青飛山 4
ストームドラゴンを吸収した後急いでギルさんの元に戻る。グリムードは何処かに飛んで行ってしまった。
ギルさんに寄り添うジムさんがいた
「ギルさんは…」
「…」
黒く凍るギルさんに近寄り回復術を掛ける
キィィィィン!!
『回復魔法が弾かれる?』
「君は知らないのか?悪魔の魔法は人間の使う魔法より上位なのを」
バカにした感じではなく、諦めたように俺に言ってくるジムさん
「すいません、無知なもので」
「無知か…無知な者がドラゴンを倒し、上位悪魔と知りながら平然と話せるなんて、
俺は自分の家族とギル兄さんまでこんな…」
と泣き出してしまった
俺はギルさんに触れる
黒く冷たい、こんな魔法があるのか
[【氷魔術】を覚えました]
また新しい魔術を覚えたな一体どうやって覚えているのだろう?
氷? そうだ!!
俺は魔液花に走り出した。
さっきまでは咲き乱れていた花畑が暴風によりほとんど吹き飛んでしまっていた
『くそ、クリスもまだなのに!
まさかさっきの戦闘で雫が吹き飛んだ?
だとしたら…』その場で膝をつく俺
ヤバい。どうしようこのままだとギルさんもクリスも
周りを見ると魔液花は地面に落ちてしまっている
そうだ!
無限ポーチに入れた魔液花をジムから見えないように吸収した。
1輪、2、3…10本吸収したところで
[スキル【魔法解除】を覚えました]
『よ、よし!これでギルさんを』
俺は急いでギルさんに向かう
黒く凍るギルさんに向けて俺は魔法を唱える
「レグレッション」
これは魔法解除の魔法、元に戻れと意味を込めた
すると黒く凍るギルに変化が起こる
シュワアアーー
ギルさんから煙が上がって氷が溶け始める
煙が無くなると氷が全てなくなり、キズついたギルさんが姿を現した。
「ギルさん!!」
「兄さん!!」
声を掛けても目を開かないギルさん
俺は傷口に回復魔法を掛ける
「エクスヒール」
全てのキズを治す回復魔法を使いギルさんのキズを癒す。
俺はグリムードからのキズも、昔負ったと思われるキズも全て治した
全て治したはずなのに目を開かないギルさん
「何故だ!キズは全部治した!治ったはずなのに」
俺は膝をつく
「兄さん」
ジムはずっと泣き続ける
俺は膝の土を払いクリスの元へ行く。
眠るクリスに俺は懺悔する
「クリスごめん。ギルさんを救えなかった
クリスをこんな目に合わせ、ギルさんも救えなかった
ごめん、でもキミは救ってみせる」
「レグレッション」
パァーッと光輝きクリスが発光する。そしてクリスに掛かっている眠りの魔法が解けていく
クリスは静かに目を開けた
「クリス」
「ユ、ユウ おはよ」
「ごめん、遅くなった」
「んっ、別に ギルは」
「ごめん…本当にごめん」
「ユウ? なんで謝るの?」
俺は強くクリスを抱きしめる
「クリスごめん!俺がもっと強くて色々出来たらこんな事にはならなかったんだ!だから!」
「ユウ、苦しい かな」
「ご、ごめん」
クリスはゆっくりと立ち上がり、フラフラした足取りでギルさんの方へと歩いて行く
ギルさんは全くキズが無く、ただ眠っているように見える
「ギルフォード」
クリスがギルさんの頬を撫でる
「目を覚ましてギルフォード」
それを見た俺は涙が出た
ジムフォードも泣いている
ギルさんは目を覚まさない
「あなたのお陰で私は生きてこれた。あなたがワガママな私を守ってくれた。私は…」
クリスもその場で泣き出してしまう
そのまま俺達3人は思いは違うがその場で泣き続けた
クリスが立ち上がりギルさんの方を向き話だした。
「私はバルテン王国第3王女クリス・バルテン!
