~ファイル74 早乙女小紅、毒島仁英と対峙す!~
小紅は、持てる力を余すことなく開放し、デスアダーの雑兵を蹴散らしながら修羅のごとく突き進んでゆく。
「はぁ、はぁ・・・・・・。邪魔すんなって言ってんだぁーっ! どけぇーっ!」
バキイッ! ドガッ! ドガガッ! ボガアッ!
次々と襲いかかってくる雑兵を蹴散らしながら、止まることなく小紅は突き進む。
「「「「「 このクソ女がぁーっ! 」」」」」
ドドドドドドドドドドォ!
倒しても倒しても、小紅の前から雑兵が消えることはない。
「(ほんっとに・・・・・・ここへ何人集まってんの? でもこの先に、毒島仁英は必ずいる!)」
「てえぇああぁーーーーーーっ!」
バシイッ! ボガアッ! ドカアァッ! バカァンッ! ドキャッ!
武装した雑兵をものともせず、小紅は怒りの炎を燃やして打ち倒してゆく。
拳で突き、足で蹴り、手刀や裏拳で打ち、膝で蹴り、肘を当て、掴んで投げ飛ばし、押して突き飛ばし、ありとあらゆる技を駆使して倒してゆく。
相手が多数でも、物怖じせずに小紅は身に付けた空手を駆使し、次々と倒していった。
「はぁ、はぁ・・・・・・。ん! ここは!?」
小紅は雑兵たちを打ち倒しながら進んでゆくと、周囲を高い岩壁に囲まれた広場へと出た。
「・・・・・・え! く、くっそぉー・・・・・・っ!! まだ続くの!?」
そこで小紅が目にしたものは、広場を二重、三重、四重に取り囲む、デスアダーの群れ。
その数は、ゆうに一千人を超えている。武装した雑兵、暴走族、レディース、薬物中毒でふらふらしている者、チンピラ、黒スーツの男、刺青を入れたサーファーのような男、浮浪者のような者など、様々な者が集っている。
「「「「「 ブスジマさんに刃向かうやつには、死を! こーろーせ。こーろーせ! 」」」」」
「「「「「 早乙女小紅を殺して、金を! 金を! 金を! 金を! 」」」」」
「「「「「 デスアダー、万歳! ブスジマさん、万歳! うおおおおおおお! 」」」」」
「「「「「 ブスジマさん! ブスジマさん! ブスジマさん! 」」」」」
日本一を決めるサッカースタジアムにでもいるかのごとき、地鳴りのような声。
「(う、嘘でしょ! あんなに倒したのに、まだこんなにいたの!)」
さすがの小紅も、その異常とまで言える空気と、その集団の数に、戦慄の表情を浮かべた。
ウオオオオオオオオオオオン オオオオオオオオオオオンッ
「(な・・・・・・なんて数っ! こんな数を相手になんて・・・・・・さすがに、あたしでも・・・・・・)」
その地鳴りのような声の中央には、日陰に置いたカエルの水槽を横に置き、足を組んで椅子に座って首を傾けている毒島仁英の姿があった。
その左右には、腕組みをして針実とブンも、ただ静かに立っている。
「おやおやぁ・・・・・・。よく、一人で無事に来られましたねェ? アナタが早乙女小紅さんですかァ。お待ちしてましたよ。ほっほっほ・・・・・・」
「なっ! おまえが・・・・・・毒島仁英! おまえが・・・・・・。おまえがぁっ!」
「ほっほっほ。まァ、そんなに感情を憤らせることはありませんよ。落ち着きなさい?」
「ふっざけんじゃないっての! 毒島!!」
「ほほほ・・・・・・。いけませんねェ。怒りは美容の大敵ですよ?」
明らかに怒りによって我を忘れる小紅を前に、余裕の対応を見せる毒島。
「・・・・・・げふっ・・・・・・。こ、こべに・・・・・・ちゃん・・・・・・」
その毒島の足下には、ロープでぐるぐる巻きにされ、血だるまにされた優太が転がっている。
「え! ・・・・・・ゆ、優太あぁーーーっ! 優太ぁっ!」
見るも無惨な姿にされた優太を見て、小紅は唖然とし、金切り声をあげるように叫んだ。
「ほっほっほ・・・・・・。何を怒っているのです? ボクは、警察を呼んだら常盤優太さんを殺すとは言いましたが、呼ばなければ何もしないとは言っておりませんけどねェ?」
赤いカエルを指で撫でながら、片眉をくにゃりと上げて笑う毒島。
「死んでいないんですから、いいじゃありませんか? それとも、少しずつボクが労って、痛みを重ねながら、どこまで保つかやってみましょうか?」
「な! 何言ってんだ! やめろっ! やめろって言ってんのがわかんないのーっ!?」
毒島は、縛られている優太の左手小指を、ゆっくり握った。
「ほっほっほ。わかりませんねェ。・・・・・・指切りげんまんですよ、早乙女小紅さん。この常盤優太さんを返してほしければ、自力で何とかなさい? それか、その場で全裸で土下座して、この連中全員の相手をした後、ボクの配下として跪くか。さぁ、どうします・・・・・・ッ!?」
・・・・・・ぎゅっ メキョォッ ビキイィッ ベキャッ!
