キマジエルの町
ここから帝国に向かうには前に通ったベリル林道近くのダンジョンから獣国に入り、国境を抜け帝国に入るのが1番近いが、今回は白狼がいるので次元魔法で移動しようと思っていたが
「う〜ん無理かな。この辺知らないし僕」
このチビ狼小さくなってから随分と子どもっぽくなったな
「逆に知っていれば可能なんですか?」
「うん。ここに繋げたいって強いイメージがあれは繋がると思うよ」
なるほどイメージね、なら俺は以前行った事もあるので出来そうだ。
俺は帝国をイメージする。流石にいきなり謁見の間には行けないので何処か違う場所をイメージしよう。
そして俺が思い描けた場所は、かつてギルさんがジムさんを護って逝ってしまい、グリムードと戦ったあの青飛山を俺は強くイメージして
「ディメイションワープ」
俺達は紫色の光に包まれる
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
目を開けるとそこには前に俺が作った墓があり、そこに花が置かれていた。
それは前に俺が添えた魔液花が枯れずに残っていた。
俺は墓の前で手を合わせると、フレイも一緒に手を合わせてくれた。
シャオミーと白狼は?って顔をしていたが、話していないのでそれは仕方ないだろう。
(ギルさん、クリスは元気にやっています。ジムさんもギルさんのお陰で今や王国の王様の側近として働いているんですよ。
全てギルさんのお陰です。
今度またクリスを連れてここに来ますね。)
俺は目を開けてみんなを見る。
そしてフレイに話し掛けた
「ここは帝国です。後は名簿にあった場所を目指しましょう。確かここからだと走れば5時間位で着く場所だったはずです。行きましょうか」
そして俺たちは走って名簿に載っている住所であるキマジエルの町へと向かうのであった。
キマジエルは帝国の中でも大きな町であり人口も多い。俺たちは門番にギルドカードを見せて町に入る。
今は夜であるのにも関わらず、町はとても賑わっており、人通りはとても多い。
見ると獣人が誰もいない。
王国ではチラホラと見かけるが、帝国では見たことがないと今思った。
(もしかして帝国って獣人が嫌いなのかな?)
特に用はないので地図にある場所へと向かうと、そこはこの町の町長の家でとても大きく、そして金持ちそうな人が出たり入ったりしている。
「では今から姿を見えなくする魔法を使います。フレイとシャオミーは私と手を繋いで決して離さないで下さいね」
と言って2人の手を取り魔法を使う
「ステルス」
光の屈折を利用して俺たちは姿を消した。
『うわ〜、何この魔法?凄い魔法を使えるのねあんた』
とナチュルが言うので
『声は聞こえてしまうし、気配や匂いも消せないので、まだまだですが使い勝手が良いと思って創造してみました』
『もうあんたって何でも有りね。それでも私の方が強いから良いけどね〜』
とポッケから出て飛んで行ってしまう
(ま、ナチュルの姿が見える人はいないし別に大丈夫かな)
そして俺たちは誰にも触れる事がないように気をつけて町長の屋敷の中へと侵入する。
屋敷の中にはたくさんの金持ちそうな人が集まっており、どうやら何かが始まるようだ。
「今回はどのような商品が出されるのか」
「オキシム殿は何処からあのような物を調達しているのかのぉ」
「クックッ、オキシム殿は今回特別な物を用意出来たと喜んでいた、期待しようではないか」
「ああ〜もうすぐ始まるのね、楽しみだわ」
黙って聞いていたがどうやら今日ここで何かが行われるのかな?
ついてるのか、ついてないのか。
とにかくこの人達について行けば分かるはずだ
俺たちは部屋の隅に移動して相談する。
「どうやら何かが始まる様子ですので、それを見てからこの屋敷を捜索したいと思います」
「分かったわ」
「ここ、血の匂いがする。多分下の方」
「何となく私も臭いなとは思ってたけど」
「もしかすると今から始まる事と関係があるのかも知れません。もう少し様子を見てみましょう。」
しばらくすると俺達を除く7人の人が部屋におり
何かを今か今かと待っているようだった。
すると奥の扉が開き中から執事がやってきた。
部屋に一歩二歩を入り頭を下げてから話し始めた。
「皆さま大変お待たせ致しました。例の部屋で始めますので、こちらにどうぞ」
と言って執事は歩いて行ってしまう。
それについて行く7人、それに習って俺たちも付いて行った。
向かったのはこの屋敷の地下室のような場所。
地下にも関わらず、魔道具をふんだんに使って明るくしている。
そして広い部屋にはステージのような場所があり、その周りには豪華な椅子とテーブルが用意されており、そこに7人はそれぞれ座っていく。
俺達は少し離れた場所から何が行われるのかを見てみることにした。
ステージの奥に歩いて行った執事が戻ってきて、その後ろからメイドがお盆に何かを乗せて歩いて来た。
そしてそのメイドの後ろから、煌びやかな衣装を纏ったカエルの様な顔の男が歩いてやって来た。
「ようこそ皆さま、今日はとても良い商品の買い付けが出来ましたので期待してて下さい。」
「期待してますよオキシムさん」
「いつもの様に焦らすのは辞めてくれよ」
「早く見てみたいわ」
「今日は全部で5品あります。」
