てきちゃったからな〜」
「私の 手紙 大丈夫」
「そっか、可愛いクリスの手紙読んだらきっと大丈夫だね」と言って頭をナデナデすると、クリスが俺の膝に頭を乗せてきた
「ちょっと このまま」
「うん。いいよ」と言って頭をナデナデしながら焚き木を見つめる
「ユウ 冷たい 大丈夫?」
『ドッキーン!!』
「あ、いや、ちょっと雨に当たったから冷たいのかな
あはははは」
『やばい!変体は体温まで変えられないのか〜
うかつ、スライムだとバレたくないし』
「私が 温めて あげる」
クリスは俺に抱きついてきた
『むっひょー!こいつはヤバイぜ!クリスたんあったかいわ〜』
「ははは、クリスはあったかいね」
「うん。」
しばらくそのままで焚き木を見つめながら過ごし
「そろそろ寝ようか」とクリスに言うと
「うん 寝る」
テントにクリスを入れて、俺は見張りをする
気配察知でクリスが寝たのを確認した後俺は元に戻る。
『ふう〜、騙してる訳ではないけど、やっぱり俺がスライムだって事はバレたくないな、頑張って隠さないとな』
俺はテントの側の隙間に身を隠し、気配察知を使いながら眠るのだった。