「ううぁ! ぎゃ、ぎゃあーーーーーーー・・・・・・。ひぃ・・・・・・いいいぃーーーっ! ぐあああぁ」
「優太あぁーーーーーーーーーーーーっ!」
毒島は迷うことなく、優太の小指を折り、捻り、メシャメシャにしてしまった。
あまりの激痛に、人とは思えないほどの悲鳴をあげる優太。
その声は、大矢観音公園や採石場跡の周囲に、どこまでも響いていった。
「ぎゃああぁ! ひぃ・・・・・・ひぃ・・・・・・ひぃ・・・・・・」
激痛に悶え、石の地面をのたうちまわる優太。その姿は、畑に転がる芋虫のようだ。
「このぉやろぉぉーーーーっ! なんてことしやがるんだ! 毒島ぁーっ!」
小紅は、これまで見せたこともないような憤怒の形相を見せ、毒島に向かって足を進めてゆく。
「ほっほっほ。これは失礼。つい、力が入りすぎてしまいましたかねェ?」
ダダダダダダダダッ! たたたたたたたたたっ ざしっざしっざしっ
「ふぅー、ふぅーふぅー。・・・・・・こ・・・・・・小紅ぃ! 待てぃ!」
「え!」
その時、小紅の後ろへ、遅れて源五郎たちが合流した。
「じ・・・・・・じーちゃんっ! なんでここに!!」
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。小紅センパイ。よかった、追いついて・・・・・・」
「水穂まで! あんた・・・・・・っ・・・・・・」
「はー・・・・・・はー・・・・・・。ダメです、小紅サン! 落ち着いて! 落ち着いてっ!」
「澪っ! ・・・・・・どうしてあんたまで!」
小紅の後ろに突然現れた三人に対し、毒島は眉をひそめる。
「なんですか、あなたたちは? ボクは、あなたたちなど呼んではおりませんけどねェ!?」
そう言って、毒島は源五郎に向かって、小石を地面から拾って弾丸のように親指で弾いた。
・・・・・・バシュンッ! ・・・・・・パアンッ
源五郎は手刀で、毒島が放ったその小石を軽々と叩き落とす。
「ほォ? なるほど。やりますね。・・・・・・そういう気で、ボクの前へ来ているというわけですか・・・・・・」
「毒島とやら! わしの孫と、優太くんを返してもらうぞぃ!」
「えぇっ! ミオ! あそこに転がってるの、優太センパイ!? ひいぃーーっ! ち、血まみれのボコボコじゃんーーーーっ!」
「な、なんてひどい! どれほどの暴行を受けたっていうの?」
水穂と澪は、優太の姿を見て、一気に青ざめた。
スタタタタタタタタタッ
ダダダダダダダダダダッ
シュタタタタタタタタッ
そしてさらに、水穂と澪の後ろで、一気に駆け込んでくる足音が響く。
「いたーっ! 小紅っ! ウチらも来たよ!」
「小紅チャンっ! だいじ? わたくしたちも、来たよ!」
「早乙女、無茶するなと言ったのに! でも、もう大丈夫だ!」
苺、華蓮、みかんがさらにその場に合流。
小紅が両拳を握って構えている左には、水穂、澪、源五郎が。
そして右には、苺、華蓮、みかんが並び揃った。
「毒島様。あの小柄な女と、すらりとした女。朝霧苺と三島華蓮です。どうしますか!?」
「ふぅん。・・・・・・まぁ、一気にこんなに集まるとはねェ。面白いではありませんか。いい遊び相手となりそうです」
「イカガイタシマショウ? 早乙女小紅一人デハナク、七人ニナリマシタガ・・・・・・」
針実とブンが、左右から毒島へ小声で問う。
・・・・・・ーゥ ・・・・・・ーゥゥー ・・・・・・ーポーァーポォ
遠くからは、ここへ向かってくる多数のサイレンの音が響いている。
「・・・・・・結局、警察も嗅ぎ付けましたか。やれやれ。うるさいゴミムシどもですねェ・・・・・・」
