第三章:冥界の旅立ち 第二話 討つべき理由
そのとき、エンプーサが静かに歩み出た。
その瞳には、深い怒りと悲しみが宿っている。
「……魔王を倒す理由を、教えてやるよ」
エンプーサは震える声で語り始めた。
「モルモー……あの子は、私の妹のような存在だった。
優しくて、臆病で……でも誰よりもご主人様を愛せる子だった」
モモ・ルーの胸が痛む。
夢の中で見た少女の笑顔が脳裏に浮かんだ。
「私達は、いつも一緒だった…
ご主人様が魔界に降りるとなった時も一緒に魔界に降りてお仕えしてきた…なのに」
エンプーサの肩が震えている
それを見て、ヘカテーが話を繋いだ
「モルモーは魔王の花嫁に選ばれてしまった…私は大切な二人を手放す気はないと断ったのだが…
モルモーは自ら魔王の元に行くと言った。」
「絶対デーモンに何か言われたんだ!そうじゃなきゃ魔王の嫁になるなんて…モルモーが言うわけがない!」
エンプーサが語気を強めて言った。
「モルモーは魔王の子を産んだ…けれど、魔王は……モルモーの子を殺した。
赤ん坊を自身の新しい身体、“新しい器”として、己の魔力を流し込んだ……
赤ちゃんは耐えられず、モルモーの目の前でその子は…四散したんだ。」
モモ・ルーは息を呑んだ。
「…モルモーの心は壊れた。
ベッドの上から一日中窓の外を見ているだけになった…
私がいくら話しても、ご主人様が声をかけても…モルモーは何に対しても反応しなくなった…
しかし…
それでも魔王はモルモーを手放なさなかった。
あいつは天界の門を通るための実験に…
モルモーの身体を使いやがった!
……あの子は、潰されて……消えたんだ!」
エンプーサの声が震える。
「私は……モルモーを守れなかった。
だから魔王を殺す。
モルモーのために……絶対に」
ヘカテーが静かに言った。
「私も同じだ。
愛した者を奪われた怒り……その痛みは、永遠に消えることはない。」
モモ・ルーは拳を握りしめた。
「……私も…
魔王を討ち倒すのは私の使命です。
…私が愛した地上の人々は、今も魔物に殺され続けている…
それに、あの子の魂が私の中にいるのを感じました。
だから…… 私は、あなたたちと共に戦うのです。」
第三章:冥界の旅立ち 第二話 討つべき理由 完