ギルフォード・デミングあなたは騎士として私を守り、傷を負いそして果てました。騎士として立派な最後であり、あなたの願いであったジムフォードへ弟への贖罪もジムさんを見る限り済んだ事と思います。」
「ギルフォード、本当に今までありがとう。
もうゆっくりと休んでください。」
クリスは姫としてキチンとギルさんに挨拶をした。
俺も引きずっていられない
そう思っていたら
「姫殿下!俺が弟であるジムフォード・デミングが全て、全て悪いのです。兄はギルフォードはそんな私を庇いグリムードの魔法をその身に受けてしまったのです。
姫様の騎士であったジム兄さんを殺してしまったのは、私が、私が全て悪いのです。どうか私に罰を、そして迷惑を掛けてしまった王国民に謝罪を」
とクリスの前に跪くジムフォード
もうグリムードの呪縛は解けているようだ
「ジムフォードさん。あなたの事はギルから聴いています。私はあなたに罪はないと考えています。
私の父である王はあなたを罰するかもしれません。ですが私はこれからのあなたを信じ、あなたを助けたギルフォードへの事を思いこれから生きて欲しいのです。」
「ですが私の嵌められたとはいえ、王国の全ての民に、いくらグリムードの計らいとはいえ、王国には多大な被害を与えてしまった」
「ユウさん、被害はどれ程だったのでしょうか?」
「王都では門番が病院送りとモンスターに挑んだ冒険者が数人倒れました。
後は謁見の間で何人か騎士の人達に被害が出てますが、それだけですね」
「そうですか」
「いや、そんなはずはない!確かグリムードが計算をして王都とグリントルは多大な被害が出ているはず」
とジムさんが反論する
「グリントルはほとんど僕と冒険者仲間で何とかしました。
王都はギルさんが王を守り、王都のモンスターは建物への被害は多かったですが、王国民には目も向けず城に向かってましたので人的被害はほとんどなかったんですよ」
「そ、そんな事が」
「ですからあなたはそこまで罪は背負わなくて良いと思います。ギルさんがあなたを守るために帆走してくれたのですから」
「に、兄さん!あなたは、あなたに俺は!どれだけ感謝をすれば」
と膝を降り頭を下げてしまった
俺達はしばらくその場から動かなかった
「ユウ様、これからどうなさいますか?」
とクリスが聞いてきた
「まずはギルさんの墓を作ろう。そしてグリムードが言っていた楽しい世界というのが気になるので、王国に戻って旅を続けようかと思っているよ、もちろんギルさんの仇のグリムードはやっつけるけどね」
「ユウさん、私もあなたに付いて行ってもいいですか?」
「えっ?でも姫でしょ?クリスって」
「私は王位継承権は5番目ですし、そこまで姫らしい対応は誰もしていません。
それにユウさんが言っていたその世界もわたしも気になりますし、王国民に被害が出るなら止めなければなりません。どうか同行をさせて下さい。」
「わかったよクリス。だが俺は騎士じゃない。冒険者だ君も冒険者として一緒に旅をしよう」
「すまないが聞いても良いだろうか?」
とジムさんが聞いてくる
「はい?何でしょう」
「私達の調べだと君はただの冒険者だったのだが?違うのだろうか?」
「いえ、それは正しいと思いますよ。ねえクリスさん」
「そうですね。はい」
「では何故クリス殿下やギル兄さんとここまで来たのか聞いても」
「それはクリスさんの為であり、ギルさんの為だからです。あなた方に油断を突かれクリスさんを攫われてしまった。それを取り返しに行く時にあなたの話を聞いた。そしてあなたを貶める者がいた事をしり、ギルさんがあなたを助ける為に動いた。私もその考えに乗ったそれだけです。」
「そうか、王国から多額な依頼金の為か」
「残念ですが、一切のお金は出ませんね、寧ろ王国から目を付けられたかもしれませんね」
「どういう事だ」
俺は王都で右大臣との会話をジムさんに話した
「そうだったのか」
「ええ、その話を聞いて俺はあなたを憎むのをやめたのです」
「そうだったのか…君にも申し訳ない事をしたな」
「もう終わった事です。もし罪を償うと思っているのならクリスの父、王様を守ってあげては貰えませんか?」
「いや、それはしかし」
「先程も話しましたが王都の右大臣、他何名かはおそらく未だにグリムードの口車に乗って王都陥落を狙っていると思います。
私は冒険者なので政治には口を出したくないのでギルさんの替わりに国を守って欲しいのです。」
「俺は国王に合わす顔がない」
「私がなんとかします。王女として、国を守る為に、王を説得してみせますので、ギルフォードは王にとても信頼されていた忠臣でした。その弟へのであるジムさんであればきっと父も分かってくれるはずです。」
「私も兄の替わりとなり、兄がしたかった事を成し遂げたい。それが国を守る事なのであれば喜んで王の盾となろう。
姫殿下。このような私でよろしかったら王に話をして頂けませんか」
ジムさんは膝をつき頭を下げた。
俺達は青飛山の頂上にギルさんの墓を作り、無限ポーチから魔液花を墓前に添えた。
俺達3人はここであった事を忘れない。
ギルフォードという男の事を忘れない。
俺達は山を降り再び王都に戻るのであった。