毒島は、転がっている優太を椅子に座りながら踏みつけ、足置きにしている。
「小紅・・・・・・。あ、あれが、デスアダーの親玉なの!? ま、まともじゃないね! どう見ても、普通じゃないよ!!」
「そう! あれがデスアダーの総元締め、毒島仁英! ・・・・・・苺も華蓮も、あいつはあたし同様に親の仇! 三人で徹底的にやっつけてやろうよ!!!」
「あれが! ・・・・・・な、なんて禍々しい雰囲気なの? わたくしが今まで相手にしたデスアダーの者とは、まったく迫力が違う・・・・・・」
苺と華蓮は、明らかに他の者とは異質な、妖気にも近い毒島の殺気と狂気を感じ冷や汗を垂らす。
「(こ、これは、とんでもない場に立ち会ってしまったらしい! なんてことだ!)」
みかんも、一千人を超える集団が取り囲み、独特な臭気と殺気が湧き立った周囲の様子に、驚きを隠せない様子。
・・・・・・ぎしり ・・・・・・ぎしっ ・・・・・・ぎしり
屋外であるにもかかわらず、肘掛け椅子に座り、それを揺らす毒島。
すると、数回椅子を揺らした後に、ゆっくりとまた、息を吐きながら立ち上がった。
「フゥー。・・・・・・さぁて、と・・・・・・」
「「「「「 !!! 」」」」」
毒島の動きに、一気に身構える七人。
「みなさん。聞こえますかァ? ・・・・・・まもなく、警察も来るようです。ですが、ここでアナタたちには、ボクへの忠義をどれほど尽くせるか、見せてもらいます」
毒島は、両手を翼のようにぶわっと広げると共に、大音声を轟かせて集団に向かって指示を出す。
水穂、澪、苺は周囲をきょろきょろと見ている。華蓮とみかんは、顔を見合わせて汗を垂らす。源五郎と小紅は毒島から目を離さない。
毒島までのその距離、約七十メートル。
「ぬうう! まずい、この雰囲気!! 小紅。やつは周囲の者に・・・・・・」
源五郎はさっと腰を落とし、構えた。
「ひ、ひえぇ! ぜったいヤバいっしょ! こいつらの目が。目がー・・・・・・。うひぃー」
水穂も、毒島の声に反応してぞわぞわと動き出す集団から、いまだ目が離せずに拳を構える。
「・・・・・・この集団、あの毒島ってのに洗脳されているの? 目が、死んでいるようだわ!」
澪は、集団の一人一人の表情を、眼鏡越しにじっと観察している。
「さァーっ・・・・・・。みなさん・・・・・・。準備はできていますかねェ? ほっほっほ!!!」
さらに毒島は、声量を上げた。それに次々と反応する集団の雑兵たち。
「何人いるの? ざっと、八百・・・・・・。いや、一千人はいる! こーなりゃ、やるだけだよね!」
苺は、ばっと両手を開き、周囲を警戒しながら構える。
「・・・・・・あった! これを借りるわ。一気に来そうだよ・・・・・・小紅チャン!」
華蓮は、転がっていたカシの木の枝をすっと拾い、集団に向けて構える。
「早乙女! やばい! この集団の殺気が、一気にこっちへ向けられたぞ!」
みかんは、ぐるりと一周見渡し、ぐっと拳を突き出して腰を落として構えた。
「では、始めましょうか! 血祭りの開始です! いきなさい、アナタたちィーっ!」
毒島が、声高らかに両手をぶわっと内側へ振り降ろした。
それを合図に、周囲全方向から、一千人の雑兵たちが七人に向かって駆け出してきた。
「「「「「 ウウゥゥオオオオオオオオオオォォッ! 」」」」」
「「「「「 オオオアアアァァァァォオオオオオッ! 」」」」」
ズドドドドドドドドドドドドド ズダダダダダダダダダダ
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドォッ!!
