第三章:冥界の旅立ち プロローグ
天界…
天界の門を抜けた先にある神々の国
息を呑むほどに美しい世界
雲の上にそびえ立つ黄金の宮殿
絶え間なく流れる清らかな旋律。
だが…
そこには生命の温もりが感じられない。
あるのは、計算し尽くされた無機質なまでの「秩序」だ。
「完璧だ…完璧な美しさだ。そうは思わんかヴァルキリー?」
「はい、長の仰るとおりです。」
天界の戦士であるヴァルキリーが、神々の長に傅いた。
長は自らが創り上げた天界を眺め、美しく光り輝く様をみて上機嫌だった。
「長、彼の者より転生の願いが…」
「なに?転生だと!?」
急に長の機嫌が悪くなる。
「儂が、あのような者を、この天界に加えるとでも思っているのか!」
「いいえ、思いません…」
「そうであろう…この天界に入る者は、儂に愛される価値のある者ではなくてはならんのだ。」
「長の仰るとおりです。」
「美しさの欠片もない、あのような者が天界をうろつくなど…考えただけでも虫唾が走る!」
神々の長は美しさに対して異常な執着を見せる一方で、美しくないと思うものに対しては、嫌悪…いや恐怖と言ってもいいほどの表情を見せるのであった。
長は暫く考えた。
「ふむ…そろそろ刈り取りの時期か…仕方がないのう…ヴァルキリーよ、準備なさい。」
「はい、仰せのままに。」
神々の長は、さも面倒だと言うようにヴァルキリーにある事を命じた…
第三章:冥界の旅立ち プロローグ 完




