ドリントル防衛戦 9
俺達9人は何とか1人も欠ける事なくオーガとの戦いを終えドリントルの町へ帰還した。
町に入るとヒーロー扱いのギルドマスター、俺の方を見るが見てないフリをしてギルドに向かった。
ギルドに戻り戦いに参加した9人はギルドマスターの部屋の向かう。
ちょっとするとノートンが疲れた顔で部屋に入ってきて
「みんな、良くやってくれた。ありがとう」
「良くやったのはユウ」とクリスさんが言う
薔薇の剣の3人もうんうんと頷いていた
「そうじゃな、先のゴブリンキングとの戦闘、そしてオーガ亜種との戦闘。全て勝てたのはユウのおかげじゃとワシも思っておる。それでもワシはこの町の為に戦ってくれたお主ら全員に礼が言いたいのじゃ」
『ノートンさんはギルドマスターだけでなく、この町の事を考えて行動出来る、信頼出来る人なんだな』
「ユウよ、お主は本当にようやってくれた。
ワシはお主がF級というのは、ちょっとおかしいと思うのじゃ。そこでワシの権限で使える最高ランクC級になって貰おうと思う。」
「でも依頼はまだ2つ、今回の防衛戦を合わせても3回しか受けてない新人ですよ、いいんですか?」
「ユウ A級 おかしくない」とクリスさんは言う
薔薇の剣の3人もうんうんと頷く(デジャヴ?さっきも見たなこれ)
「ただ強いだけではランクは上げられん、高ランクになれば共に戦う者の事を考え、リーダーとしての心構えが必要になる。状況判断や情報収集、戦いにはどれも必要じゃ、本来なら失敗を繰り返し少しずつランクを上げていって貰いたいのだが」
ノートンさんは曇った表情を見せながら
「お主がF級と言う事で、誰もお主の言葉を受け止めず突撃してしまい、ゴブリンキング戦では多くの冒険者を無くすハメになった。
敵の行動が予想外だったのは驚いたが、お主はそれすらも予測し、行動出来たのにじゃ」
「お主はF級とは思えない知識と戦闘力、さらに魔法も使えるみたいじゃし、今回はワシの限界であるC級になって貰いたい。」
「本当はあまり目立ちたくはないのですが、そう言う事であれば仕方ありませんね、皆さんよろしくお願いします」
俺はC級冒険者になった
「それで報酬の方じゃが、
まず赤の衝動の2人、オーガ亜種との戦闘良くやってくれた。トドメを刺したのはクリスさんの魔法のようじゃし」
クリスは横に頭を振る
「違う ユウが」
俺はクリスさんに泣きついた
「クリスさん、お願いします。僕目立ちたくないんです」
「えっ?」とキョトンとするクリスさん(かわいい)
「僕のワガママなんですが、ちょっと僕の正体を田舎に隠したくてですね、今回の討伐はクリスさんが倒した事にして貰えませんか?」
「でも ユウがいなかったら」
「本当に困るんですよ、もし田舎にバレたら、もうこの町にも来れなくなってしまうかもしれないのです」
「「「「ええっ!?」」」」
ノートンさんもクリスさんも薔薇の剣のも驚いている
『スライムだってバレたらね〜マズイっしょ』
「それでオーガを倒したのも薔薇の剣と言う事にして欲しくてですね、こんな大変な事になってしまって申し訳ないんですが頼めませんか??」とお願いすると
「わかった ユウ 困るなら」とクリスさんが了承してくれた
「わ、私たちもユウ様の為であれば」と薔薇の剣も了承してくれた
「すいません、ノートンさん。事実を隠すなんてさせたくないのですが、僕はこの町が好きですし、もう来れなくなるのは嫌なんです、お願い出来ませんか?」とオッサンうるうるフェイスでノートンさんに迫る
「ぐぬぬぬ、大恩を返せないのは歯がゆいが、それがお主の願いなら、叶えるのもギルドマスターの務めか