小紅は、一気に奥歯を噛み締め、毒島を睨みつけたまま六人に向かって叫ぶ。
「みんな! ザコにやられるのは避けよう! 毒島仁英と、その横にいる変な二人を絶対に倒して、優太を救うんだ! このろくでなしどもを、一掃だ! あたしたちはさ・・・・・・悪いやつを一掃する、言わば・・・・・・悪行清掃人だぁーっ!」
毒島に陶酔する集団が土石流のように押し寄せる中に、小紅の大声が響き渡った。
一気に気合いを入れた七人は、小紅を中心にした扇形のような陣形を取った。
そして、次々と波のように押し寄せるデスアダーの集団を真っ向から迎え撃ち、次々と打ち倒してゆく。
ついに、優太を救うべく、そして仇敵である毒島仁英を倒すべく、大激突の大乱闘が始まった。
* * * * *
「「「「「 うううぉらぁーっ! 」」」」」
「ハアアァイーーッ! ハイィーッ!」
シュラシュラアッ ビュンババババッ ヒュババパカアァンッ
シュラアン ヒュルンッ ビュンババババッ バカンバカンバカァンッ!
固く長い枝を棒代わりにして、華蓮の高速打撃が円を描く。
四方から襲いかかってくる相手に対し、頭、首、腹、足を一気に打ち据え、さらに強烈な棒の技で打ち払ってゆく。
「「「「「「 オララララァーッ! 」」」」」
「「「「「 おさげ女だ! やっちまえーっ! 」」」」」
「ひぃぃーっ! そんなに来ないでよ! つかれちゃうで・・・・・・しょーっ! いやーっ!」
どががががが バキイッ! ズダアッッ! バシバシバシバシィッ!
バカンッ! ボカボカボカボカ! ドカバキドスンッ!
水穂にはなぜか次々と、浮浪者のような男や黒スーツの男がかかってゆく。
じたばたしながらも、水穂は冷静に見切り、高速の連突きや前蹴り、肘当て、下段回し蹴りなどを駆使しながら、集団の攻撃を切り抜ける。
「ふぅーぃ! どうだっ! イェイ!」
・・・・・・バカァンッ!
「いっ、いったぁーーーーっ! ・・・・・・このーーーーっ!」
ドガアンッ! ベキイッ!
ピースサインをしていた水穂の後頭部を、きゅうりで殴りつけた浮浪者がいた。
慌てて水穂は重い後ろ蹴りを見舞い、藪の中へ相手を吹っ飛ばした。
「気ぃ抜くなっての、水穂! 刃物だったら終わってたかんね!」
ガガガッ バキィ ドガアァッ ドグシャアアッ バキャッ
小紅は一気に正面の四人を相手にしながら、水穂へ声をかけた。
そして、重く鋭い両拳の突きと、靴の爪先を使った前蹴りで、その四人の喉と金的を一気に打ち抜く。
「ゆ、油断しただけーっ! ほんと、きゅうりでよかったけどー・・・・・・」
「「「「「 オラァ、おさげ女! オレらとヤろうぜぇーっ! 」」」」」
「ひ、ひぃーっ! だからなんで、私にはキモいのばっかーっ! 来るなーっ!」
ベキィ ドガアッ バシバシバシバシ ボカボカボカボカ! ドゴシャアッ
水穂は小紅に負けず劣らずの手数で、かかってくる男たちを次々に打ち倒している。
「「「「「 三つ編みの地味メガネ! 死ねやブス! 」」」」」
「「「「「 ヒャハァーッ! ガリ勉かよ! くたばっちまいな! 」」」」」
「・・・・・・人を分析するなら、内面まで見ることね? ・・・・・・せやぁーーーーーーーっ!」
ヒュンッ! バキャッ ベキャッ シュンッ! ドガッ ドスンッ!
