王都奪還 4
乱暴にトビラを開けると「ガン!」と何かにぶつかったようだ。
何かと思って見てみると、そこにはブt右大臣が頭を抑えてしゃがみ込んでいた
『盗み聞してたなこのブタ、いい気味だ』
「ぶ、無礼者!!イタい!ワシの顔が!!」
「あれ?貴方は先程王様に言われて王都の奪還しているはずでは?」と白々しく言ってみた
すると後ろからゴゴゴゴという雰囲気が
「どう言うつもりだ右大臣、ワシはお主に王都奪還を命令したのだぞ、何故こんな所におる!こやつと同じくワシの命が聞けぬと言うのか!!」
話を合わせてくれた王様
チラッとみるとこちらを見てウィンクしてくれた
ブt右大臣は慌てて取り繕い
「と、とんでもございません、此奴らが王に危害を加えぬとは限りませぬので、ここでいつでも助けに行けるようにしていただけです。」
「だから命令には従ってないって事でしょ
王様も大変ですね、命令を聞いてくれない右大臣に弟の罪から逃げる近衛副隊長。
部下に恵まれない王様は大変だ」と煽る俺氏
「な、なんじゃとぉ!!貴様!無礼な冒険者如きが!ワシはこの国の右大臣なのじゃぞ!貴様如きワシが命令するだけで、一族共々不敬罪で捉える事が」
と喚いている所で
「やめい!この冒険者はワシの命令を聞かぬドリントルのギルド長の懐刀じゃ、右大臣よお主もこいつに構わなくて良い。そうそうとモンスターの殲滅に向かってくれ」
すると右大臣は目を開き驚いたように
「そんな情報は知りませぬぞ!あの町のギルドにそのような者がおるなんて、」
と「この国で俺が知らない事なんて無かったはずなのに」的な表情を浮かべ驚いている
『このブタきっとアホだわ、内通者がドリントルにいて、逐一報告がブタに入ってますって言っているようなものだ』
「とにかく、此奴らがワシの支配下におらぬ以上これ以上は話をしても意味はない。早々と立ち去ってもらう。ギルフォードは近衛副隊長の任を解く。
ワシは国の為に、国民の為にいち早く王都を奪還せぬとならぬのじゃ。右大臣よお主もワシの命令に逆らうと言うのであれば…」
「い、今すぐ向かいます。王の身を案じ遅れてしまいましたがこれから迅速に向かいますので」
と言って走って行ってしまった。
「ガゼルさん。あの人には気をつけて下さいね。もしガゼルさんに何かあれば、クリスさんが悲しみます。
僕はクリスさんが悲しむ姿を見たくありませんので」
「わかっておる。全てを疑い信じる事を止める。
少なくともクリスが戻るまではそうしよう。」
「すいません。こんな事を王様に頼んでしまって、しかし、いつ戻って来れるかわからないので」
「それでは失礼します。」
「うむ。クリスを我が娘をよろしく頼む。ユウよギルよ」
こうして王様に見送られ王都を出た。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
洞窟に向かう俺たちは何度もモンスターゾンビと出会い、それを蹴散らしながら進む
やはり王城で倒したオークジェネラルが切り札だったらしく、道中に出てくるモンスターゾンビはそこまで強い個体はいないようだった
「今回のモンスターゾンビ騒動で王国が滅ぶという事は無さそうですね」と俺がギルさんに話し掛ける
「全てはユウ様のお陰です。」
「いえ、あくまでもモンスターゾンビ騒動ではという事であって、あの右大臣はこの失敗により、違う手で今の王を失脚させて、違う人を王に祭り上げようと必至になるでしょう。
自分が手綱を握る政治が出来るように」
驚いた顔をしてギルさんは
「一体ユウ様はどこまでご存知なのですか?」と聞いてくる。
「何も知りませんよ、今日初めて王都に来ましたしね、
今回はたまたま洞窟の調査に行ったら、帝国の構成員と出くわし、たまたまジムさんの話を聞き、王国にジムさんを嵌めた者がいた。
モンスターゾンビ騒動は丁度よくドリントルと王都に強いモンスターが分散されていた。
そして、それを撃退出来る冒険者や騎士達がたまたま不在。
ここまでは筋書き通りであり、
それは恐らく何年も掛けて考えてきた作戦だったのでしょう。
しかし、1つだけ奴らはミスをしました。」
「ミスですか?」
とギルさんがわからないといった顔で言う
「クリスさんです。」
「!!」
「おそらく、あの右大臣はクリスさんを消す為に色々と暗殺者などを繰り出し、ギルさんも大変だったと思います。しかし、今回の作戦でクリスさんはドリントルからの救援要請でドリントルへ行きオーガ亜種にやられる予定だったんだと思います。
上手く行っていればジムさんとギルさんが出会う事もなく、王都やドリントルは今頃モンスターゾンビによって崩壊していたかもしれません。
しかし、クリスさんは生き残った。
そして洞窟でクリスさんを知るジムさんに攫われた。
攫われた事により、ギルさんは王都にその話をする事が出来、モンスターに備える事が出来た。」
「…」
ギルさんは黙って聞いている
「クリスさんがもし何処かで諦め、助けようとする気持ちが無かったりしたら、もう王国は無かったかもしれません。
あの小さい女の子が王国を右大臣から守ったんだと私は思っています。」
「…」俺の話を聞いたギルさんは涙を流していた
「なので、私達はクリスさんを救出しなければなりません。後ジムさんにも今貴方がしている事は貴方を嵌め憎むべき相手の思い通りに動いてしまっている。その事を教えてあげなければあの人も可哀想でしょう。」
「ジムさんへの説得はギルさん貴方の仕事だと私は思っています。
ですから殴ってでも良いですから絶対に伝えて下さいね」
「必ず!今度こそ弟を救ってみせます。」
「僕も決して油断はしません。クリスさんを救ってみせます!」
そして洞窟の前に着いた俺たちは、お互いに頷き洞窟に入って行くのであった。




