ドリントル防衛戦 6
ゴブリンキングの討伐が終わる。
後方からモンスターが来る気配はない。
一応周囲を警戒しつつ負傷した冒険者達を治療する。
魔法は使わず、持っていた薬草をキズ口に塗り応急処置をしてから、町の治療院に連れて行く予定だ。
治療に当たっていたマロンさんもそうしている。
特に盾を持っていた男の人が酷く、全身包帯まみれになっていて、それをみんなが笑っていた。すると林道の方から馬車が2台やってきた。
目の前で馬車が止まり、中から銀色の髪で人形のように整った顔立ちの小さい女の子が降りてきた。
俺の目の前に立ち見上げながら
「ゴブリンキング どこ?」
随分端折って話す子だなと思いながら
「安心して下さい。先程ギルドマスターのノートンさんが倒してくれましたよ。」と言うと
「ありがと」
と言って馬車に戻ると町の中に入っていった
『誰だろうあの子、12歳位かな?お人形さんみたいで綺麗な子だな、将来が楽しみだ』
と思いながら、みんなでドリントルの町へ戻った。
門に着くと門番の人から感謝され、中に入っても町の人達からも感謝の言葉を貰う。
途中、分断してしまったが、我々冒険者が町の危機を救うのは当然だ、お金も貰えるし、しかし感謝されるのは嬉しいものだ。
特に薔薇の剣の周りは凄い。全員が可愛らしい女の子、なのにモンスターに向かっていく。人気が無いわけがない。
残ってくれた冒険者達は包帯でぐるぐる巻き状態だが、住人から感謝されて嬉しそうだ。
住人の人達からの感謝を受け取った後、みんなで冒険者ギルドに入った。
総合受付のステラさんに声を掛けると
「防衛戦お疲れ様でした。皆さんギルドマスターがお呼びですのでマスタールームにご案内致します。」
と言われステラさんについて行く。
二階に上がり、図書館の奥に大きなトビラがあった。
ステラさんはコンコンとトビラをノックして「皆さまとユウ様をお連れしました。」と言うと奥から「ああ、入ってくれ」とノートンさんの声が聞こえた
「失礼します」と言って入っていったステラさんの後ろからついて行き
「失礼しまーす」と言って中に入る。
中は広くコンビニくらいの広さの部屋で、窓際に大きな机があり、手前には5m位の大きな机が置いてあり椅子が20個位並べてあった。
壁際には本棚が並びソファもある
大きな机のイスには既に座っている人が6人いて、さっき声を掛けて来た女の子もそこにいた。
「おお、ユウ待っていたぞ!みんなも座ってくれ」とノートンさんに言われそれぞれ適当なイスに座った。
全員が座りノートンさんの方を向く。ノートンさんは立ち上がり
「今はここに集まったお主らに礼を言わせてくれ。
この町、ドリントルを守ってくれてありがとう!」
と言って頭を下げるギルドマスター
「多くの奴らが突撃していき、敗走した中でお主達は町を守る為ようやってくれた。
皆で策を練り、モンスターの動きを阻害し、勝利した!
ワシはギルドマスターとしてお主達に感謝する!」
俺たちはノートンさんの迫力に押されるが、とりあえず頭を下げる
「そして、ここにいるB級の赤の衝動、C級の剣誓の者達も救援に駆けつけてくれた事も大いに感謝する。」
「聞いた所ここに来る途中の道で、オークとオーガと戦闘になったらしく、こちらの救援には間に合わなかったが、もしゴブリンキングと共闘されていたら、ここはもっと危険になっていたであろう。」
「オークは全滅、オーガは逃したらしいが深手を負わせ戦闘不能まで追い込んだ君達にも、本当に感謝している。ありがとう」
座っていた男の人が
「俺らはオーガを撤退させたんだぜ、アイツがここに来てたらヤバかったんだから報酬は期待していいんだろ?」とニヤニヤしている
「そうだぜ、わざわざ王都からこんな田舎に来てやったんだからよ〜
報酬もらって早く帰りたいぜ」
なかなか品の悪い奴らだ
ギルドマスターもこめかみがピクピクしてる
「そ、そうじゃな、報酬の話をしよう。
まず、B級の赤の衝動はグリントル防衛戦参加という事で約束の金貨5枚、更にオークの群れを全滅してくれたとの事なので更に3枚。
C級の剣誓は同じく参加で金貨5枚、さらにオーガを撤退させてくれたとの事で赤の衝動と同じく更に金貨3枚じゃ。」
「ま、こんな田舎じゃそんなもんか。」
「ま、いいんじゃね、1人金貨2枚儲け儲け」
それぞれそれなりに満足してるみたいだけど
『ふーん、撤退って事は倒してないんだよな、何で終わってないのにお金貰えるんだろ?
まっ、いっか』
すると横でおとなしく聞いていた女の子が
「オーガ倒してない お金貰っていいの?」
と言ってきた
男達は怒り
「俺らがオーガを撤退させなかったら今頃ココは血の海だったんだぞ!わかってんのかコラ!」
「ガキにはわからねーのさ!黙ってな!」
「テメェはそいつに守られてっからわからねーだろうけどな!」
等と大人気ない会話が始まった
女の子の横で座る執事みたいな人は目を閉じ黙っている
「クリス様、よろしいのです。剣誓の言う通りゴブリンキングに加えオーガまでこちらに来られたら、戦線は乱れ混乱は免れなかったでしょうし、こちらが助かったのは事実ですから」とノートンさんが言う。
「ふーん」
とクリスちゃんが興味無さそうに返事をした。
この子ウケる、っていうかこの子がB級の赤の衝動!?
この執事みたいな人と2人
「まっ、俺たちは金さえ貰えればいいからな、さっさとくれよ、ギルマスさん」
「あ〜あ、早く酒が飲みたいぜ」
「ああ、すまないね」
と金貨の入っているであろう袋を渡す
すると剣誓の1人が袋を掴み、中を確認して
「確かに入ってるな。また助けてやるからいつでも言ってくれよ〜」
と言いながら手を振り部屋から出て行った
「ふぅー」と息を吐くノートンさん
大変そうだな、と見ていると
「ありがとうございます。報酬はこちらになります」
と女の子の前に袋を置くと、女の子は興味無さそうに
「ギル 報酬だって」
と言って袋を執事に放り投げる。
受け取った執事は「よかったですね、お嬢様」と言ってスーツの内側に袋をしまう。
女の子は部屋から出る雰囲気はない。
何でだ?と思っていたら話しだした
「ギルドマスターが ゴブリンキング 倒した?」
と話をしている。ノートンさんはチラッとこっちを見るが俺は横に頭を振る
するとノートンさんは
「はい。ワシの斧で頭を落としましたぞ」と言ってくれた
「ギルドマスター 強くなった?」
と女の子が自問自答している
この子ノートンさんだけだとゴブリンキングを倒せないって分かって
するとドアが「バンっ」と開き、ステラさんが青ざめた顔で
「ギルドマスター!オーガです。オーガが2体門の前に現れました!!」
「な、何じゃと!!」
どうやらまだこの町の防衛は終わっていないらしい。
ゴブリン<オーク<オーガ