先ずはとメイドがお盆の布を取りお盆の中身を見せる
お盆の中を見るとどうやらモンスターの素材のようだ。
「これはですな、ストームドラゴンの肝です。
これを粉状にして薬草と混ぜると、長生き出来ると呼ばれている品、鑑定書も御座います。
なかなか出回らない商品となりますが?」
すると執事が
「こちらのストームドラゴンの肝を今回は20万ギラからお願い致します」
「25!」
「30!」
「50でどうだ!」
「かっかっか100ぞ!」
「…」
「…」
「ではパブレス様が100万ギラで落札です」
「いつもありがとうございますパブレス殿、最高級の薬草も宜しければお付けしますが」
「かっかっか、いらんいらん。上手く行けば若返れるなんて品、信じてはおらんがな。
薬草ならこちらで用意するでの」
「言い伝えでは本当だと言っていますよ、嘘は付きませんから」
「分かっておる、たかが100位でギャーギャー喚かんから安心せぇ」
「はっはっは、叶いませぬな」
「ほれ、次じゃ次」
「フレイ、ギラって何?」
「え?知らないの?金貨が1万ギラよ銀貨が千ギラ」
「王国や獣国だとギラって言わないよね」
「知らないけど他の国だと数字が多くなると計算出来ないから金貨何枚とか銀貨何枚って言ってるらしいわよ。
貴族の間ではギラって言うらしいけど、獣国は言ってないわね」
「ほえ〜」
それからもオークションのような事は進んでいき、なんだか胡散臭い、未来が見える水晶やらなんでも育つ植木鉢とか家に置いておくとモンスターが襲ってこないツボとか魔法の詠唱が早くなる腕輪とか、全て胡散臭い商品ばかりだった。
これは期待出来ないなと思っていたが最期の商品の説明をされ俺もフレイも驚いてしまう
「皆さま本日は色々と買って頂きましてありがとうございます。本日最期の商品ですが」
ここまで話をすると後ろにこの家の警備員がドアに立ち塞がり、部屋から出れなくなってしまった
(まさかバレてる?)
少し動揺してしまったのが伝わったのか、フレイの俺を握る手に力が入る
「オキシム殿これは一体どういう事かな?」
「冗談では済まされなくなるよ」
「みんな怖い顔ね、ふふふ」
「ご心配を掛けてしまい申し訳御座いません。本日最後の商品は特殊でして、この場にいる皆さんが共犯になってしまうかも知れませんので、もしも法に抵触するのが嫌な人は先に申して下さい。直ぐにこの部屋から出させて貰います。」
「どういう事かしら?」
「次の商品を買われた人はもちろん、その場に居た人も誰が買われたか知ってしまいます。それはリスクになってしまう。
なので法に抵触するのが嫌な人は話を聞かないで貰いたいのです。
もちろん何が出たのかも知る事は出来ませんし、それを調べる事も禁止致します」
「なるほど、それ程までの商品という事か」
「それは皆さまに決めて頂きましょう」
「あまり時間を掛けるのもアレですし、今より席をお立ちになった方は速やかに退出をお願い致します」
誰も立たない、次に出てくる商品とやらが気になって立てないのだろう
「宜しいのですね?後からこんな事聞いていないとかは無しですよ」
「分かっておる。ここにおる者は何かを抱えておる者ばかりだ。そんな事よりつまらん者だったらお主を許さんぞオキシム」
と肝を買ったジイさんがカエルを脅す
「怖い怖い、大丈夫ですよ。期待には応えるのが我がオキシム家の家訓ですから」
「ふん、では早くせい」
するとドアの近くにいた警備が元の位置に戻る
どうやら俺達がバレたという訳ではないようで少し安心した
「それでは最後の商品です。
とある組織より買った獣人の子ども5匹!
それをここに連れて来ます、女4男1となります。これを聞いたあなた方は既に共犯!購入するもしないも人身売買の現場に居合わせたので、硬く情報を禁じさせて頂きます!」
それを聞き、全員が椅子から立ち上がった
そんなの聞いてないとか言うつもりかと思っていたら
「素晴らしい!オキシム殿!待ち望んでいた商品ではないか!」
「帝国法によってずっと我慢してきた売買がやっと出来るのね!ああ!なんて素晴らしい」
「本気か!良いのだな本当に買ってしまっても!情報の規制は大丈夫なのか!そこのメイドや警備も!」
「ふふふ、大丈夫です。ここにいる者は全て私の奴隷。情報が拡散する事は御座いません」
「全ての獣人をお出ししても本日購入出来ない方が出来てしまいます。
ですから本日は3匹!残りの2匹は後日とさせて頂きます」
「な、何じゃとぉ!!」
「ああ、そんな絶対に私が買ってやる!」
「くそっ!あんな余計な物を買うんでなかった!」
「今回は無理か、老がいない日に来れれば」
とこの場にまともな人族は存在しない、そんな話を聞いているとフレイから手を握る力が強くなるのを感じる
「コイツらっ!!」
「落ち着けフレイ、俺も同じ気持ちだ。だけど我慢して。絶対にこんな奴らに渡したりしないから」
とフレイを抱きしめる
「うん。あんたが居なかったらここに居る奴らは1人残らず殺していたわ、止めてくれてありがとユウ」
「私も凄く嫌だ、コイツら」
とシャオミーも嫌悪している
「とりあえず結末まで様子を見よう、直ぐにどうなる訳ではなさそうだし」
俺達は最低なオークションが終わるのを姿を消しながら終わるのを待ったのであった。
やったらダメ人身売買