ヒュンッ! バキイッ ドカアッ シュンッ! ズガガァッ
澪は、紫色の特攻服を着たレディース軍団に囲まれていた。
矢継ぎ早に蹴りを繰り出し、正面の相手には前蹴り、そして横の相手には足刀蹴り、後ろの相手には後ろ蹴り、斜め後ろの相手には、そのまま掛け蹴りを見舞い、バランスの良い姿勢を保ちながら、足技で倒してゆく。
ヴォンヴォヴォヴォヴォヴォヴォ
「オラアァーーーッ! 死ねやブスメガネ!」
レディースの一人が、バイクで澪に向かって猛突進。
「この至近距離で! でも、見た感じだと速度はまだ時速三十キロ台ね! ・・・・・・せやぁーーーーっ!」
シュンッ! ドバッキャアアァンッ! ・・・・・・ドゴシャガッシャァンッ!
冷静に距離と速度を見切り、澪は糸恩流の「転位」の技術を使い、バイクを横に避けながら相手の顔面へ強烈な上段回し蹴りをカウンターで入れた。
そのままバイクは吹っ飛び、他の集団を八人ほど巻き込みながら大破。
「・・・・・・やるじゃん、小紅の後輩たち!」
「「「「「 ウルァーーーーッ! つかまえたぜぇ! 」」」」」
澪の戦いをちらりとみた苺に、チーマー風の男たちが一気に掴みかかった。
「・・・・・・大円流合気柔術・・・・・・『猛蜂』っ! はぁいやぁーーーーーっ!」
ビュバババッババッバババッ! バキバキバキバキドガガガガガァッ!
一気に男たちは、喉と顎下を苺の拳で打ち上げられ、吹っ飛んだ。
苺は両腕を、まるであのパーコーの流星錘のように、ぶんぶんと交互に振り回している。
「さぁ、こい! デスアダーっ! ウチはおまえたちを倒して、きれいなまちを作る!」
次々と苺にかかってゆく雑兵たち。何人かかっていこうとも、突かれ、絞められ、骨を折られ、関節を外され、蹴り飛ばされ、次々と倒れてゆく。
「せぇやあああぁぁっ! せやああぁぁぁっ!」
ドゴシャアッ ババババッババババチュンッ! ドパパパパパパパァンッ!
「「「「「「 ぐ、ぐぉぁ・・・・・・。は、速ぇ・・・・・・ 」」」」」」
苺が蹴散らすその向こうでは、みかんの音速のような打撃が、雑兵たちを次々と吹き飛ばして倒してゆく。
体格差や凶器もものともせずに、みかんは持ち前のスピード感と組手技術を応用し、四人、五人、六人と倒している。
「さすが、インターハイ上位者じゃの。実戦でも、そのスピード感は桁違いじゃわ! 素人じゃまず反応できなかんべなぁ!」
「「「「「 おらぁ、じじいはもうあの世で寝てな! 」」」」」
「・・・・・・ふぅぅ・・・・・・こおぉぉはああぁぁ! えええぇいいぃーーーーーーぁっ!」
ギュルンバシイッ! ギュルンバシイッ! ドドドドンッ! ドドドドンッ!
「な・・・・・・なんてつえぇ・・・・・・じじいだ・・・・・・」
「ふん・・・・・・。まだまだわしとて、この世に未練はあるわい。美味い酒と孫がな!」
源五郎も、目をぎらりと光らせ、雑兵たちを無駄のない動きで蹴散らしてゆく。
六人がそれぞれ戦う中で、小紅は一歩ずつ進み、真っ正面の毒島にだけ向かっていった。