わかった。今回の表彰はクリス殿と薔薇の剣達にすることにする。」
「じゃがランクは上げさせて貰うが良いかの?」
「そうですね、特に告知とかしなければ大丈夫ですね」
「良し!ユウはC級冒険者として今日から頑張ってくれ、そして報酬はゴブリン2体とゴブリンキング、オーガとオーガ亜種の分、全部で金貨200枚じゃ受け取ってくれ」
『に、200枚〜』
「ええっ!ちょっと多すぎません?キング倒したのノートンさんだし、オーガのトドメもべラさんでオーガ亜種もクリスさんですよ」
「ええんじゃよ、払うのはギルドであり、ワシじゃ。
ワシはそれくらい払ってもおかしくない仕事をして貰ったと思っておるのじゃ、別にお金を貰っても目立ちはしないじゃろ?ここにいる者以外は知らんのじゃし、皆他言無用じゃぞ」
「分かりました。ありがたく頂きます」
「うむ。」
「次は赤の衝動じゃ、オーガ亜種との戦闘は本当にお疲れ様じゃった。ワシはあやつに手も足も出んかった。
しかし、主らのお陰で時間を稼ぎユウが来るまで耐えてくれた。もしあやつがこの町に入ってきたらと思うと…
そういう事で報酬は金貨50枚貰ってくれぃ」
「ありがと 後でユウにあげる」
「いりませんからね、これ以上」
「ぶぅ」とクリスがほっぺを膨らませる(これはやばい)
「最後は薔薇の剣お主らじゃが、お主らはユウの言う事を良く聞いて動いてくれた。最初のゴブリンとの戦闘、罠の設置。ゴブリンキング達との戦闘、そして救助活動。更にオーガとの戦いと剣誓の救助、ユウの指示とはいえ、お主らの仕事は目を見張る。なので1人金貨10枚薔薇の剣で30枚貰ってくれぃ」
薔薇の剣はアワアワしているが、俺は笑顔で良かったねと言うと、みんな泣き出してしまった
「これで報酬は決まりじゃ。後は戦闘の後始末じゃが
これは他の冒険者を使いモンスターの亡骸を集めさせる。後でモンスターの買い取り分も渡すが、ちょっと時間が掛かりそうなので、今度にして欲しいが良いかの?」
「俺はもうたくさん報酬を頂いたので、これ以上はちょっと」
「ユウ 貰って」
「全てユウ様にお願いします」
とそれぞれが違う事を言う。
「はっはっは、欲がないのぉ、少し時間は掛かるが待っておれ、銅貨1枚違えずに渡すからのぉ」
外を見るともう暗くなって来ていた
「これで解散じゃな、本当にありがとう。町を救ってくれて」と言ってノートンさんは頭を下げた
「では失礼しますね」と言って部屋から出る
ギルドの玄関で薔薇の剣は俺に金貨を渡してくる。
「ユウ様、今回の報酬は全てお渡しします。全てユウ様のお陰ですので」と袋を3つ渡される
俺は袋から金貨を2枚だけ抜き、残りを返す
「ユウ様?」とジュリアが不思議そうな顔をする
「以前貸した分は返して貰いました。残りは貴方達の分ですよ、それにこれで終わりではありません。冒険者はいつでも戦いの準備をしなければなりません。
もし僕なんかに感謝の気持ちがあるのなら、もっと強くなりましょう。装備を強くして、知識を学び、経験を積んでください。その為にはお金は必要です。」
「でも、ノートンさんじゃないけど、本当に良く頑張ってくれました。僕1人だと結果は違っていたかもしれません。1人1人が自分の出来る事をして、僕はとても嬉しかったです。」
3人は泣いている
「また、良かったら一緒に冒険しましょう。」
「「「はい。よろこんで」」」
そう言って僕はペロさんの宿屋に向かい振り返らずに歩いて行った。後ろからの気配に気付かずに…
スライムは目立ちたくないのです




